若年性アルツハイマーの10の初期症状チェック-有効な治療は?

初期にはうつ病と似た症状が出て発見が遅れることも

軽度認知症の段階で気づき治療を始めることが大切。変化に気づくためのチェックリストを紹介

若年性でも症状は高齢者の場合と同様だが、進行が早いのが特徴

 日本では、65歳以上の高齢者の4人に1人が認知症もしくはその予備群と言われ、高齢者人口の増加に伴って認知症患者も増加しています。今年(2014年)春には、認知症高齢者の徘徊などによる行方不明者の多いことが話題になりました。
 認知症は脳の機能が低下して記憶障害などを起こしている状態をいい、進行すると時間や場所、人物の判断ができなくなり(見当識障害)、1人で出かけて迷子になったり事故に巻き込まれたりすることがあるのです。

 この認知症を起こす原因の大半を占めるのがアルツハイマー病です。アルツハイマー病では、脳にβアミロイドなどの異常なたんぱく質がたまって脳細胞が破壊され、脳が萎縮していくことによって認知症が起こると考えられています。

 アルツハイマー病は加齢によるリスクが最も大きいとされますが、比較的若い働き盛りの年代でも発症することがあり、65歳未満の人に起こった場合「若年性アルツハイマー病」と呼んでいます。
 若年性であっても、症状は記憶障害や見当識障害、性格の変化など、高齢者の場合と変わりませんが、高齢者と比較すると進行が早いのが特徴です。働き盛りの年代で発症するため、経済的な問題や家庭への影響はより深刻といえます。

 若年性アルツハイマー病は遺伝的な要因が大きいと考えられています。家族にアルツハイマー病の人が多い場合は、小さな変化も見逃さないことが大切です。

予備群の段階で適切な治療をすることで発症や進行を抑えることも可能に

 若年性アルツハイマー病は進行が早く、治療が遅れると短期間のうちに重症になりやすいため、早期発見が大変重要になります。

 認知症はいったん発症したら根治はできないと言われていますが、すでにある程度進行を緩やかにする薬は登場しています。さらに、最近は研究が進み、認知症の発症や進行を抑え、根本的に治す薬の開発も進んでいます。ただし、効果が期待できるのは早い段階で治療を始めた場合で、進行してからではあまり期待はできません。

 そこで、認知症予防につながるとして注目されているのが、「MCI(軽度認知障害)」です。これは、軽い記憶障害や判断力の低下などはあるものの、日常生活に支障をきたすほどではない状態をいいます。

 MCIを放っておくと半数以上が5年以内にアルツハイマー病をはじめとする認知症に進行するとされ、認知症の前段階と考えられています。この認知症予備群ともいえる段階で治療を始めれば、認知症の発症を防いだり、進行を遅らせることが可能とされています。

初期に気づくためのチェックリスト

 認知症の早期発見のためには、本人や周囲の人が記憶障害や生活態度の変化に気づくことが重要です。しかし、高齢者の場合はひどい物忘れなどがあると周囲の人が認知症を疑うことが多いのですが、若い人では気づいてもらえないことがあります。
 また、若年性アルツハイマー病の初期には、頭痛やめまいのほか、抑うつ、不眠などの症状がみられるため、うつ病と間違われて発見が遅れることもあります。

 認知症予備群の段階で気づくために、認知症の初期によく見られる症状を次に挙げます。当てはまるものが多いほど認知症の疑いが高まります。思い当たることが多い人は、早めに医療機関を受診しましょう。

初期の認知症チェックリスト
同じことをくり返し話したり、尋ねたりする
物をしまい忘れたり置きっぱなしにすることが多い
身近な物の名前や親しい人の名前が出てこない
2つのことを同時に行うと一つを忘れてしまう
身だしなみがだらしなくなったり、部屋の片付けができなくなった
待ち合わせの時間や場所を忘れたり、計画が立てられなくなった
以前より怒りっぽくなった
興味や意欲が薄れ、趣味の活動などをやめてしまった
財布を盗まれたなど、被害妄想がある
うつっぽく、気分が落ち込むことが多い

【参考】
厚生労働省「若年性認知症コールセンター」(0800-100-2707)では、専門教育を受けた相談員による無料相談が受けられます。(月曜日~土曜日/10時~15時、年末年始・祝日除く)

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
羽生 春夫先生


東京医科大学高齢診療科 主任教授
1981年東京医科大学医学部卒業、1985年同大大学院老年病学専攻博士課程卒業、医学博士。東京都老人総合研究所神経病理部門研究員、東京医科大学老年病科助手、立川綜合表町病院内科医長を経て、1994年東京医科大学老年病科講師に。同大老年病科准教授、教授を経て、2013年より現職。専門領域は老年病学、神経病学(認知症、脳血管障害)など。日本老年医学会理事・専門医・指導医、日本認知症学会理事・専門医・指導医、日本神経学会専門医・指導医、日本内科学会認定医・指導医。認知症の早期診断や有効な治療法の開発を目指している。

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