生理不順や生理がこないは病気のサイン? 放置するとどうなる?

生理不順・無月経を放置すると不妊や骨粗しょう症のリスク

無理なダイエットやストレス、激しい運動などは無月経の原因に。治療はホルモン療法が中心

無月経とは月経が3カ月以上ない状態

 先ごろ、日本のトップレベルの女性アスリートの4割に月経周期の異常があり、「無月経」の人が1割にも達するという衝撃的な調査結果が発表されました。
 しかも、最近はトップアスリートだけでなく普通の若い女性の間で無月経が増えているといいます。

 妊娠・授乳中でもなく、閉経を迎える年齢でもないのに、それまであった月経が3カ月以上ない状態を続発性無月経といいます。一方、18歳になっても月経がない場合を原発性無月経といい、多くは先天的なものとされます。ここでは、続発性無月経(以下、無月経)について取り上げます。

無月経=女性ホルモンが低下した状態。放置はさまざまなリスクを高める

 無月経の状態とは、女性ホルモンの分泌が低下した状態ですが、女性ホルモンの働きは月経や妊娠だけでなく、骨や血管、脂質、皮膚、精神状態など全身の健康に及びます。
 そのため無月経が続くと、さまざまな心身の不調が起こったり、不妊や骨粗しょう症、動脈硬化などのリスクが高まります。

 無月経は放置した時間が長くなるほど治療が難しくなり、時間もかかるため、気づいたらできるだけ早めに対処することが大切です。

月経は卵巣、子宮、脳の連携プレーによって成立

 月経は、通常25~38日くらいの間隔で、子宮内膜が厚くなってははがれ落ちることをくり返します。この周期は、卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の働きで調節されています。そして卵巣は、脳の視床下部や下垂体からの指令によって女性ホルモンを分泌しています。

 このように月経は、卵巣、子宮、脳の視床下部や下垂体の連携プレーによって成り立っているため、これらのうちどこの働きがうまくいかなくても、月経の異常が起こります。

若い女性に多い無理なダイエットや心身のストレスによる無月経

 若い女性の無月経の原因で圧倒的に多いのは、無理なダイエットによるやせすぎや心身のストレスです。やせすぎや強いストレスは脳の視床下部や下垂体の働きを抑制してしまい、それによって卵巣からの女性ホルモンの分泌が低下し、月経の異常が起こるのです。

 極端なダイエットなどで体重が大きく減少すると、体は生命の維持を優先して排卵・月経などの生殖機能を後回しにするため、無月経になるといわれます。トップアスリートの場合、体重制限や激しいトレーニングによる体重・体脂肪の減少により、同様のことが起こっています。

 「やせすぎ」とされるBMI 18を下回ると、無月経のリスクは高まります。

 *BMI=体重(kg)÷身長(m)2
 (身長160cmの場合、46kg以下は「やせすぎ」となります)

 このほか無月経の原因には、卵巣や子宮の病気、甲状腺や副腎の病気、薬物の影響などがあります。43歳までに閉経してしまう場合を早発閉経と呼ぶこともありますが、その原因についてはよくわかっていません。

治療はホルモン療法が中心。極端なやせすぎの場合はまず体重を戻すこと

 無月経の治療では、まず妊娠の可能性を除外したうえで、原因がどこにあるのか調べます。血液検査によるホルモン検査、超音波による卵巣や子宮の検査などを行い、原因となる病気があればその治療を行います。

 ほかの病気がない場合、通常ホルモン剤を用いて月経を起こすホルモン療法が行われ、漢方薬が併用されることもあります。
 ストレスやダイエット、激しいスポーツが原因の場合、ストレス対策や食生活など生活習慣の改善、トレーニング量の調整など、原因に応じた指導や生活習慣の見直しが必要です。

 極端なやせすぎによる無月経の場合は、月経を起こすこと自体が体の負担になってしまうため、まず体重を戻すことが治療の基本となり、多くの場合回復には長い時間がかかります。

 月経周期が乱れたらまず生活を見直し、それでも3カ月以上月経が来ない場合は早めに婦人科を受診してください。

【関連コラム】「月経不順を甘くみないで!」

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
福本 由美子先生


済生会奈良病院・松原徳洲会病院婦人科医
1986年奈良県立医科大学卒業。同大附属病院、東大阪市立総合病院、湘南鎌倉総合病院、松原徳洲会病院の産婦人科勤務を経て、大阪中央病院泌尿器科・ウロギネセンターで産婦人科医としての経験を生かし、女性泌尿器科診療に携わった。現在は済生会奈良病院・松原徳洲会病院で婦人科医として診療を行う。医学博士。日本産科婦人科学会認定専門医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本性科学会認定セックス・セラピストなど。共著に『女性泌尿器科外来へ行こう』(法研)、『30歳からのわがまま出産』(二見書房)など。

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