咳が治らない原因は「咳喘息」かも? 咳喘息の6つの症状とは

風邪の後や、季節の変わり目に咳が続く

夜中や明け方に激しい発作、寒暖差やたばこの煙でも。気管支喘息との共通点が多く、治療法もほぼ同じ

しつこい咳が1カ月以上も続く

 風邪は治ったはずなのに、咳(せき)がなかなか止まらず1カ月以上も続いている――こんな場合は「咳喘息(せきぜんそく)」という病気になっている疑いがあります。

 咳喘息は、気管支の内側の粘膜に慢性的に炎症が起こっていて、ちょっとした刺激にも過敏に反応して咳の発作が起こるものです。咳は慢性化し、1カ月どころか、ひどい場合は1年以上も続くことがあります。

<咳喘息の主な特徴>
・夜中や明け方に激しく咳が出る
・季節の変わり目の寒暖差や花粉、たばこの煙などで空咳が出やすい
・しつこい空咳が1カ月以上も続く
・のどがイガイガする
・長話しや電話などで大きな高い声を出すと強く咳き込む
・激しい咳き込みで胸が痛くなったり、失神することがある

気管支喘息との違いは喘鳴や息苦しさがないこと

 咳喘息の特徴、症状は気管支喘息とよく似ていますが、気管支喘息に特有の「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴(ぜんめい)や息苦しさ、粘り気のある痰(たん)が出るといった症状はなく、咳だけが続きます。

 気管支喘息では気管支の粘膜がむくんで気道(空気の通り道)が狭くなっているところへ、粘り気のある痰(たん)がからんで、気道はさらに狭くなります。
 こうして非常に狭くなった気道を空気が通過するときの音が喘鳴なのですが、咳喘息では気道は気管支喘息ほど狭くならないため喘鳴は起こりません。

 また咳喘息も気管支喘息も、気道にアレルギーによる炎症が起きていて、痰の中に白血球の一種である好酸球が多く集まっているという点で共通しています。

 このためどちらも、気道を広げる吸入ステロイド薬や気管支拡張薬を治療に使います。咳喘息は1~2カ月治療を続ければ治る病気ですが、治療もせずに放っておくと次第に気道が狭くなっていくとともに、気道の過敏性が進行して症状が悪化したり、何回も咳喘息をくり返していると、約3割は気管支喘息に移行するといわれています。

咳をもたらす要因にアレルギー性と非アレルギー性

 炎症の起きている気管支粘膜を刺激して咳の発作をもたらす要因はいろいろありますが、アレルギー性のものと非アレルギー性のものに大別できます。

●アレルギー性
 アレルギーを起こす原因物質(アレルゲン)には、ほこりなどのハウスダスト、ダニ、犬や猫などのペットの毛、花粉などがあります。

●非アレルギー性
 気温や湿度の変化、風邪などのウイルス感染、たばこの煙、香水の強い匂い、辛い食べ物、大気汚染、運動、飲酒、精神的ストレスなどがあります。

風邪をきっかけに起きやすい咳発作

 咳喘息は風邪をきっかけに起こることが多いといわれます。ウイルス性の感染症による咳は1~3週間もすれば治まるのが一般的。それが市販の咳止め薬などを用いても治まらず、むしろ悪化するようなら、咳喘息を疑ったほうがよさそうです。
 長引く咳の約半数は咳喘息だった、という報告もあります。

 日常の生活のなかで咳喘息を防ぐには、以下のようなことに気をつけてください。

●風邪やインフルエンザに注意する
 風邪やインフルエンザが流行する時期には、外出時にはマスクを着用し、外出から帰ったら手洗いとうがいを徹底しましょう。

●部屋をこまめに掃除する
 アレルゲンとなるハウスダストやダニ、ペットの毛などを極力減らします。週に数回は部屋を掃除し、寝具を日光に干すなどしましょう。

●たばこの煙を避ける
 自分が禁煙することは当然ですが、他人のたばこの煙による受動喫煙にもさらされないようにしてください。

●アルコールは控えめに
 飲酒により体内にできるアセトアルデヒドという物質はヒスタミンを放出させて、気道を収縮させるので咳が起きやすくなります。

●気温の変化に注意する
 季節の変わり目は気温の変化が大きく、咳喘息の発作が起こりやすい時期。天気予報に注意し、外出時には服装による温度調節ができるような用意を。

●ストレスをためない
 気道はストレスによっても過敏になります。ストレスの原因になる過労を避け、睡眠や休養を十分にとりましょう。

 もしかして咳喘息かもしれない、と気づいたら呼吸器の専門医に受診し、きちんと治療を続けることが重要です。
 咳は1週間くらいで止まることはありますが、気管支の粘膜の炎症は1~2週間では治らないといわれます。そんなときに咳が止んだからと薬の服用をやめてしまうと、咳喘息は再び悪化して何度も繰り返すことになりかねない、ということを知っておいてください。

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
佐野 靖之先生


佐野虎ノ門クリニック院長
東京アレルギー・喘息研究所所長
1970年東京大学医学部卒業。同大附属病院、東京都老人医療センターを経て、78年、米国クレイトン大学アレルギー病センターに留学。その後、東大医学部助手、国立医療センター、同愛記念病院アレルギー・呼吸器科部長を経て、2006年より現職。研究テーマは、重症難治性喘息、喘息死、慢性閉塞性肺疾患、ブロンコレア。『スーパー図解 ぜんそく―最新治療と健やかな毎日の知識』(法研)、『名医の図解 ぜんそくに克つ生活読本』(主婦と生活社)など著書多数。

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