エボラ出血熱の感染経路とは? 感染から潜伏~発症までの症状

ウイルスに感染した人・動物の血液などへの接触により感染

空気感染はしないので、必要以上に恐れることはない。正しい知識を持ち、しっかりした対策を

エボラ出血熱が西アフリカで猛威を振るう

 2015年1月12日付けの世界保健機関(WHO)の発表によると、ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、エボラ出血熱(エボラウイルス病)の患者数(疑い例も含む)は2万1千人を超え、死者は8千3百人を超えました。
 1970年代以降中央アフリカでしばしば流行が見られたエボラ出血熱は、昨年(2014年)春より西アフリカの上記3国を中心に猛威を振るい、多くの死者を出しています。現在感染拡大の勢いの弱まっている地域はあるものの、感染者は増え続けています。

 また、西アフリカで治療に当たった医療関係者を中心に、アメリカやスペイン、イギリスでも感染者が出ており、アメリカ人が1人死亡しています。
 日本では今のところ感染者は出ていませんが、上記のように、日本国内での発生リスクもゼロではありません。実際、昨年後半には日本でも、流行国から帰国後に感染が疑われたケースが4件ありました(いずれも検査結果は陰性)。

 万が一の場合に、しっかりした対策がとれるように、エボラ出血熱について正しい知識をもちましょう。

突然の高熱、頭痛に始まり、出血することも。致死率が非常に高い病気

 エボラ出血熱はエボラウイルスによって起こる感染症です。潜伏期間が2日から3週間(通常は7~10日)ほどあり、38度以上の高熱、頭痛、脱力感、筋肉痛、のどの痛みなどインフルエンザのような症状で始まります。

 続いて下痢やおう吐、発疹、腹痛、胸の痛みなどの症状が現れ、さらに進行すると目や耳、鼻、肛門など体のあらゆる場所から出血して死に至り、致死率は50~90%と非常に高いのが特徴です。
 なお、出血を起こすのは全体の2割ほどで全ての患者ではないことから、最近は「エボラウイルス病」と呼ばれることも多くなっています。

 今のところエボラ出血熱のワクチンや特効薬はありませんが、今回の流行を受けて開発が行われ、研究段階にある未承認薬の投与や臨床試験なども始まっています。

エボラ出血熱の患者に直接接触することで感染

 エボラ出血熱は、エボラウイルスに感染した人や動物の体液など(血液、唾液、おう吐物、排泄物、汗など)に直接触れたときに、小さな傷のある皮膚や粘膜からウイルスが体内に侵入して感染します。
 症状が出ていない人から感染する可能性はほとんどなく、空気感染もしないとされています。そのため、同じ乗り物に乗り合わせたとか、すれ違った程度ではまず感染しません。

 しかし感染力は非常に強く、たとえば患者の体液などに触れた手で自分の体のどこかを触ったりした場合、そこに小さな傷があれば感染する危険があります。患者が触ってウイルスが付いた家具や物に触った場合も、同様に感染の危険があります。
 患者の体液のついた注射針を使い回ししたり、誤って刺したりすれば、ほぼ100%の確率で感染するとされます。

 流行地では、ウイルスに感染したコウモリ、サルなどの野生動物の死体や生肉に直接触った人が感染し、人間の間にウイルスが持ち込まれたと考えられています。
 そして、患者に直接触れる機会の多い医療従事者や家族・近親者などへと感染し、また、葬儀で遺体に触れる風習によって参列者へと感染が拡大したと見られます。

エボラ出血熱を必要以上に恐れることはないが、流行国へ渡航する人は要注意

 エボラ出血熱は、咳やくしゃみなどで人から人へ簡単に感染するインフルエンザなどとは異なり、主に患者に直接接触することで感染すること、流行地域が主にアフリカであることから、日本で感染が広がるリスクは少ないと言われています。

 ですから、日本国内にいてエボラ出血熱を必要以上に恐れることはありませんが、流行国に渡航する人は次のことを心がけてください。

・流行地での行動、感染が疑われる人との接触を可能な限り避ける
・流行地では動物の死体に近づいたり触ったりしない
・きちんと加熱処理されていない肉は食べない
・石けんで手を洗う。アルコール消毒も有効

 現在、外務省は流行国への不要不急な渡航の延期を呼びかけています。また厚生労働省は、流行国から帰国・入国した人の健康状態の監視を行い、「帰国後1カ月程度の間に発熱した場合は万一の場合を疑い、地域の医療機関の受診は控え、まず保健所に連絡して指示に従うこと」としています。

【参考】
厚生労働省 エボラ出血熱に関するQ&A(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/ebola_qa.html
国立感染症研究所 エボラ出血熱(http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/a/vhf/ebora.html

(編集・制作 (株)法研)

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