女性のセックスの痛みの原因は? 病気の場合の心理的な問題の場合

まずは二人で話し合い、解決しないときは婦人科に相談を

病気やホルモン変化などの体の問題、セックス自体が痛みを引き起こす心理的な問題など、原因はさまざま

多いのは女性側に「体の準備」ができていないこと

 女性にとってセックスのときの痛み(性交痛)は、近しい人や当のパートナーにすら言い出しづらく、苦痛をがまんするあまりパートナーとの関係自体にも影響することがあります。

 性交痛の原因は本当にさまざまですが、一般に多いのは、女性側に「体の準備」ができていないことでしょう。
 セックスのとき、女性は気持ちの高まりに伴って腟が潤ったりゆったりと拡がったりして「体の準備」が整いますが、その前に挿入を急がれると、腟口のあたりに痛みが出たり、外陰部や腟に傷ができたりします。
 また、強い刺激や激しい動きのために苦痛を感じる場合もあります。

 このような場合は、パートナーと話し合って配慮し合うことで解決できる場合がありますし、市販の潤滑ゼリーなどで改善することもあります。

身体的・心理的な原因がある場合、まず婦人科に相談を

 話し合って工夫しても性交痛がある場合は、次のような原因が考えられます。

(1)主に身体的な問題
・腟や外陰部の炎症、傷
・子宮、卵巣、卵管、膀胱などの病気
・閉経に伴う女性ホルモン低下による外陰部の変化
・出産時の傷、出産後のホルモン変化による外陰部の変化

(2)主に心理的な問題
・性器・骨盤痛/挿入障害(セックスにかかわる行為自体が痛みを引き起こす状態)

 痛みが続く場合はまず婦人科医に状況を説明し、対策をよく相談しましょう。

●腟や外陰部の炎症
 腟や外陰部に細菌や真菌(かび)、ウイルスなどの感染が起こると、炎症を起こしておりものが増えたり、かゆみが出たり、粘膜がただれたりします。そこへセックスの刺激が加わると痛みが起きます。

 セックスでうつる感染症が原因になっている場合、パートナーも一緒に治療しないと治りません。婦人科や皮膚科、泌尿器科に相談するとスムーズに治すことができます。

●子宮内膜症
 子宮内膜症は、本来子宮の中で起こる月経が、子宮の壁の中や腹膜、卵巣、卵管、そのほかの臓器など別の場所で起こることで、さまざまなつらい症状を生じる病気です。
 月経のたびに強い月経痛や月経量増加などで日常生活に大きく差し障わったり、月経以外の時期に痛みが生じることもあります。セックスのポジションによっては、腟の奥に強い性交痛が起こることがあります。

 いずれ妊娠を考えている方は、性交痛の対策をしながら、早めの妊娠にチャレンジするのも方法です。治療の選択については婦人科の主治医とよく相談しましょう。(「選択肢が増えている子宮内膜症の治療」参照)

●間質性膀胱炎
 間質性膀胱炎という特殊な膀胱炎でも、性交痛が起こります。

 この病気は、尿を調べたり、膀胱鏡という膀胱の中を見る内視鏡で調べても異常がほとんど見つからないのに、尿がたまると強い痛みが起きたり、尿意切迫感という今にも尿がもれそうな強い尿意が生じます。そのため、患者さんは昼も夜も頻繁に排尿せずにはいられない状況になります。

 痛みの範囲は骨盤の中や外陰部、時には太ももあたりにまで広がることがあり、腟に触れるだけでも痛みを生じ、性交痛も起こります。
 診断や治療は、泌尿器科で行います。

●性器・骨盤痛/挿入障害
 初めてのセックス以来毎回性交痛があって、そのためにセックス自体が困難な方もいます。挿入困難な感じがあって、セックスに関連した行為自体が痛みのために難しい状態を「性器・骨盤痛/挿入障害」といい、専門のセラピストやカウンセラーの治療を受けることで対処することが可能です。

 セックスの不具合に対しての診断や治療について研究している日本性科学会という医療関係者の団体があり、学会の主宰するカウンセリングルームに相談することができます(要予約)。
 相談・治療などの料金や時間帯、カウンセリングルームなどの詳細は日本性科学会ホームページ(http://www14.plala.or.jp/jsss/)でご確認ください。近隣のカウンセラーについての情報提供も受けられます。

まずはパートナーとコミュニケーションを

 性交痛をがまんしたりしないで、まずはパートナーに「痛みのために苦しんでいること」「そのためにセックスに対して消極的になっていること」「解決するために協力してほしいこと」「病院やカウンセリングルームで相談することを考えていること」などを伝えられるといいでしょう。

 不具合が出たときこそ性について二人で話し合うきっかけだと考えられれば、これほどよいことはありません。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
福本 由美子先生


松原徳洲会病院・済生会奈良病院婦人科医
1986年奈良県立医科大学卒業。同大附属病院、東大阪市立総合病院、湘南鎌倉総合病院、松原徳洲会病院の産婦人科勤務を経て、大阪中央病院泌尿器科・ウロギネセンターで産婦人科医としての経験を生かし、女性泌尿器科診療に携わった。現在は松原徳洲会病院、済生会奈良病院で婦人科医として診療を行う。医学博士。日本産科婦人科学会認定専門医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本性科学会認定セックス・セラピストなど。共著に『女性泌尿器科外来へ行こう』(法研)、『30歳からのわがまま出産』(二見書房)など。

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