ひどい生理痛は病気のサインかも? 放置してはいけない女性の病気

不妊症の原因にもなる「子宮内膜症」を疑い、早めに婦人科へ

早めに診断を受け適切な治療を始めることで毎日の生活が劇的に楽に。将来の妊娠・出産にも有利

動けなくなるほどの生理痛は病気

 月経痛(生理痛)は誰にでもあるもの、そう思っていませんか? 違うんです。動けなくなる、痛み止めが効かない、学校を休んでしまう、そのような痛みは異常です。

 30年ほど前までは、生理痛に対して痛み止め以外の方法はなく、「早く子どもを産みなさい、産めば楽になるから」のようなアドバイスしかありませんでした。子どもを産んでも楽になるとは限らないのですが、これ以上子どもが要らないとなれば、子宮を手術で取り除くという方法もありましたから、間違いというわけではありませんでした。

 しかし、子どもを作らないからと言っても子宮を取ってしまうことには抵抗もあるでしょうし、早く出産するように言われても、そうできない理由がある人も多いでしょう。
 現在ではもっと良い方法があります。知らずにいては損をしますよ。

「ひどい生理痛」という子宮内膜症のシグナルを見逃さない!

 ひどい生理痛がある場合には「子宮内膜症」という病気が隠れていることがあります。子宮内膜症は、本来は子宮の内側だけにある子宮内膜組織がそれ以外の場所(最も多いのは卵巣)で増殖する病気で、不妊の原因になることもあります。

 この病気は治療をすることで生活が楽になったり、将来の不妊を避けることができたりします。せっかく「ひどい生理痛」というシグナルが出ているのに、それを放置して苦しい日々を過ごし、市販の痛み止めやサプリなどで対処しているうちにさらに将来の妊娠の可能性を低下させてしまう人がいるのが残念です。シグナルを見逃さず、早めに婦人科に行って相談しましょう。

子宮内膜症の人は早めの妊娠・出産を考えよう

 婦人科で子宮内膜症(チョコレート嚢腫、子宮腺筋症など)と診断された人は、自分の人生の中で妊娠・出産に対してどのような戦略で望むのかを考えてみましょう。

 一般に子宮内膜症は生理のたびに徐々に悪化していきます。痛みが強くなっていったり、症状が進行して痛み止めが効きにくくなったり、卵巣のチョコレート嚢腫が大きくなって手術が必要になったり、卵管が癒着し動きが悪くなって不妊になったり、さまざまなことが起こるようになります。

 また、子宮内膜症は完全に治療することができない病気です。それ以上悪化しないように閉経するまでつき合っていく病気なのです。
 よって、自分の子どもを産むことを望む女性は、より早めに妊娠や出産を考えたほうが有利です。30代後半になって後悔することのないように、少なくとも妊娠を先送りすることは不利なのだと知っておいてください。

子宮筋腫よりもずっと対応しにくい子宮腺筋症

 子宮内膜症の中の一つの形として、子宮内膜が子宮の筋肉の中に潜り込んで増殖する「子宮腺筋症」があります。やはりひどい生理痛を起こし、進行すると子宮が変形して不妊の原因になったり、流早産の確率が高くなったりします。

 子宮腺筋症はまた、子宮にできる良性腫瘍である子宮筋腫にも似ていて、月経量が増えて貧血の原因になったり、子宮が大きくなったりします。
 ただし、子宮筋腫が手術で取り除くことも比較的簡単であるのに対して、子宮腺筋症は手術で取り除くのはやや困難です。そーっとしておいて、大きくなる前に出産を終えてから、必要なら子宮全摘をするような場合が多く、やはり早めの妊娠・出産が有利です。

低用量ピルはひどい生理痛にも有効

 生理痛で最初に行う治療は、痛み止めです。その人に合った薬、その人に合った量、使い方をするだけでも、ずいぶん楽になる人もいます。使いすぎて中毒になるようなことはありません。我慢しても、痛み止めを使っても、病気そのものは同じように進行していきますから、無理しないで痛み止めを使いましょう。

 また、低用量ピルを服用することで生理痛が激減し、かつ子宮内膜症の悪化を防ぐことができます。低用量ピルは日本では1999年に認可されて使えるようになり、さらに2008年からは一部が保険適用になっています。子宮内膜症と診断された人は、早めにピルを服用するのが有利です。残念ながら、日本ではピルは婦人科に行かないと手に入りません。

 もちろん、ピル以外の方法(偽閉経療法、ジエノゲストなどの内服、手術など)もあります。患者の状態、将来の妊娠希望などを総合的に考えて、さまざまな治療がありますから、病気が進行して治療の選択肢がなくなるまえに、早めに産婦人科で相談してください。

 ひどい生理痛は放置せず、早めに診断を受けて適切な治療を始めることで、毎日の生活が劇的に楽になりますし、将来の妊娠や出産に有利に働きます。苦しい生活を送った上に、将来後悔しないように、早めに診断をつけてもらって、対処法を相談しましょう。

【参考】
「生理痛情報ナビ」(http://seiritsuu-navi.com/life/teens.html
「子宮内膜症情報ステーション」(http://www.jecie.jp/faq/

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
太田 寛先生


慈桜会 瀬戸病院産婦人科(埼玉県所沢市)
北里大学医学部公衆衛生学 助教
1989年京都大学電気工学科卒業後、日本航空に勤務。2000年東京医科歯科大学卒業。茅ヶ崎徳洲会総合病院、日本赤十字社医療センターを経て、北里大学医学部助教。瀬戸病院へ出向中。医学博士、日本産科婦人科学会専門医。

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