なんとなくダラダラ過ごす時間は有効? のんびり時間の意外な効果

無目的という目的

 

秋も深まってきましたね。思索にふける秋。今日は仕事やプライベートを充実させるためのちょっとためになる話をしていきます。

ハンガリー出身のアメリカの心理学者M. チクセントミハイは「楽しみ」の研究を行う中で、「仕事」「遊び」という二分法ではなく、「仕事」も楽しいものでありえるし、「遊び」が常に楽しいわけではないこともありえるということ報告しています。そして何か物事を楽しんでいるときの時間を忘れるような感覚を「フロー体験」という概念で説明しています。

「フロー体験」とは、「ある行為に没入している時に人が感じる包括的感覚」と定義され、何かに没頭して高揚感を味わうなどがそれにあたります。没入感が高いと、未来への漠然とした心配や過去への拭い去れない後悔は浮かんでこないので、その間はストレスによる負荷が少ないと言えます。没入している間の行為は、必ずしも使命感があったり、大義名分のある行動でなくてもよいのです。

まずは、日々の業務でのフロー体験をみていきます。
前述したように、必ずしも使命に燃えていたり、天職だったりはしなくても、仕事に関してはフロー体験に関係する要素は二つあるといわれています。それは、退屈と不安です。人はあることに対して自分の技能が高すぎると退屈します。ですからハードルをあげるというのは意外にパフォーマンスをあげて満足感を生み出します。また、ある行動や課題を達成しようとするときに、自分の技能と照らし合わせ、あまりにも不足していると感じると不安になります。挑戦することと自分の技能や能力のバランスが取れると人はフロー体験ができます。

では仕事から離れたプライベートではどうでしょうか?
フロー体験は何も、趣味のアウトドアやダイビング、海外旅行で非日常の体験をしているときだけではありません。何となくお茶を飲む、何となくテレビを見る、散歩する、DVDをみる、惰眠をむさぼるなど、日常には「何となく」がいっぱいあります。チクセントミハイはこれらもフロー体験の一種としているのです。一見無目的な活動でも実は、創造性を高めて意欲的に生活する大事なエネルギーを蓄えている時間、とされています。

より充実した人生を送るには、日常では無目的な活動を大事にし、仕事では不安なのか退屈なのか調整をしていくことで、楽しいと感じる時間が増えるかもしれません。
プライベートでの無目的の時間を削って、スキルアップや資格取得のために寸暇を惜しまないという上昇志向の人もいるでしょう。だらだらしていると罪悪感をもつ人もいるでしょう。しかし、無目的の時間は集中力を養ったり、精神衛生を保ったりする大事な役目を果たしています。何となくの時間、だらだらの時間、そういう時間は実はあなたへのプレゼントなのです。

M. チクセントミハイ 著(今村浩明 訳)『たのしむということ』 思索社、1991

【執筆】
ピースマインド・イープ 浅井咲子


■ピースマインド・イープ株式会社
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