健全な境界線とは? 「自分の領域」と「外の世界」を区切るライン

外界とのよりよい関係のために

 

「境界線」と聞くと、皆さんは何をイメージされますか?国境や土地の区画などの物理的な区切り、定義などの意味の分かれ目など、その言葉にはさまざまな意味合いが含まれています。

人が、「自分の領域」と「外の世界」を区切る目に見えないラインも境界線と呼ばれます。この境界線は、人それぞれ異なり、その人の外の世界に対するスタンスが反映されています。境界線が硬く、いいものであっても外の世界からの影響を寄せつけない方、ゆるくて外からの影響を受けすぎ、自分自身というものが揺さぶられがちな方など、様々です。

「境界線」という言葉から、冷たくてエゴイスティックなイメージを抱かれるかもしれません。特に対人支援や人材育成に関わっている方の場合、「受容」や「共感」の重要性をトレーニングされていることが多く、相手の立場に立つことや、相手の気持ちを受け入れることを優先させることが習慣になっている方も少なくないでしょう。

もちろん、「受容」や「共感」は人と関わる上で非常に大切な概念です。そこから生まれる調和や安心感は、豊かな人間関係を築く上で必要不可欠と言えるでしょう。しかし、それもお互いの間に健全な境界線があった上でのことです。

健全な境界線が設定されていると、他者からの不当な要求に対して「No」と言って退けたり、自分を守るために逃げたり戦ったりすることができます。健全な境界線が築かれていないと、自他の区別が曖昧となり、不当な扱いに対しても不当であることが感じられず、相手の要求をひたすら優先してしまうといったことが生じがちです。こういった状態は、いわゆる共依存と呼ばれる、役割がパターン化したうまく機能しない関係にも繋がりがちです。 また、同じ部位を何度も怪我したり、同じような危険な人物を何度も引き寄せてしまうといったパターン化した出来事も、境界線が影響していると考える説があります。

境界線の設定はどういった要素で決まってくるのでしょうか。それは、それまでのその方の人間関係や外界との関係の集大成と言えます。例えば、幼少期に家庭の中が安全ではなく、大人からの暴力や不適切な扱いを受けた方は、境界線が弱くなることがあります。子どもは親に適応していく他に生き延びる術はありません。自分の境界線を弱め、親に同化するというやり方でしか、自分を守らざるを得なかったのでしょう。

このような発達過程で身につけた境界線の持ち方に、違和感を感じるようになることがあります。今現在に危険はなく相手を受け入れたいのに、それまでに培ってきた硬い境界線の影響で必要以上に相手に遠ざけてしまうなど、現在の意思との間にギャップを感じることがあるからです。

そんな時は、信頼できるセラピストと一緒に境界線について取り組んでみてはいかがでしょうか。境界線は固定的なものではありません。取り組むことで徐々に変化しうるものです。

まずは一人で取り組みたいという方は、是非以下の呼吸のワークを試してみてください。他者と関わる際、常に自分の呼吸を意識しながら行う、というものです。自分の身体感覚に意識を置くことで、自分と相手との距離感がどう変わるか、どんな感情が生まれてくるか、観察してみましょう。

柔軟性のある境界線を築き、外の世界とより豊かに交流していきましょう。

【執筆】
ピースマインド・イープ 若尾秀美


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