意外なストレスの原因-頑張りずぎて体調を崩したAさんの場合

「いつもと違う」ことの連続に要注意!

 

イベントや環境の変化などが重なることの多い、期の変わり目。数年ぶりの旧友との再会や、親戚の集まり、まとまった休暇を利用しての旅行といった、心躍る楽しみがある方も多いかもしれません。
でも、ここでちょっと知っておいていただきたい意外なことがあります。それは、どれほど嬉しいイベントであっても、非日常的なことが重なったり続いたりすると、エネルギーが費やされ、ストレスの元に成り得る、ということです。

さまざまなストレス元

1960年代にワシントン大学精神科医のホームズらは、「結婚」によるストレス度を50点とした場合のさまざまなライフイベントのストレス度をまとめました。アメリカにおける半世紀近くも前の調査ですから、そのまま現代の日本に置き換えて考えるには無理がありますが、具体的なイベントのストレス度を数値化した点で画期的だったため、今でもさまざまな書物によく取り上げられています。この中でもっともストレス度が高いとされたのが「配偶者の死」でした(100点)。また「結婚」以外にも、「個人的な成功」や「クリスマス」のように、喜ばしいイベントについてもストレス強度が示されています。
日本では精神科医の夏目誠氏らによって、勤労者や主婦、大学生らを対象としたストレス研究が行われています。ストレスドックを受けた勤労者を対象とした研究によれば、過去1年間に体験したイベントのストレス度合計が、300点を越えた人の67%が精神疾患であったそうです。

よくありそうな具体例から

エネルギッシュな30代の男性Aさんは、豊富な経験が活かせて高い給与が得られる職場を求めて転職、それと同時に単身赴任で家族から離れて新しい仕事に就きました。いざ入社してみると、そこでは仕事内容や職場環境が違うだけでなく、人間同士の関わりが希薄で隣の人ともメールでやりとりすることが日常的だったのです。Aさんは会話の少なさにとまどいを覚えました。それでも、自分さえ努力すれば何とかなると信じ、受験生の世話でゆとりのない妻と毎日電話で話はするものの、心配をかけたくないと愚痴もこぼさず、独りで辛い思いを抱え込んで頑張っていました。しかし、うまく仕事になじめないと感じて半年も経つと、徐々に自信がもてなくなり、よく眠れず夜中に目が覚めてしまう、食欲がない、仕事への意欲が湧かないといった症状がでてきました。ようやく妻に打ち明けて心療内科を受診したところ、抑うつ状態との診断を受けました。
このケースにおけるAさんのストレスの元は「転職」、「収入の増加」、「単身赴任」、「住宅環境の大きな変化」、「同僚との人間関係」、「子供の受験勉強」、などが相当します。夏目氏による点数表でみたストレス度の合計は、250点を超えていました。

過重なストレスへの気づきが大事!

Aさんはすぐに変調に気づいて行動できたため、比較的早く回復できましたが、一旦メンタル不全になると、エネルギーを回復するまでに一定の時間が必要です。それならば、メンタル不全にならないように予防できればいいのでしょうが、何がストレス元になるかは人によって違いますし、ストレス元をすべてコントロールすることも困難です。
そこで、ちょっと疲れたなと感じた時、いつもと違うことが複数なかったかどうか振り返ってみましょう。ストレスをためていたことに気づければ、それだけでも十分意味があります。意識的に休養をとるなど早めに自分に合うエネルギー補充をして、次なるイベントに備えましょう。

参考文献:夏目 誠著「勤労者のストレス評価法(第2報)-ストレスドック受検者の1年間における体験ストレス点数の合計点とストレス状態や精神障害との関連から-」『産業衛生学雑誌』2000年42巻 4号、p.107-118

【執筆】
ピースマインド・イープ 藤縄 理恵子


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