【プロバイオティクス】ぷろばいおてぃくす

 人間の腸内には約100種類、100兆個もの細菌が棲みついています。その中には有用菌(善玉菌)、有害菌(悪玉菌)がいて、善玉菌のナンバーワンが、あなたもよく知っているビフィズス菌であり、悪玉菌の代表をウェルシュ菌といいます。腸内ではこの善玉菌と悪玉菌が勢力争いを繰り広げています。ビフィズス菌が増えれば腸内環境は良くなり、ウェルシュ菌などの悪玉菌が増えると、下痢や便秘、動脈硬化、高血圧、ガンなどの原因になりかねません。
「プロバイオティクスは、腸内の有用菌の増殖を促進したり、有害菌の増殖を抑制し、健康に有利に働く細菌や酵母のことで、乳酸菌、納豆菌、酪酸菌などの生きた細菌や、ヨーグルトなどの発酵乳、乳酸菌飲料がこの範疇に入ります」(東京大学名誉教授 光岡知足先生)

ビフィズス菌で体が10歳若返る

  善玉菌であるビフィズス菌が多ければ腸は理想的な状態だといえます。しかし腸内環境は、ちょっとしたことがきっかけで、すぐにバランスが崩れ、悪玉菌が増殖してきます。偏った食事や暴飲・暴食、ストレス、疾病、そして加齢などです。

例えば、右のグラフにもある通り、年齢とともにビフィズス菌は減少し、ウェルシュ菌が増加してくるのが分かります。また肉体的特訓(=ストレス)を2週間続けていると、開始時と比較して終了時にはウェルシュ菌が著しく増加し、ビフィズス菌が減少し、腸内環境は、老人のような状態になってしまったという研究報告もあります。  また大腸がん患者と胃がん患者の腸内細菌を調べた結果、悪玉菌が高いことが分かりました。 「プロバイオティクスを摂り、腸内環境を整え、ビフィズス菌を優勢にしておくべき理由が、お分かりでしょう」(光岡先生)

一日100ml以上、 無糖がオススメ

●プロバイオティクスの効用
(1)ヨーグルトや乳酸菌飲料はカルシウムの吸収率がよい
(2)ヨーグルトは疲労を回復し、肌を美しく保つ
(3)栄養補給に最適
(4)ヨーグルトは血液中のコレステロール値を下げる
(5)ヨーグルトによってはラクトトリペプチドを含み、高血圧を予防する
(6)免疫力を高める
(7)糖尿病の予防、治療に効果的
(8)牛乳が飲めない乳糖不耐症の人でも摂れる

●プロバイオティクスでビフィズス菌が腸内で増加すると
(1)身体を病原菌感染から守る
(2)腸内の腐敗を抑える
(3)ビタミンを作り出す
(4)腸の運動を促し、便秘を改善
(5)下痢の予防と治療
(6)体の免疫力を高める
(7)発ガン物質の排泄を促進し、ある種のガンの予防につながる
「ビフィズス菌の効果で体内老化が止まれば、体は10歳若返りますよ」(光岡先生)

ヨーグルトなどの発酵乳や乳酸菌飲料を摂るときは、少なくとも一日100ml以上を、と光岡先生は言います。
「私は市販のブルガリア・ヨーグルトを種菌として、低脂肪乳で家庭用ヨーグルターを使って作ります。毎日朝食時350ml、きなこ18g・ビタミンCを1g加えて摂っていますよ。このくらい摂るなら、無糖のヨーグルトをおススメします」。

 ところでヨーグルトにしても乳酸菌飲料にしても、ビフィズス菌の入ったものが特に優れているわけではありません。乳酸菌は、ブルガリア菌(ラクトバチルス)、サーモフィルス菌(ストレプトコッカス)など、様々なものが使われていますから、自分の好みと目的に合わせて選べばよいのです。
「乳酸菌は生きて腸まで届かなければ有用ではないと誤解している人がいますが、ヨーグルトやオリゴ糖は、腸内にすでに棲みついている自分のビフィズス菌を、増やす働きがあります。加熱・殺菌された乳酸菌でも、生きた菌とほとんど同様の効果があるのです」(光岡先生)

右から、LB81乳酸菌が入ったヨーグルト「美しいあした」¥126/明治乳業 植物性乳酸菌「ヴェリレアトライアル10」¥980/ファーストブランド L‐92乳酸菌入り「インターバランスL‐92のむヨーグルト」¥137/カルピス


光岡知足(ともたり)先生/東京大学名誉教授。「腸内細菌」研究の第一人者。
主な著書に『健康長寿のための食生活』(岩波書店)『腸内クリーニングで10歳若くなる』(祥伝社)など多数。