【ラクトフェリン】らくとふぇりん

 ラクトフェリンは「ラクト=乳」の中の「フェリン=鉄」と結合するたんぱく質を意味する、生理活性物質です。哺乳動物の乳に多く含まれており、ヒトの母乳ではとくに初乳(出産3~4日まで)に豊富です。
 「初乳1mlあたり約6mg含まれています。その後(常乳)は約2mgですが、赤ちゃんの健康維持に必要な成分であることは美奈さん、ご存知のことと思います。授乳期でない女性や男性も含めて成人にも、微量ながら涙液、唾液、粘膜液、子宮頸管粘液、血液(白血球)などに存在しています。外部から侵入する病原体(細菌やウイルス)からの攻撃を防御する働きがあるので、目や口、鼻、子宮頸管の粘膜うあ白血球などに存在しているわけです」(大槻克文先生)
 ラクトフェリンが戦う病原体は大腸菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、ピロリ菌など多数の細菌、カンジダ菌、水虫菌などの真菌類、C型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルスなどのウイルス類と多岐にわたるそうです。赤ちゃんはもちろん、私たちの体内においても、ラクトフェリンは最前線で病原体と戦っていると言っていいようです。

スキンケアからダイエットまで

 ラクトフェリンは抗病原体活性作用が特筆ものですが、ほかにもさまざまな働き(機能性)を発揮してくれます。
「口の粘膜を健全に保つことから、口内炎や口臭を予防・改善してくれます。歯科の領域では歯周病菌の毒素を解毒することが確かめられており、併せて口内環境を整えてくれます。また、月経前後や妊娠中の不安やイライラ、うつなども、ラクトフェリンを投与すると軽減します。加齢による萎縮性膣炎や性交感染などによる子宮・子宮頸管の炎症にも治療効果をもたらします。ドライアイや、皮膚の乾燥などにも有効でアンチエイジング効果も期待されています」(大槻先生)
 女性のQOL(生活の質)を高める働きが目立ちますね。

 腸内では乳酸菌やビフィズス菌を増やして便通を整えるとともに、腸管免疫を活性化します。悪玉菌や病原菌、寄生虫の生育に必要な鉄分を奪うからだそうです。 「近年は消化器系のがん、とくに大腸がんの予防になるという実験報告も出てきています。発がん物質を与えたラットにラクトフェリンを投与すると、大腸がんの発生率が半分以下に減少したというものです。また、ラクトフェリンを継続摂取すると、血中脂質(コレステロール、中性脂肪)が分解・排出されやすくなるという報告もあり、肥満予防も期待できます」(大槻先生)

効果的な摂取はサプリメントで

 いいことずくめのラクトフェリンですが、母乳には豊富でも通常、体内で合成されるのは微々たるもの。サプリメント(牛の乳から抽出)で補給するしかありません。牛乳(生乳)にも含まれていますが、熱に弱いのと、胃酸で分解されやすいため加熱殺菌された一般牛乳は充分な摂取効果は期待できません。
「生後間もない赤ちゃんは胃が未発達なのでお乳のラクトフェリンは腸まで届いて十分吸収されます。したがって、大人の場合、腸まで届く加工が施されたタイプのラクトフェリン・サプリメントを選ぶのが大事です」(大槻先生)

 その摂取量ですが、残念ながら一日どのくらい摂取すれば前述したような効果が得られるかはよくわかっていません。ビタミン、ミネラルのような必須栄養素ではないので必要量などは不明なのです。 「過剰摂取による重大な副作用や害は報告されていませんが、腸の活動が活発化してガスが出やすくなります。メーカー指定の摂取量(通常100~300mg)を守ってください。また、サプリメントはラクトフェリン以外の栄養や機能性成分を配合したものがほとんどなので、自分向きのものをセレクトすることが必要です」(大槻先生)
 最近では、ラクトフェリンを配合した化粧品も出ています。

左からラクトフェリンを高濃度配合した話題の美容液「ニュウラ セラムEX」20ml¥4,200/サラヤ 
胃で分解されず腸まで届く「ナイスリムエッセンス ラクトフェリン」30日分¥6,150/ライオン 
1日分で600mgが摂れるラクトフェリン(オリジナル) 30日分¥7,140/リブウエル。




大槻克文
昭和大学医学部卒。医学博士。亀田総合病院、米国カリフォルニア大学留学などを経て、05年より昭和大学医学部産婦人科学教室講師、06年より医局長。早産の病態・予防が専門で、ラクトフェリンの研究にも携わる。