【IUD】アイユーディ

  IUDとは「Intrauterine(子宮内)Device(避妊器具)」の略で、避妊の目的で子宮内に装着する小さな器具のことです。
 というと、「リングのこと?」と思う人も多いかもしれませんが、それは昔のタイプのもの。 「いまは、形状も安全性もまったく違います。リングは文字通り輪になったもので、子宮口を広げて入れるとき痛みがあり、人により違和感を訴えるケースもありました。現在のIUDは子宮口を広げることなく、極細の筒を膣から子宮口に入れます。挿入後は、ワンタッチの操作でT字型フレームが子宮内にフィットする仕掛けになっています。痛みや違和感はほとんどありません」(平山惠子先生)
 そんなわけでいわゆるリングはモノとしてもコトバとしても、もう過去のもの。新しいIUDといったら、T字型の避妊フレームと心得ましょう。

IUDは長期の避妊に最適

IUDのくわしい説明の前に、避妊法のおさらいを。
「ひとくちに避妊といっても年齢、出産計画、性生活、パートナーの協力度、ライフスタイルなどによって選択の向き・不向きがあります」(平山先生)
 そのポイントは、次の通り。
●避妊手術=女性は卵子の通り道(卵管)、男性は精子の通路(輸精管)を糸でしばるか切断してしまう。母体が妊娠・出産に耐えられない、もう子どもはいらないときなどに向く避妊法。
●コンドーム=手軽に入手・実行しやすく、性感染症の予防効果もある。ただし、装着ミスやズレ、破損などで失敗も。装着のタイミングもネックに。
●殺精子剤=性交前に膣内に錠剤を挿入。有効時間(挿入後5分~60分)に射精する必要が。
●ペッサリー=ゴム製のキャップを子宮口に装着して精子の侵入を防ぐ。性交のたびに装着、射精後約8時間待って取り出さねばならないのがややめんどう。
●ピル(低用量経口避妊薬)=合成された卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の作用で、排卵そのものをブロックする。正しく服用すれば避妊率は高い。問題は飲み忘れ。毎日飲むものなので、生活が不規則な人や多忙な人には不向きかも。
 

このほか、基礎体温を測定して妊娠しにくい高温期に性交するのが「基礎体温法」。射精直前に男性がペニスを抜く「膣外射精」もありますが、避妊の確実性からは疑問のある方法です。
「IUDは一度装着すると最長5年間、避妊が可能です。出産を考えたら、いつでも取り外せばOK。したがって、長期間避妊したい人や次の出産まで間をあけたい人、子どもを産み終えた人には最適です」(平山先生)

避妊率が高く、病気の症状も改善

IUDは子宮に装着すると・精子の運動を阻害して・卵子が受精しにくくします。まれに受精しても、・受精卵が子宮に着床するのを阻害する作用もあります。
 この3つの作用に加えて、いまは、精子の運動をより弱める銅を付加したタイプが多くなっています。従来のIUDの妊娠率(失敗率)は3.70%ですが、T字の銅付加型IUDだと、0.55%だそうです。
「これをさらにバージョンアップしたタイプ(IUS)が最近出ました。装着後、黄体ホルモンが少しずつ5年間放出され続けます。すると子宮内膜の増殖が抑えられ、受精卵の着床は、ほぼ完璧に阻害されます。失敗率は0.14%まで下がります。さらに、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気の症状を改善する効果も得られます」(平山先生)
 IUDは、産婦人科で医師により装着します。費用は、銅付加型IUDが4~5万円、IUSは8~15万円(施設による)。高いと思うかもしれませんが、ピルは月3千円前後として1年で約3万6千円、5年で18万円見当。簡便さや期間、失敗率(ピルは正しく飲んで0.3%)などを考え合わせるとオトクでは?
「IUDやIUSは使ってみると性生活にも支障はなく、一番の避妊法という声が寄せられます。欧米では多くの女性が愛用していますし、日本でも普及してほしいものですね」(平山先生)

IUDにはいくつかのタイプがある。子宮内でT字型にフィットする形のものは、5年間使用可能。やわらかいプラスチック製で、器具の末端には取り出すときのためのヒモがついている。銅付加型は、タテの部分に細い銅線が巻いてある(写真は銅付加型)。






お話を伺った先生 平山惠子先生/平山惠子産婦人科小児科クリニック院長。1981年島根医科大学産婦人科入局、1990年東京都立築地病院医長を経て、2000年東京世田谷区に開業。女性と子どものための地域医として活躍中。