【エゾウコギ】えぞうこぎ

 エゾウコギとは、北海道の東部に自生する植物です。朝鮮人参と同じウコギ科で、中国やシベリア北東部など限られた寒冷地に自生しています。中国では古くから漢方薬として使われていました。
 日本で研究されはじめたのは約20年前ですが、生薬として は古来から珍重されてきたもの。
「古くは中国最古の薬の書物に気の病いを治し、血行を良くし、肝臓・腎臓の働きを補うといった効能が記載されています。北海道では先住民族のアイヌの人たちが薬として使ったり、悪霊を遠ざける植物として珍重してきました。1960年代になって旧ソ連で薬効の科学的研究が報告されました」(西部三省先生)
 それ以来、各国で動物実験や臨床試験が進みました。今では、生薬・ハーブとして広く認知されています。
「日本ではおもに北海道で研究が行われ、1990年代以降スキーやスケートの選手たちが持久力強化、疲労回復に用いて注目を集めました」(西部先生)
 スケートのメダリストで参議院議員の橋本聖子さん、長野五輪・スキージャンプ団体金メダルの原田雅彦さんらもエゾウコギのエキスを飲んでいました。
これをきっかけに、エゾウコギのパワーに注目が集まったのです。

乳がんの予防や更年期の改善に

 五輪の選手がパフォーマンス向上のために取り入れていたエゾウコギ。持久力や集中力が増し、疲れが素早くとれるのは、なぜでしょうか?
「主成分の『エレウテロサイドE』に、強い抗ストレス作用があるからです。疲労で持久力や集中力が落ちるのは、肉体的・精神的な苦痛やストレスが原因。ところがエレウテロサイドEを摂ると、脳の下垂体から脳内モルヒネといわれる快感物質『βーエンドルフィン』が分泌され、苦痛やストレスを和らげます。ですから、持久力や集中力が保て、体の回復力が高まるのです」(西部先生)
 ストレスは脳の海馬という分野にも悪影響を及ぼし、記憶力の低下を招きます。ストレスを緩和するエゾウコギは、記憶力の低下を予防する効果もあるんです。
 また、βーエンドルフィンには、免疫細胞を増殖したり、活性化する働きもあります。免疫機能をつかさどるB細胞やT細胞が活性化すると、がん細胞を攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞も活発になります。
「エゾウコギには、がんを予防する力もあるんです。エゾウコギに入っているセサミンという成分は、がん細胞が自ら死んでいくのを促します。とくに胃がんの細胞に有効という実験結果が出ています」(西部先生)
 さらに、更年期やプレ更年期のさまざまな症状を改善する効果も。更年期の不快症状は、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が低下するのが原因です。エ ゾウコギには、女性ホルモンに似た作用をする成分が含まれていることが最新の研究でわかりました。
「その成分は腸内細菌によって女性ホルモンに似た働きをする、植物性エストロゲンに変化します。これは、乳がん予防も期待できる成分。女性ホルモンに似た働きをする成分として有名なのが大豆イソフラボンですが、エゾウコギも同じ力を持っていると考えられます」(西部先生)

メタボや肥満糖尿病などにも

 ほかにも、実験や研究で明らかになっている、エゾウコギの効果がたくさんあります。

● 糖尿病の改善
● 高血圧、動脈硬化、血中脂質および内臓脂肪の軽減→肥満の予防
● 抗アレルギー作用、関節炎などの抗炎症作用、鎮静作用

「エゾウコギには、エレウテロサイドEや植物性エストロゲン物質、クロロゲン酸などのポリフェノール、カルシウム、食物繊維などの有用成分がたくさん入っており、その成分が相乗的なパワーを生んでいるのだと思います」(西部先生)
 エゾウコギは、サプリメントやお茶で手軽に摂れます。
「継続的に摂取すれば、健康効果を実感できるはず」(西部先生)

お話を伺った先生/西部三省先生
薬学博士。1976年北海道医療大学、同大学院教授。2002 年同大名誉教授。専門は生薬学、植物化学。著書に『エゾウコギの超力』(毎日新聞社 1,260円)など。

右:エゾウコギの有用成分がたっぷり入った根の部分を、成分が一番蓄えられる時期に採取して粉末に。飲みやすく携帯に便利な粒状。心と体のリフレッシュに最適な健康食品。「サン・ウコギ」300 粒 2,100 円/サン・クロレラ販売

左:エゾウコギの根を細かくしたもの。ティースプーン1杯程度にお湯を入れ、ハーブティーとして飲む。「シベリアジンセンルート(エゾウコギ根)」100g 500 円/香詩苑