【湯の花】ゆのはな

 日本各地の温泉でお土産として売っている「湯の花」。温泉の成分を含んだもので、入浴剤として使われるのが一般的でした。しかし、最近ではコスメやシャンプーなど商品の幅も広がり、口コミで全国的な人気になっています。
 温泉成分がたっぷり入った「湯の花」。どのような方法で作られているのでしょうか?
「 大きく分けると、湯の花の採取方法は2つあります。ひとつは、温泉の成分が所定の場所に沈殿したり付着したりしたものを、かき集めて乾燥させ商品化したもの。もうひとつは、温泉ガスから湯の花の結晶を作り出して採取するものです」(斉藤雅樹先生)
 湯の花は、温泉地によりいろいろなものがとれます。「 温泉地の温泉の泉質が硫黄泉なら硫黄、シリカ分が多ければシリカがメインの湯の花が採れます。天然のものなので、沈殿や付着の状況によって成分の純度が異なります」(斉藤先生)

皮膚を引き締めしっとり肌に

 温泉地によって成分や純度が異なる「湯の花」。なかでも注目したいのが、大分県別府市の明みょう礬ばん温泉。温泉ガスから湯の花を作る採取技術は、国の重要無形民俗文化財に指定されています。江戸時代から伝わる独自の製法で、純度が高いそう。
「 別府明礬温泉ではいたるところで地表から温泉ガスが噴出しており、そこに三角屋根のわら小屋を建てます。通称“湯の花小屋”と呼ばれ、中は温泉ガスが噴出する地面にこまかな石で石畳を作り、石のすきまから均等に温泉ガスが出るようにしています。その上に青粘土を敷き詰めることで、噴出した温泉ガスが、青粘土中に含まれる鉄やアルミニウムと作用して結晶化します」(斉藤先生)
 これが明礬温泉の湯の花。手間をかけて採取されるだけあって、高品質なのです。
「 お湯の沈殿物や付着物ではなく、噴出する温泉ガスそのものから結晶を作るので、ほかの温泉地にくらべ純度の高い湯の花が採取できます」(斉藤先生)
 湯の花は1 日約1ミリずつ成長し、40 ~ 60 日かけて採取。常に温泉ガスで蒸された状態の湯の花小屋の寿命は短く、長くても3年で葺き替えられるそうです。
 ところで、湯の花にはどんな効果があるのでしょうか?
「 温泉地によって温泉の成分が違いますが、保温効果が高く湯冷めをしないのが特徴です。また、別府明礬温泉の湯の花の場合はみょうばんが主成分のため、収れん作用により皮膚が引き締まり、すべすべに。また、皮膚や汗腺の油脂、汚れを除去する洗浄力でさっぱりします。
もともと別府明礬温泉は強酸性で、あせも・湿疹などの皮膚疾患に効果的な刺激のある湯ですが、湯の花の場合は投入量を調節してマイルドな肌当たりにもできます」(斉藤先生)
 例えば、別府明礬温泉の湯の花を自宅のお風呂に入れれば、お風呂のお湯が温泉と同じになるのでしょうか?
「 本物の温泉とまではいきませんが、明礬温泉の湯の花の場合、主成分がみょうばんなので気が抜けるなど成分が薄まることはありません。お湯を取り替えない限り、温泉効果は長持ちします」(斉藤先生)

湯の花コスメが 口コミで人気に

 入浴剤として知られる「湯の花」ですが、近年ではコスメの人気も浸透中。現地を訪れた人から口コミで広がり、全国にリピーターが増加しているとか。
 固形石鹸、ジェル、ミストスプレーなど、商品はさまざまなラインナップが。天然の成分から作られたコスメは、ナチュラル志向の人をはじめ多くの女性の間で人気となり、月に1万個売れるものもあるそう。
 なお、「湯の花」は産地・商品により「湯花」「湯の華」「湯華」と表記されることもあります。入浴剤は、追い炊き風呂では使えないものもあるので、よく確認を。
全国各地にある温泉の湯の花は、ネットショッピングで比較的リーズナブルに購入できます。好みの湯の花を探してみて。

お話を伺った先生/斉藤雅樹先生
工学博士。大分県産業科学技術センター・主任研究員。1992 年、東京大学工学部卒後、(独)科学技術振興機構などを経て、1997年より現職。「別府八湯温泉Gメン」のリーダーを務め、『大分の極上名湯』など温泉の著書もあり、温泉に造詣が深い。

左:別府明礬温泉の湯の花を配合した保湿ジェル。オイルフリーでベタつかず、さっぱりとした使い心地。顔から足先まで全身に使えます。「湯の花全身ジェル」150 ml¥2,100 /明礬 湯の里

右:草津温泉の中央にある湯畑から採取された湯の花。年間8000 個しか販売されない限定品。「草津温泉湯の花」お風呂20~ 30 回分 ¥2,415 /癒し屋