【ハッカ(薄荷)】はっか

 ハッカは全世界で栽培されるシソ科のハーブで、英名はミント。大きく分けて、昔から日本で栽培されていた日本ハッカと、外来種である西洋ハッカ(ペ パーミント)があります。
「 ハッカの葉をもむと、スーッとする独特な清涼感が感じられます。これはハッカに含まれるハッカ油のせいですが、その主成分はメントール。ハッカの葉 の裏の腺せん毛もうに多く含まれています。日本ハッカは、西洋ハッカに比べ、メントールを多く含むのが特徴。有効成分を多く含むハッカ油を取り出すには、ハッカの葉を大量に採取して、釜で水蒸気蒸留します。精油なので、様々な用途に使えて便利です」(古谷 力先生)
 漢字で『薄荷』と書くのは、大量のハッカの葉から、ハッカ油がわずかしか取れず、荷にならないので『薄荷』という字を当てたと言われているそう。
 明治時代、自生していた北海道などでハッカ油の生産がスタートしましたが、栽培から葉の採取、蒸留、製品化まで手がかかることもあり、一時、生産が 激減しました。現在はハッカ油の効能が見直され、北海道の北見地方などごく限られてはいますが、栽培・生産が継承されています。

ひんやり感覚が夏にぴったり

 ハッカの効能で、もっとも特徴的なのが冷却・消炎作用です。
 日焼け後のほてりには、ハッカ油入りの水スプレーをしたり、お風呂に3〜4 滴を垂らすと、肌がクールダウンして快適に。皮膚感覚ではひんやりしますが、体の中は温まるという不思議な精油なので、マッサージに使っても気持ちよく、肩こりや筋肉疲労にも効果的です。
「 ハッカ油を冷却させると、メントール100% の透明な結晶、『ハッカ脳』ができます。これは医薬品や食品、衣類の虫除けなどにも使われています。例えば、家庭の常備薬・メンソレータムの主成分は、メントール。他にも湿布薬、咳止め、下痢止め、頭痛薬、風邪薬、うがい薬など、いろいろな薬品に広く配合されています」(古谷先生)

夏の虫除けには安全なハッカ油

 また、ハッカ油は安全な虫除けとしてもおすすめです。
「 夏によく使われる殺虫スプレーには『ディート』という気になる物質が使われています。『忌避剤』とも言われますが、殺虫効果がきわめて強い神経毒の一種。これが人の目に入ったり、吸い込んだり皮膚に付着したりすると、思わぬ神経障害や皮膚に炎症を起こす可能性があります。とくに、乳幼児のいるところでの使用は、厳重な注意が必要です」(古谷力先生)
 ハッカ油には、ディートのような強い虫除け作用はありませんが、効果は十分。また、虫に刺されたとしても、ハッカ油を塗れば痒みはやわらぎ、ハッカ特有の清涼感で癒やされます。
 このように、ハッカには知られざる効能が秘められています。

もっと手軽に生活で応用を

 ハッカ油は薬局やハーブのお店などで、手頃な値段で入手できます。ハッカ油を愛用している女性たちからは、このような アイデアを聞きました。
●洗面器の水に少量落として家族&来客用の殺菌おしぼりに
●帰宅後、バケツに数滴のハッカ油入りのぬるま湯を用意し、即席の足湯を。夏は気持ちいい
●洗濯のすすぎのとき、数滴入れるといやなニオイをカット
●朝起きてこめかみにほんの少しつけると、目がパッチリ!
●紅茶にまぜてミントティー
●ニンニクなどを食べた後、ハッカ油を垂らした水でうがいして消臭
 など、虫除け以外にも生活シーンでいろいろとお役立ち。
「 最近は合成ハッカを原料とするものも出回っていますが、原材料が日本ハッカ、もしくは和種ハッカとあるハッカ油が安心です。ハッカ油を配合した化粧品や石鹸・シャンプーなども出ています」(古谷先生)
 あなたの生活シーンでも、ハッカを活用してみては。

お話を伺った先生/古谷 力先生
薬学博士、北里大学名誉教授。1951年、東京大学医学部薬学科卒業後、同医学部助手、カリフォルニア大学留学などを経て1965 年より北里大学薬学部・生薬学教室教授。薬学、とくに植物由来の生薬にくわしい。

左:メントールを30.0%以上含有した、純度の高いハッカ油。爽快感のある香り。「ハッカ油」20ml ¥860 /健栄製薬

右:携帯に便利なスプレータイプ。「ハッカ油スプレー」10 ml¥1,050 /北見ハッカ通商