【トコトリエノール】とことりえのーる

 近年機能性が注目される成分で、ビタミンEの一種です。ビタミンEには抗酸化作用がありますが、トコトリエノールも同じように、体の細胞が酸化するのを防ぐ役割があります。
「 実はビタミンEには、8種類あるんです。その半数が『トコトリエノール』で、あとの4 種類が『トコフェロール』。ふだん食事から摂っているビタミンEは、ほとんどが『トコフェロール』になります」(宮澤陽夫先生)
「 トコフェロール」は、青魚やナッツ類、ホウレン草、カボチャ、納豆などに含まれます。対して「トコトリエノール」は米油、パーム油、米ぬかなど、普段ほとんど口にしない食品に、少量しか含まれていないため、あまり摂取されていません。
 しかし、宮澤先生の研究チームにより、高純度の「トコトリエノール」を米油の精製過程で出る成分から、抽出することが可能に。これから健康食品などへの活用が期待されています。

抗酸化作用が強いスーパービタミンE

 酸化は、老化や病気の大きな原因。そのため、ビタミンEの抗酸化作用は、人体にとって必要不可欠なもの。もちろん抗酸化作用は、ビタミンAやCの他、いくつものポリフェノールにもありますが、「細胞膜の抗酸化作用」にはビタミンEが欠かせないのだそう。特にトコトリエノールは、その効果が強いことで注目を集めています。
「 『トコトリエノール』は、抗酸化作用の効力が『トコフェロール』の40 ~ 60 倍ととても強いことがわかっています。抗酸化のためには、ぜひ摂りたい成 分なのです」(宮澤先生)
 そのため「トコトリエノール」は、「トコフェロール」と区別する意味も含めて、“スーパービタミンE”とも言われています。

トコトリエノールは美肌効果が高い

 宮澤先生を始めとする研究チームは、現在、米由来のトコトリエノールの作用や効能について、多くの実験を重ねています。その結果、次のような有益な特徴や効果が確かめられたそう。
●美肌への効果が高い
トコトリエノールは、皮膚組織に集まりやすい性質があります。そのため、トコトリエノールを配合したコスメを塗っても、食品を摂っても、美肌効果が高いことがわかっています。
「 皮膚への浸透性は、普通のビタミンE(トコフェロール)の約15倍で、特に光老化を予防します。メラニンの生成を抑制してシミを予防。毛穴の黒ずみを目立たなくしたり、しわを防いだり、お肌のハリを出すヒアルロン酸の生成を助ける、といった美肌効果が期待できますね」(宮澤先生)
●抗アレルギー作用がある
動物実験では、トコトリエノールを与えたグループは与えないグループにくらべて、アレルギー性の皮膚炎が軽くなりました。これは、ヒスタミンなどの炎症誘発物質を抑制したためと考えられ、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー症状を和らげる効果が期待できます。
●抗がん作用が期待できる
トコトリエノールには、がん細胞を自然に死んでいく状態に誘導する働きが。また、がん細胞に栄養を送る新生血管ができるのを抑制します。
●認知症を防ぐ
記憶に関わる脳の「海馬」という部分の神経細胞死を減らすため、認知症予防に有効です。
 その他にも、動脈硬化を防ぐ、悪玉コレステロールの酸化を抑えるなどの効果も確認されています。

サプリメントや配合化粧品で

 私たちは1日に8mgのビタミンEを摂るのが望ましいとされていますが、ふんだんに米油などを使ったり、青背の魚を常食しない限りは不足しがちです。
「まずは『トコトリエノール』、『トコフェロール』の区別なく、食べ物でビタミンEを摂るよう、心がけて。その上で、美肌や動脈硬化予防、がん予防など の目的がある人は、トコトリエノールのサプリメントをおすすめします。トコトリエノール配合の化粧品もいいでしょう。ただし『ビタミンE配合』とあって も、『トコフェロール』だけであることが多いので、『トコトリエノール配合』と書かれているものを選んで」(宮澤先生)

お話を伺った先生/宮澤陽夫先生。農学博士。
東北大学大学院農学研究科教授。同大・大学院博士課程修了後、一貫して農産物や食品の化学分析とその応用や機能開発の研究に専念。米ぬか由来のトコトリエノールの抽出と機能性実験でも第一人者である。

(左)米ぬか由来のトコトリエノールを含んだ、抗老化サプリメント。「ぎゅぎゅっとイープラス」(150 粒)¥3,700/オカヤスファルマ

(右)米ぬかから作られた砂糖不使用のクッキー。「ヌカッキー」(40g×2袋入)¥480/三和油脂