【鎖骨】さこつ

 鎖骨とは、首もとに浮き出ている一対の骨です。人間の腕は鎖骨によって胴体につながっており、人間が両腕をクレーンのアームのように自由自在に動かすことができるのは鎖骨のおかげです。ちなみに、人間以外の哺乳動物には鎖骨があるものとないものがあり、イヌやウマにはなく、ネコやサルなど木登りをするものには鎖骨があります。
 鎖骨付近にはまた、「鎖骨リンパ節」があります。リンパ管を通って全身から集められた老廃物は、ここで静脈に流れ込み、心臓へと送り出されていきます。リンパマッサージで、鎖骨に向かってリンパを流すのはこのためです。

鎖骨は女性の健康のポイント

 女性のデコルテの美しさは鎖骨で決まるといわれますが、鎖骨は美容だけでなく、健康面でも重要な場所です。
 たとえば、「胸郭出口症候群」という症状があります。これは、肩や腕の痛みが特徴で、ほかに疲れやすさ、だるさ、握力の低下、しびれ感、知覚麻痺、吐き気、頭痛などがみられます。
「胸郭出口症候群」は、猫背で肩甲骨が前方に突出している人や、なで肩の人がなりやすいとされています。鎖骨は右下のイラストのように肩口に向かって上がっているのが普通ですが、「胸郭出口症候群」になりやすい人の鎖骨は、一文字かハの字に下がっています。そのため、下がった鎖骨が、鎖骨まわりに集まっている神経や血管を圧迫し、痛みやしびれ、血行障害によるさまざまな症状を引き起こすのです。
 また、鎖骨の上、のどぼとけのすぐ下には、甲状腺という重要な器官もあります。甲状腺は、チョウが羽を広げたような形をしていて、大きさは3~4cmです。
 甲状腺からは、「甲状腺ホルモン」という全身代謝に関わるホルモンが分泌されますが、この甲状腺ホルモンが多すぎたり少なすぎたりすることでおきる甲状腺疾患にかかる人が、女性では男性の数倍と、大変多くなっています。甲状腺は、普段は手で触れてもわかりませんが、甲状腺の腫れる病気である程度腫れると、見てわかるようになります。ただし、すべての甲状腺疾患で甲状腺が腫れるとは限りません。
 甲状腺疾患では、子宮や卵巣などの骨盤内臓器における内分泌障害も同時に引き起こされることが知られています。婦人科疾患で受診される方を触診すると、甲状腺の異常が見つかることが多いことからも、甲状腺と骨盤内臓器との関係が深いことがわかります。
 甲状腺の異常が子宮や卵巣に影響を及ぼす理由のひとつは、甲状腺ホルモンが体温調節に関わるためと考えられます。甲状腺ホルモンのバランスが崩れると、温かく保たれるべき骨盤内の温度が低下するため、骨盤内臓器の不調を引き起こすのです。

鎖骨温めほぐしで甲状腺機能もUP

 このように、甲状腺は女性の健康に大きな役割を果たしている器官ですが、甲状腺のセルフケアは難しいのが現状です。そこでおすすめしたいのが、鎖骨周辺を温めたり、ほぐしたりすることです。
 鎖骨周辺には血管が集まっているため、温めたりほぐしたりすることによって血流がよくなると、頭部の血流もよくなります。甲状腺は表層の筋肉のすぐ裏にある臓器なので、皮膚の血流がよくなれば、甲状腺が刺激され、機能が活性化すると考えられます。
 鎖骨周りを温めたりほぐすことで甲状腺の機能が活性化すれば、全身代謝が高まって顔の皮膚の血流もよくなるので、美容効果も期待できます。また、顔面は自律神経と深くかかわっているので、自律神経のバランスも整います。
 鎖骨周辺の筋肉は、マッサージをするだけではほぐれにくいので、温めてからほぐすようにするとよいでしょう。鎖骨を開くエクササイズもおすすめです。

お話を伺った先生/神谷秀明先生。理学療法士・鍼灸師・アスレティックトレーナー。愛知県豊橋市「いちゃりば鍼灸治療院」院長。内臓治療、骨盤矯正、姿勢指導、婦人科疾患など、身体のコンディションを根本から整える施術に定評がある。

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