【シックハウス症候群】しっくはうすしょうこうぐん

 近年問題となってきた、「シックハウス」。まだ未解明な点もありますが、少しずつ予防法や対策がわかってきました。
「シックハウスは日本で作られた和製英語です。その由来は、1970年代に欧米で問題となった『シックビルディング症候群』。オイルショックが起き、冷暖房費の節約のためにオフィスビルの換気を減らしたところ、働いている人の多くが、めまい、吐き気などさまざまな病気・症状を発症。日本のビルには換気に関する法律があったため、大きな問題になりませんでしたが、一般の住宅で同様の症状が発生。『シックハウス症候群』という言葉が生まれました」(吹角隆之先生)
 症状も事例も多様なため、「シックハウス症候群」の解釈や定義は、医師や専門家によっても異なるのだそう。
「私は『建物に起因する揮発性有機化合物による健康被害』と定義しています。原因は化学物質に限定し、症状は目やのどの痛み、筋肉痛、呼吸器障害、疲労感、うつ症状など、ありとあらゆるものを含みます。初期の場合は家から離れると症状が改善しますが、悪化すると家以外でも化学物質に反応するように。さらに重症化し、微量の化学物質にも反応するようになった状態を、『化学物質過敏症』と呼んでいます」(吹角先生)

大きな原因は接着剤と防虫剤

 どうしてこんなことが起きるのでしょう。
「自宅の新築やリフォームがきっかけになることが多いですね。引っ越してしばらく経って症状が出ることもあります。化学物質を含んだ空気を吸い続け、有害物質が体内にたまり一定量を超えると発症します」(吹角先生)  原因は家そのものとは限らず、家具の場合も。
「問題の化学物質は、主に接着剤と防虫剤。対策として厚労省は、有害とされる化学物質の空気中濃度に、上限値を定めました。『ホルムアルデヒド』は、その代表格。ただし、同じ環境で暮らしていても、発症する人としない人がいます。それは、体内の代謝酵素の量の違いでアルコールに強い人と弱い人がいるように、化学物質に対する耐性も人によって異なるからです」(吹角先生)
 新築やリフォームの際は、できるだけ原因物質を含まない建材を選ぶことも肝心です。

徹底した換気で健康的な家に

 「日本の古い家屋には適度のすきま風が吹き、自然と家全体が換気されていました。現代の家は、エコが重視され、気密性が高いのが問題。通称シックハウス法により、2003年からは家屋には自動換気システムの設置が義務づけられました。しかし、『自動で換気されるから』と過信して積極的に窓を開けないことも、シックハウス症候群の発症を増やす一因です」(吹角先生)
 予防のため、窓を開けることが一番の対策なのです。
「できれば縦に長く、大きい窓を開け、空気を通すといいですね。また、入居前には、徹底した換気を。気温が高くなると化学物質の揮発量が増えるので、時期を選べるなら引っ越しは、夏場を避けて。西日の当たる部屋は温度が高くなるので、同様の理由で、長時間締め切ることが多い寝室にはおすすめできません。シックハウス症候群を防ぐコツは他にもあるので、新築やリフォームした家に引っ越す前には情報を集めてほしいですね」(吹角先生)
 それでも症状が出てしまったら、すぐに専門医の診察を。
「家族全員に起きるわけではないですし、引っ越し疲れだと思い込んだりして、家が原因と気がつかない人が多いんです。引っ越し後に何らかの不調を感じたら、シックハウス症候群を疑って。受診は症状ごとに医者にかかるのではなく、シックハウスの専門医を探して」(吹角先生)
 家は一生の買い物だから、簡単に引っ越せないもの。シックハウス症候群だとわかると、ひどく落ち込んでしまう人も多いそう。
「家の中の環境や住み方、家具を替えることでも、症状を改善できます。不調があるのに放っておいたり、病院を渡り歩いて症状を悪化させてしまうのは、最悪の事態。素早く、適切な対応をすれば、元気で快適な生活を取り戻せますよ」(吹角先生)

お話を伺った先生/吹角(ふくずみ)隆之先生。医学博士。大阪にある、ふくずみアレルギー科・院長。日本皮膚科学会皮膚科専門医。日本アレルギー学会認定専門医。シックハウス症候群や、化学物質過敏症の治療に早くから取り組む。テレビなどのメディアでも活躍。

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