【毛髪ミネラル検査】もうはつみねらるけんさ

 血液検査、尿や便の検査など、体内を調べる検査はいろいろありますが、有害なミネラルの蓄積量がわかると注目されているのが、「毛髪ミネラル検査」。

 もともとは1970年頃のアメリカで、ベトナム戦争帰還兵の髪に含まれる有害金属を測ったのが始まり。日本では、水銀が原因で発症した「水俣病」が公害病と認定されたのがきっかけで広まり、現在は警察での麻薬検査などにも活用されているとか。

「有害ミネラルは、水銀、鉛、カドミウム、ヒ素に代表される物質。食べ物や飲み物に含まれていたり、あるいは呼吸や皮膚を通じて私たちの体内に溜まっていき、様々な症状・疾患の原因となります。毛髪ミネラル検査は、0.1g程度の毛髪を採取し、有害ミネラルが体にどのくらい蓄積しているかを調べるものです」(澤登雅一先生)

 普通に生活をしていても、私たちの体内には確実に有害ミネラルが溜まってしまうのだそう。ただ少量なら、便、尿、汗から体外へ排出されていきます。
 しかし、汚染された食物を摂り続けたり、体の解毒機能が低下していると、徐々に体内に蓄積され、それが毛髪にも反映されます。
「血液は、急性の中毒を調べるのには適しています。一方、日常生活における慢性的な蓄積を知るには、毛髪検査が簡単な上に有効。毛髪には3.6カ月間の有害ミネラルの蓄積量が反映されるため、『検査時』だけではない、慢性的な症状の原因を知り、生活習慣についてのアドバイスもできるのです」(澤登先生)

食物中の良質なミネラルが減少!

 一方、良質のミネラルといわれるのが、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの必須ミネラル。
「有害ミネラルと必須ミネラルは、体内で“イス取りゲーム”をしています。必須ミネラルが不足すると、有害なミネラルは体内に留まりやすくなってしまう。毛髪ミネラル検査では、この必須ミネラルの情報もわかります」(澤登先生)
 しかし近年、私たちは、良質のミネラルを食物から得ることが難しくなっているのだそう。
「例えば、文部科学省の調べによると、ほうれん草に含まれる鉄分は、1950年当時100g当たり13mgだったのが、2005年には2mgに大きく減少。これは、土地が枯れてしまったことが一番の原因と考えられます。そのため、1950年当時と同じ量を食べても必須ミネラルの摂取量が減り、有害ミネラルを排出する力が低下。その結果、体内の有害ミネラルが増えているのです」(澤登先生)
 有害ミネラルは私たちの体に様々な悪影響を及ぼします。
「有害ミネラルは、体を酸化させ、生理機能や代謝機能を低下させます。体調が悪い、気分がすぐれない、疲れやすい……といった不定愁訴も、有害ミネラルが影響している可能性があるのです。肌や髪の老化、不妊やがん、アルツハイマーなどの一因にもなっていると言われ、論文も多く発表されています。精神状態にも影響があり、うつ病や多動性障害、自閉症と診断されている人の中には、毛髪中の有害ミネラルの蓄積量が大人より多かったという調査結果も。思い当たることがあれば、一度検査を受けてみるといいでしょう」(澤登先生)

検査を食習慣の見直しに役立てて

 また、魚介類をよく食べる日本人は、水銀量が多い傾向が。
「だからといって、魚を食べるのをやめるというのはまちがい。魚にはDHAやEPAなどの有益な成分が多く含まれ、日本人の健康や長寿を支えてきました。ただ、まぐろやかつおなどの大きな魚は、水銀含有量が高いのでなるべく避け、青魚を中心に食べましょう。必須ミネラルをしっかり摂ることが、有害ミネラルの体内での蓄積を防ぎます。その中で解毒作用がある亜鉛やセレン、カルシウムを意識して摂るのも有効。特に牡蛎や海藻類、乳製品に多く含まれています。バランスのいい食生活を心がけて」(澤登先生)
 有害ミネラルは、汗からも排出されるので、運動も効果的だそう。毛髪ミネラル検査でわかる体内の情報を、これからの健康に生かしたいものですね。

毛髪ミネラル検査は、病院やヘアサロンの他、ネットから行えます。費用は1万円くらいから。頭皮近くからカットした爪楊枝2本分程の毛束を使い、10日.2週間程で上の写真のような検査結果がわかります。

お話を伺った先生/澤登雅一先生。医学博士。日本抗加齢医学会専門医。三番町ごきげんクリニック院長。クリニックでは「重金属検査」として、毛髪ミネラル検査を行っている。著書に『人より20歳若く見えて、20歳長く生きる!』(ディスカヴァー・トゥエンティワン¥1,050)など。