【還元型コエンザイムQ10】かんげんがたこえんざいむきゅうてん

 体の健康と美容に欠かせない成分として認知されているコエンザイムQ10ですが、そもそもどんな働きをするのでしょう。

 「皮膚、内臓、脳、血管など、人間の体のあらゆる組織は細胞からできています。体内にある細胞の数は約60兆個もあり、その細胞のひとつひとつの中に、 生体エネルギーを生産するミトコンドリアがあります。コエンザイムQ10は、そのミトコンドリアを元気にすることで、体内のエネルギーの生産を活発にするという役割を果たしている“補酵素”なのです」(矢澤一良先生)

 1957年に発見された当初、コエンザイムQ10は体内のエネルギー生産に関係する物質という程度の認識でしたが、その後の研究で、細胞がエネルギーを作る時になくてはならない物質であることがわかりました。

  「体に元気を与え、免疫力をアップするコエンザイムQ10は、今では健康や美容の面でも必要不可欠な物質という認識が広がっています。基礎代謝をアップする効果により内臓脂肪を減らすことで、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)やロコモティブシンドローム(運動器症候群)などの予防にも役立ちます」(矢澤先生)

加齢とともに体内の量が減少

 健康維持には体内に十分なコエンザイムQ10があることが重要ですが、年齢を重ねるごとに、その量は減っていきます。酸化ストレスの増加などが原因で、体のコエンザイムQ10を作る能力が低下するためです。体の場所によってコエンザイムQ10の量が減少する比率は違いますが、特に皮膚では、70代では20代の約1/3まで減ってしまうという研究結果も。
 加齢だけでなく、喫煙などの生活習慣、うつ病、心筋症、片頭痛などの病気も体内のコエンザイムQ10を減らす原因として注意が必要です。
 「コエンザイムQ10が減ることで、体内のエネルギー生産量が減り、細胞の活力がなくなる。つまり、元気や健康を維持する力が失われ、老化が進んだり、病気になりやすくなるのです」(矢澤先生)

 女性の場合は、更年期を迎えると心身ともに不調を感じることが増えてきますが、それは女性ホルモンのエストロゲンだけでなく、コエンザイムQ10も減少しているためと考えられます。
  「不定愁訴や更年期障害などで悩んでいる人も、コエンザイムQ10を摂取することで、症状を軽くすることができるでしょう」(矢澤先生)
 また、コエンザイムQ10のもうひとつの働きに、抗酸化作用があります。活性酸素は毒物やウイルスなどを分解する酸素ですが、増えすぎると正常な細胞まで傷つけてしまうことが。抗酸化作用により増えすぎた活性酸素を無力化して取り除くことで、細胞が元気でいられます。  

還元型と酸化型の違いは?

 ところでコエンザイムQ10には、「還元型」と「酸化型」という2つの種類があります。
 「従来のコエンザイムQ10は酸化型で、コエンザイムQ10の基本構造に酸素がくっついた状態。酸素と反応して酸化しているので、体の中に入った時に、もともとの形である還元型に変換する必要がある(下のイラスト参照)のですが、人によっては加齢などでうまく変換できず、あまり効果が実感できないこともあります。一方で、最近よく見かける還元型というのは、酸化作用を受けていないもの。技術の進歩で、人間の体内にあるコエンザイムQ10と同じ状態に開発されたものが、還元型コエンザイムQ10です」(矢澤先生)

 還元型コエンザイムQ10は、体内での変換過程を経ずにダイレクトにミトコンドリアに作用するため、素早く効きめを感じやすく、人による効果の当たり外れも少ないとか。
   コエンザイムQ10は若さと健康のキープに欠かせないだけに、加齢に伴い不足する分を意識的に補うことが大切です。
 イワシ、豚肉、オリーブオイル、ブロッコリーなど、コエンザイムQ10を多く含む食品を積極的に食べること。忙しくてそれができない人は、還元型コエンザイムQ10の含量を強化したゼリーやチョコレートなどの食品やサプリメントがお手軽です。還元型コエンザイムQ10を上手に摂取して、細胞レベルから元気になりましょう。

お話を伺った先生
矢澤 一良先生
東京海洋大学ヘルスフード科学プロジェクト教授・農学博士。予防医学的食品・医薬品素材に関する研究や、海洋資源の有効利用に関する研究で、雑誌やテレビなどで活躍。天然物の生理活性成分の探索と理学的研究、微生物の新しい機能の探索などの研究も行う。