【希少糖】きしょうとう

 希少糖はその名の通り、自然界にごくわずかしか存在しない希少な糖。そのうちいくつかの種について、ダイエットやアンチエイジングといった健康・美容への効果と安全性がわかってきました。現在、希少糖入りの商品が次々と発売され、話題です。

 「糖は大きく分けると『多糖類』『オリゴ糖』『二糖類』『単糖類』の4種類があります。水と反応してもそれ以上分解されない、糖の最小単位が単糖類。そのなかでも、自然界にはごく微量にしか存在しない単糖を希少糖と呼んでいます」と語るのは、多種多様な希少糖の生産と分析を行っている香川大学希少糖研究センターの徳田雅明先生。「単糖類の99.9%はブドウ糖、果糖など7種類が占め、残り0.1%が希少糖。植物や海藻にごく微量に含まれています。約50種発見されていますが、今後の研究で100種ほどに増えるのでは」(徳田先生)

「プシコース」と「アロース」に注目

 希少糖が初めて発見されたのは1852年。以降、発見と研究の歴史を重ね、今ではそれぞれの希少糖の特徴が明確にわかってきました。なかでも今、健康・美容へのすぐれた作用から注目されているのが「プシコース」と「アロース」です。
 プシコースは砂糖の7割、アロースは8割程の甘味がありながら、カロリーはほぼゼロ。
 「プシコースには、でんぷんがブドウ糖に分解されたり、体に吸収されるのをブロックする作用があります。そのため、血糖値の急激な上昇や脂肪の蓄積が抑えられるんですよ。他にも、脂肪を燃焼されやすくしたり、脂肪の合成を抑制したり、動脈硬化や虫歯の予防作用もあることがわかっています」(徳田先生)

 一方アロースは、アンチエイジングの強い味方。
 「老化を早める体内の活性酸素を消し去るだけでなく、発生させない力もあるのがアロースの特徴です。シミやシワといった肌トラブルの他、活性酸素が原因で起こる生活習慣病、心筋梗塞、脳梗塞、がんなどの病気の予防効果が期待されています」(徳田先生)

プシコース100%の商品開発に期待が

 プシコースは日本や東南アジアに生育するズイナという植物にのみ見つかっています。
 「ズイナの葉には、その重さの3~5%しかプシコースが含まれていないため、これから抽出して作るとなると大変高価なものになります。アロースにいたっては、自然界でどのように存在するのかまだわかっていないのが現状です」(徳田先生)
 このように自然界ではたいへん希少な糖ですが、近年、香川大学の研究で果糖からプシコースを生成する酵素が発見され、量産が可能になりました。また、量産までは至っていませんが、プシコースをアロースに変える酵素も発見されています。しかし、発見された酵素はまだ高価。この技術を使った100%プシコースの商品開発も進められているものの、まだ発売されてはいません。

 では現在あるプシコース入りのお菓子や飲み物、調味料はどのように作られているのでしょうか。実はこれらはすべて、希少糖を発見した何森健香川大学特任教授が代表を務める、希少糖生産技術研究所と松谷化学工業が共同で開発した希少糖が含まれたシロップがベース。ぶどう糖が果糖に変わる過程で一部がプシコースなどの希少糖に変わる「アルカリ異性化法」という技術で作られています。
 「プシコースでダイエット効果を得るには、1日2~5gの摂取が目安です。それ以上摂取しても効果は変わらず、おなかがゆるくなるケースも。シロップは普通の砂糖に比べると2割ほどカロリーが少なめですが、ゼロではないので適量を心がけましょう」(徳田先生)

 現在、希少糖入りの商品は、プシコース、アロースの他にもキシリトール、エリスリトール入りなどが出ています。プシコース100%商品の発売や、新しい希少糖の発見など、今後の研究と開発が期待されます。

お話を伺った先生
徳田雅明先生
香川大学希少糖研究センター・センター長兼同大学医学部教授。カナダ・アルバータ州立カルガリ大学医学部にて3年間博士研究員を経験。専門は希少糖の生理活性の解明と応用開発、神経生理学、細胞生理学、癌の病態生理学。