【ココナッツオイル】ここなっつおいる

 オリーブオイル、亜麻仁油、えごま油など、最近「体にいい油」が注目されています。中でも今、世界的な大ブームとなっているのがココナッツオイル。
 「健康志向が強い海外のセレブの間で以前から人気がありましたが、2008年にアメリカの医学博士がアルツハイマー病の改善効果を発表し、本を出版したことで人気に火がつきました。日本でも昨年あたりから、すごいブームになっていますね」と、自身も健康と美容のためにココナッツオイルを取り入れているという日比野佐和子先生。
 そもそもココナッツは「食べる点滴」といわれるほど栄養豊富で、フィリピンやタイでは昔から医薬品の材料にも。食用部分は白い果肉(固形胚乳)と、その内側のジュース(液状胚乳)に分かれますが、ココナッツオイルは果肉をしぼったミルクから脂肪分を分離・抽出して作られます。

オイルなのにやせる!?中鎖脂肪酸の効果

 ココナッツオイルの体にいい作用は、脳の活性化、代謝・血行の促進、便秘解消、抗酸化、抗菌、免疫力アップ、美肌作用、脂肪を減らす作用、女性ホルモンを整える作用など多岐にわたります。これらの働きには、その分子構造と主要成分に秘密が。

 油の脂肪酸には「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2種があり、これらは分子の長さによりさらに分類されます。ココナッツオイルは植物ではめずらしい飽和脂肪酸で、健康や美容にいい中鎖脂肪酸を多く含みます。
 「一般的に飽和脂肪酸は、長鎖脂肪酸のラードや短鎖脂肪酸のバターなど、動物性の脂肪です。酸化しにくいのがよい面ですが、体内に蓄積されやすく、肥満や動脈硬化などの原因に。ところが同じ飽和脂肪酸でも、中鎖脂肪酸は違う。むしろ体にいい作用が多いんです」(日比野先生)

 中鎖脂肪酸は他の2つの脂肪酸よりも分解やエネルギーに変わるスピードが速いのが特長。
 「長鎖脂肪酸に比べて分解は4倍、エネルギーに変わるスピードは10倍も速い。つまり、代謝がいいから、食べても太りにくいんですね」(日比野先生)

 驚きなのは、すでに蓄積された脂肪を燃えやすくする作用まで認められていること。
 「脂肪を燃やす効果は驚きですが、油は油。カロリーが高いので、必要以上に摂れば太ります。1日に摂る目安は大さじ2杯ほど。腸の動きをよくするので、人によってはおなかをくだすケースもあります」(日比野先生)

アルツハイマー病の予防・改善効果も中鎖脂肪酸によるもの。
 「アルツハイマー病は、エネルギー源であるブドウ糖を脳がうまく使えなくなる病気ですが、ケトン体という物質がブドウ糖に代わってエネルギー源として使われると、症状が改善されます。ココナッツオイルの中鎖脂肪酸は肝臓で分解されるとケトン体になるため、摂取すると脳が活性化し、症状の改善や予防につながるのです」(日比野先生)

 ココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸のうち、多くを占めるのがラウリン酸。
 「ラウリン酸は母乳に多く含まれる抗菌物質で、免疫力を高めます。抗酸化力も高いので、シミやシワを防ぐアンチエイジング効果もありますよ。ラウリン酸がここまで豊富な自然界の食べ物は、ココナッツ以外にありません」(日比野先生)

温かい料理に使う他口腔ケアにも◎

 ココナッツオイルは25℃以上で液体になるため、冬は温かい料理や飲み物に入れて摂るのがおすすめです。
 「私はカレーやスープに加えています。この時季は常温だとかたくなるし、体にいいとされる油でも1種類に偏らないほうがいいので、生野菜にはオリーブオイルをかけるなど多種類を使い分けています。ココナッツオイルは肌や髪につけてもいいですし、ブクブクうがいをすれば口臭、虫歯予防にも。購入する際は製品によって純度が違うので、健康、美容効果を効率的に得たいなら『エキストラバージン』の表示があるものを選ぶといいですよ」(日比野先生)

お話を伺った方
日比野佐和子先生
Rサイエンスクリニック広尾院長。内科、皮膚科、眼科医。アンチエイジング医学の他、中医学、ホルモン療法、植物療法など専門分野は多岐に渡る。『ココナッツオイル美のチカラ』(辰巳出版¥1,296)など監修書、著書多数。