【プロテオグリカン】ぷろておぐりかん

 さまざまな健康、美容効果が期待できると、研究が進められているプロテオグリカン。まだあまり聞き慣れない言葉ではありますが、最近、この成分が入ったサプリや化粧品が続々と発売されています。

 「プロテオグリカンは私たち人間はもちろん、動物や魚の体のあらゆる場所にあり、細胞組織をつなげる働きをしています。特に軟骨に多く含まれているんですよ」というのは、弘前大学大学院医学研究科教授で、30年以上に渡るプロテオグリカンの研究集団「弘前大学プロテオグリカンネットワークス」の一員でもある中根明夫先生。

 「同じく動物の軟骨に多く含まれるコラーゲンはタンパク質、ヒアルロン酸は糖鎖ですが、プロテオグリカンは糖鎖とタンパク質が結合した『複合糖質』。ヒアルロン酸やコラーゲンより優れた作用があると1980年代から注目されていましたが、研究がなかなか進みませんでした」(中根先生)

 なぜなら当時、複雑な分子構造をもつプロテオグリカンの抽出・精製は非常に難しく、牛の気管軟骨から取り出してできたものは、1g3,000万円。このコストがネックとなり、研究や商品開発が遅れていたのです。

青森の郷土料理から抽出法を発見

 転機がやってきたのは1998年。弘前大学の高垣啓一教授(故人)が、サケの鼻軟骨から簡単かつ低コストでプロテオグリカンを取り出す方法を思いついたのです。

 「ヒントは地元青森の郷土料理“氷頭なます”でした。サケの鼻軟骨を薄切りにして甘酢に漬けこんだ料理なのですが、軟骨は酢の作用でそのまま食べられるほどやわらかくなる。それならば鼻軟骨の中のプロテオグリカンが酢に溶け出しているのでは? と高垣教授は考えたのです」(中根先生) 

 その考えは実を結びます。酢酸とアルコールだけを使い、それまで破棄されていたサケの鼻軟骨から高純度のプロテオグリカンを大量に抽出することに成功。価格はそれまでの1000分の1以下になりました。この生産技術は日本だけでなく、アメリカやロシアでも特許を取得しています。

水分保持力はヒアルロン酸をしのぐ

 プロテオグリカンのからだにいい作用は、多岐に渡ります。 

 まずは美肌分野。これには保湿作用、新陳代謝を促す作用、ヒアルロン酸やコラーゲンの代謝を促す作用などが。

 「プロテオグリカンは分子構造が複雑で水酸基を多く持っているため、水を捕まえやすい性質があります。その力は、1gで6Lの水を保持するヒアルロン酸より1.3倍程度高いというデータも。また、動物実験では紫外線を浴びてダメージを受けた肌を回復する作用があることがわかっています。たるみも改善しますよ」(中根先生) 

 そして健康分野での注目は、「自己免疫疾患」への作用です。 自己免疫疾患とは、本来、自分の体を守るために働く「免疫」が過剰に反応してしまい、逆に自分の細胞を傷めてしまう病気。

 「プロテオグリカンには、過剰な免疫反応を抑える働きがあることが判明しています。免疫のメカニズムは非常に複雑で、すべての自己免疫疾患に効くとは言えないのですが、動物実験ではヒトの多発性硬化症と似た症状や、軽度の糖尿病で症状を抑えられました。今後は難病のクローン病や、良い治療法が確立されていない潰瘍性大腸炎など重い病気の治療にも道を開くことが期待されています」(中根先生) 

 その他、軟骨の再生作用で加齢による関節炎をやわらげたり、骨の代謝をよくする作用で骨粗しょう症を改善する効果も。

 「プロテオグリカンの研究は弘前大学がその最先端という自負がありますが、まだまだ発展途上。今も腸内細菌を整える作用、肥満を抑える作用など、あらゆる角度から研究が行われています。今後も地元青森を中心とした企業や団体と協力しながら、より多くの商品開発、医療分野での活用につなげていきたいですね」(中根先生)

※掲載商品は編集部がセレクトしたもので、弘前大学とはかかわりがありません。

お話を伺った先生
中根明夫先生
弘前大学大学院医学研究科感染生体防御学講座教授。専門は免疫と細菌学。プロテオグリカンの腸管での作用メカニズムの解明を目指した研究グループを率いている。