若い女性に急増している子宮内膜症‐主な症状や痛み方とは

20〜40歳代の女性に急増しており、推定患者数は12万人

生命を奪われる疾患ではないが、耐えがたい痛みが特徴で、腸に転移したり、卵巣のなかでがん化するケースも。

子宮・卵巣周辺のいたるところに発生する子宮内膜症

 子宮内膜症は、子宮内膜(子宮の内側の粘膜組織)あるいは子宮内膜症によく似た細胞が、子宮以外の場所に増殖してしまう病気です(図参照)。子宮以外の場所とは、たとえば卵巣、卵管、直腸と子宮の間(ダグラス窩)などで、ときには肺のなかまで発生します。

 子宮内膜症がやっかいなのは、それらの場所で子宮内膜症に似た細胞が増殖し、月経と同じように周期的に出血を起こしてしまうからです。子宮内であれば月経として体外に排出されるはずの組織が、排出経路がないため小さな血液のかたまりとして体内にたまってしまうのです。こうした血のかたまりは、やがて周囲の細胞組織と癒着し、強い痛みをともなうさまざまな障害を引き起こします。

QOL(生活の質)を大きく低下させるほどの痛み

 日本では月経のある女性の10人に1人は子宮内膜症をもっているといわれ、とくに20〜40歳代の女性に急増しており、現在、治療を受けている人は12万人、潜在患者数は200万人とも推定されています。

 子宮内膜症は、発症する部位によって表のように3つに大きく分類されます。そして、これらの発症する部位にかかわらず、子宮内膜症に起こる大きな特徴のひとつが「疼痛(とうつう)」です。この特徴により世界子宮内膜症学会では、子宮内膜症を「再発性の慢性疼痛疾患」と位置づけています。つまり、ズキズキとしたうずくような痛みが継続して起こる病気ということです。

 痛みは月経痛、下腹部痛、腰痛、性交痛、排便痛などさまざまで、子宮内膜症が発症する場所によっても異なります。しかし、これらの痛みが子宮内膜症にかかっている女性たち共通の悩みであり、痛みによって会社を休まざるを得なくなったり、性生活が営めないなど、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を大きく低下させるほどの「疼痛」に苦しめられるケースもまれではありません。

放置しておくと子宮や卵巣を失うことも

 子宮内膜症は基本的には良性で、直接的に生命に影響を及ぼす疾患ではありませんが、治療をしないまま放置しておくと、月経痛がくりかえし起こったり、しだいに性交痛や排便痛などをともなうようになります。不妊の原因が子宮内膜症であるケースも少なくありません。

 また、内膜症が深部へもぐり込んで直腸に増殖すると下血が起こったり、膀胱に増殖した場合は血尿が出たり、さらには腸に転移したり、卵巣のなかでがん化するケースもあるというように、非常にやっかいな側面のある疾患です。最悪の場合は、子宮や卵巣を失うことにもなるため、なによりも早期発見が重要となる婦人科疾患のひとつです。

(「子宮・卵巣の病気を防ぐ」高山雅臣編著、法研より)

高山雅臣


東京医科大学名誉教授
東京医科大学大学院卒業。1991年、東京医科大学産科婦人科学主任教授を経て現在に至る。日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会など多数の理事を務める。医学博士、メディカルスキャニング新宿院長。

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