子宮頸がんを予防しよう-5つの病気と5年生存率について

「自分の体は自分で守る」という意識が大切

子宮がん全体の約70〜80%を占める子宮頸がんがなぜ、若い女性に増えているのか。その原因と予防を探る。

原因のひとつと考えられている「ヒトパピローマウイルス」

 子宮がんには、子宮の入り口に発生する「子宮頸がん」と子宮の内膜に発生する「子宮体がん」があります。日本では子宮頸がんが圧倒的に多く、子宮がん全体の約70〜80%を占めています。

 一般的に子宮頸がんは40〜50歳代に多く発生しますが、最近では20歳代の若い女性患者の増加が目立ってきました。子宮頸がんの原因と考えられているのは、セックスによって感染する「ヒトパピローマウイルス」というウイルスです。また、多産などによる物理的な刺激も要因となるため、妊娠・出産の経験が多い人も危険性が高いといわれています。

 子宮頸がんが若年層に広がっている背景には、この10年間における若い女性の性感染症の急増があります。性に対する考え方が欧米化し、若くしてセックスを体験する女性が増えてきたにもかかわらず、わが国の性教育は欧米のようには進んでいません。10〜20歳代の女性には、性感染症や避妊に対する知識が圧倒的に不足しているのが現状です。

 最近、若い女性の「やせすぎ」「鉄欠乏性貧血」の増加などが問題になっていますが、性感染症や子宮頸がんなどの婦人科疾患についても、女性自身が「自分の体は自分で守る」という意識をもつことが重要になってきたようです。

最悪の事態を防ぐために必要なこと

 一般に、がんが発見された場合、その進行度合いを調べるために、さらに詳しい検査が行われます。そして、進行度合いに応じた適切な治療計画を立てるために、表のように0〜IV期という5つの病期(ステージ)に分類されます。

 ここで、表にあげた子宮頸がんの各ステージにおける「5年生存率」をみてみましょう。5年生存率とは、がんが完治したかどうかを判断する目安として国際的に採用されているものです。つまり、治療後5年経っても再発しない場合は完治したと考えてよいというわけです。

 まず、I期の5年生存率をみると、81.8%ときわめて高い数値を示しています。がんというとすぐに死をイメージする人が多いようですが、早期に発見されれば決して恐れる病気ではないということです。ところが、II期になると63.7%、III期では41.1%、進行度合いがいちばん重いIV期では、10.6%にまで下がってしまいます。なお、非常に早期の0期で発見された場合、治療後に再発することは、まずないといわれています。

 がんが、あらゆる病気のなかでもっとも自覚症状の現れにくい疾患であることは、どなたもご存じでしょう。「自分では気づかない」「気づきにくい」がんを早期発見・早期治療するために、そして「気づいたときには手遅れ」という最悪の事態を防ぐためにも、日頃の健康管理のひとつとして定期的な検診を行うことが大切です。

(「子宮・卵巣の病気を防ぐ」高山雅臣編著、法研より)

高山雅臣


東京医科大学名誉教授
東京医科大学大学院卒業。1991年、東京医科大学産科婦人科学主任教授を経て現在に至る。日本産科婦人科学会、日本産科婦人科内視鏡学会など多数の理事を務める。医学博士、メディカルスキャニング新宿院長。

コラムに関連する病名が検索できます。

その他のヘルシーウーマンコラム

この記事を見ているひとはこんな記事も見ています

若い女性に増える子宮がん-早期発見には自覚症状が出てからでは遅い?

一般にがんになりやすい年齢は40歳以降といわれますが、子宮がんはむしろ若い世代に多いがんであるため、若い人も油断はできません。子宮がんには、子宮の入り口(頸部)にできる「子宮頸(けい)がん」と、子宮の奥(体部)にできる「子宮体がん」があり... 続きを読む

女性のライフスタイルの変化と共に進化する婦人科検診

かつて日本女性は、15歳くらいで月経が始まり、18歳で結婚し、その1年後には子どもを出産するといったことも、それほどめずらしくありませんでした。ところが現代では、食生活が豊かになり、栄養状態が向上したことから、初潮年齢も平均12歳とかなり... 続きを読む

子宮頸がん検診の重要性-痛みのない検査で早期発見ができる

最近、予防ワクチンや病名の呼び方のことなど、新聞、雑誌、テレビなどで子宮頸がんの話題が取り上げられることが増えています。
「子宮がんと呼ばないで」という新聞の見出しに「どういうことだろう?」と興味をひかれたり、「じゃあ、何と呼ぶのだろう... 続きを読む

子宮体がんの基礎知識 50代以降は高い死亡率|主な検査方法

子宮頸がんが20歳代後半から30歳代後半に多いのに対し、子宮体がんは50歳代~60歳代に多いがんです。また近年は、年齢に関係なく子宮体がんは増加傾向にあります。
国立がん研究センターがん対策情報センターの「最新がん統計」によると、1年間... 続きを読む

子宮頸がんより死亡数が多い卵巣がん-リスク低下には睡眠が大事

卵巣がんは、かつては欧米の女性に多いがんでしたが、近年は日本でも増加傾向にあります。乳がんや子宮がんほどには話題になることが少ない卵巣がんですが、1年間の罹患数は約9,900人、死亡数は約4,700人と推計されています(国立がん研究センタ... 続きを読む

なぜ子宮頸がん検診が必要なのか-検診のみで予防できるガン

女性の誰もがかかる可能性のある「子宮頸がん」。子宮頸がん検診の重要性について、こころとからだの元氣プラザ診療部長・小田瑞恵先生に伺いました。 初期症状がなく何度でも感染するため、予防には検診が必須 初期症状がない「子宮頸がん」は、... 続きを読む

若い女性に急増している子宮内膜症‐主な症状や痛み方とは

子宮内膜症は、子宮内膜(子宮の内側の粘膜組織)あるいは子宮内膜症によく似た細胞が、子宮以外の場所に増殖してしまう病気です(図参照)。子宮以外の場所とは、たとえば卵巣、卵管、直腸と子宮の間(ダグラス窩)などで、ときには肺のなかまで発生します... 続きを読む

子宮頸がんってどんな病気? 女性なら誰でもかかる可能性がある

女性がはじめて出会うがんとも言われている「子宮頸がん」。30代の女性が一番かかりやすく、現在は20代にも急増しています。「子宮頸がん」がどんな病気なのかを知り、予防に役立てましょう。 日常生活で感染
初期症状はほとんどなし! 国立が... 続きを読む

正常な細胞が子宮頸がんになるまで-HPV感染から異形成まで

「子宮頸がん」はウイルスによる感染が原因で起こるがんです。細胞ががんに変わるまでには、長い時間がかかります。正常な細胞が子宮頸がんになるまでの過程を自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科教授の今野良先生に解説してもらいました。 ... 続きを読む

子宮体がんと子宮頸がんの違いは? 女性に知ってほしいガンの症状

子宮にできるがんを「子宮がん」と呼びますが、子宮がんには「子宮体がん」と「子宮頸がん」があります。この2つはまったく別の種類のがんで、特徴も大きく異なります。「子宮体がん」と「子宮頸がん」、2つの違いについて、自治医科大学附属さいたま医療セ... 続きを読む