鉄欠乏性貧血の予防は3度の食事が大事-鉄分と一緒に摂りたい栄養素

月経過多、過度のダイエット、偏食などが原因に

ひどくなると免疫力が低下して、貧血改善後も体にダメージが……

めまい、頭痛、イライラは貧血が原因かも

 ちょっと階段を上っただけで息切れがしたり心臓がドキドキする。めまいや頭痛がする。疲れやすい。イライラして物事に集中できない。こんな症状は、もしかしたら鉄欠乏性貧血が原因かもしれません。

 鉄欠乏性貧血は、いろいろなタイプの貧血の中でも最も頻繁にみられるもので、全身に酸素を運ぶ赤血球や赤血球中のヘモグロビンが減って、各臓器や全身の組織が酸素不足になってしまった状態です。ヘモグロビンは鉄とたんぱく質でできているため、体内の鉄が不足するとヘモグロビンが減少し、結果として鉄欠乏性貧血を引き起こすのです。

 初期には、なんとなく気分がすぐれないという程度ですが、貧血が進むと顔色が青白くなり、めまい、立ちくらみ、だるい、疲れやすい、動悸(どうき)、息切れ、イライラ、耳鳴り、冷えなどの症状が現れるようになります。ひどくなると、口内炎ができやすくなったり、爪が反り返ったりします。

 こうした症状があるときは、できるだけ早く受診しましょう。貧血の背景に子宮筋腫などの病気がある場合も珍しくありません。また、貧血がひどくなると、治療によって貧血が改善してからも、免疫力が低下するなど、からだにダメージが残ってしまうこともあります。

女性は月経、過度のダイエットなど、鉄不足を招きやすい条件がそろっている

 鉄欠乏性貧血の直接の原因は鉄不足によるヘモグロビンの減少ですが、鉄不足を招く原因はいくつか考えられます。

 女性の場合、まずあげられるのは月経です。赤血球中の鉄は毎月、月経血とともに体外に排出されていき、1回の月経でおよそ20~30mgの鉄が失われるといわれています。普通の量の月経でもこれだけの量の鉄が失われるわけですから、月経量の多い人では鉄の損失はかなりの量になります。
 また、妊娠・授乳期も鉄を失いやすいので注意が必要です。子どもに栄養を与えるため、鉄の消費量が通常より多くなるのです。

 こうして鉄が失われやすいにもかかわらず、過度なダイエットをしたり偏食が続いたりすると、鉄の摂取量が減ってしまうため、体内の鉄はますます不足してしまいます。過度のダイエットや偏食は鉄不足を招くだけでなく、その他のさまざまな栄養素(栄養成分)の不足につながり、栄養のバランスを崩してしまうので注意しましょう。

ヘム鉄、非ヘム鉄、ビタミンCを一緒にとって吸収をよく

 鉄欠乏性貧血では、血液中の鉄分の濃度を上げるために、鉄剤と鉄の吸収を高めるビタミンCが処方されるのが一般的ですが、予防や改善には、規則正しい生活と食生活の改善が大切です。

 規則正しい生活を送るためには、3度の食事をできるだけ毎回一定の時間帯にとるよう習慣づければ、生活のリズムをつくりやすくなります。こうすることによって、体のリズムも整ってきます。

 食事の基本は多種類の食材を食べることによって、いろいろな栄養素(栄養成分)をバランスよくとることが大事です。特に鉄欠乏性貧血には鉄を多くとること、鉄の吸収率を高めるビタミンCと合わせてとること、赤血球をつくるたんぱく質を適量とることを意識したいものです。

 食品に含まれる鉄には、動物性食品に含まれる吸収効率のよい「ヘム鉄」と、植物性食品に含まれる吸収効率のあまりよくない「非ヘム鉄」があります。
 ヘム鉄は肉や魚、中でもあさり、干しえび、レバー類、かつお、赤身の肉などに多く含まれます。しかもこれらの食品にはたんぱく質が豊富に含まれています。非ヘム鉄は野菜や海藻など、特にパセリや小松菜などの緑黄色野菜、ひじき、切干し大根、きなこ、ごまなどに豊富で、緑黄色野菜にはビタミンCも豊富です。

 吸収のよいヘム鉄が多く含まれているからと肉や魚ばかりとっていては、栄養が偏ってエネルギーオーバーになってしまいます。吸収が悪いとされる非ヘム鉄は、たくさんとるようにすればビタミンCもたっぷりとれます。適量のヘム鉄とたっぷりの非ヘム鉄をとることで、肉・魚に野菜・海藻・大豆と栄養バランスがよく、鉄の吸収もよくなるというわけです。ほかに、ビタミンCの豊富な野菜や果物も積極的に食べましょう。

 また、香辛料や酸っぱいものなど、食欲を刺激する成分は胃酸の分泌を促し、鉄の吸収を高める効果があるのでおすすめです。逆に、コーヒー、紅茶、緑茶に含まれるタンニンは、鉄の吸収を低下させるので食事と一緒に多量にとるのは控えたほうが賢明です。

【監修】
中村 理英子先生


中村クリニック院長
1946年生まれ。1970年東邦大学医学部卒業後、同大学産婦人科学教室に入局。1991年より、東京・下北沢に中村クリニック(産婦人科・内科・皮膚科)を開設。女性誌などでも女性のよきアドバイザーとして活躍中。近年、美容皮膚科を併設し、からだの内と外からの相互的な診察で女性の健康と美をサポートしている。著書に『よくわかる女性の医学』(西東社)、『中村先生、ピルって何ですか?』(KKベストセラーズ)、『更年期からのクリニック』(主婦と生活社)などがある。
中村クリニック http://www.dr-nc.com/

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