クラミジア感染症は放置すると不妊の原因にもなる? 性感染症の予防法

放置すると腹膜炎や不妊症、母子感染の危険も

無症状のことが多く、知らないうちに病状が進んでいく。早期発見・治療のために、早めに検診を受けよう

不妊症の一因にもなる、クラミジア感染症

 性器クラミジア感染症(以下、クラミジア感染症)は、クラミジア・トラコマチスという病原体が原因でおこる性感染症(主に性的接触によって感染する病気)の一つです。世界中で蔓延しているといわれ、日本では最も患者数の多い性感染症です。10代後半から20代後半の若い世代に多くみられ、この世代ではとくに女性に多いのが特徴です。高校生を含む10代では男性の2倍以上となっていますし、20代女性の4人に一人が感染しているというデータもあります。

 しかし若い世代では、性行為の経験はあっても「性感染症」に関する知識は少なく、自分には関係がないと思っている人が多いようです。性感染症は「性に関する環境汚染」といわれるほど広がっていて、特別な人が感染するのではないことを、ぜひ知ってほしいものです。

 この病気は、男性では尿道炎として発病し、尿道からの分泌物や軽い排尿痛、違和感などがあるので、自分で気づくことができる場合もあります。しかし、女性の場合、おりものの増加や下腹部痛などがみられることもありますが、自覚症状がないことがほとんどです。そのため早期発見が難しく、知らぬ間に感染源となってパートナーにうつしたり、互いに感染をくり返すピンポン感染も多くみられます。

 潜伏期(感染して症状が出るまでの期間)は約1~3週間ほど。男性では尿道炎から前立腺炎、精巣上体炎などをおこすケースもありますが、症状が軽いのが一般的です。女性では、子宮頸管炎から子宮内膜炎を引きおこし、卵管炎、腹膜炎へと症状が進行していきます。そこまでくると、腹痛をくり返したり、卵管がふさがって不妊症になったり、生命の危険を伴う子宮外妊娠のおそれもあるなど、影響は甚大です。
 さらに、感染したまま妊娠、あるいは妊娠中に感染した場合は流産や早産につながる場合があります。出生時に新生児が産道で感染(産道感染)すると、新生児結膜炎をおこして失明の原因になることもありますし、新生児や乳児の肺炎の原因がクラミジアの感染によるものだったというケースもみられます。

無防備な性行為が感染源になる

 クラミジア感染症は、あらゆる性行為が感染源となります。病原体はのどや直腸、尿からも発見されることが多く、口や肛門を使った性行為でも感染します。
 たとえばオーラルセックスでのどに感染し、扁桃腺炎や咽頭炎になることがありますが、性器に感染したものに比べ、治療に時間がかかるといわれます。若い人の間では、オーラルセックスは妊娠のおそれがないため気軽に行われ、しかもオーラルセックスでは性感染症はうつらないと誤解している人が多いようです。
 また、感染者の性器を触った手で目をこするなど、菌が目に入ることで、クラミジア性結膜炎をおこすこともあります。

 クラミジア感染症にかかった場合、パートナーも感染している可能性が高いので、治療は必ず一緒に受けてください。そうでなければ、せっかく治療を受けて治ったとしても、性行為によってまた感染してしまいます。

 クラミジア感染症の治療には抗生物質が使用され、治療終了後2~3週間目に、きちんと治ったことを確認する検査を受けることが必要です。

性感染症の予防のために、必ずコンドームを使用しよう

 最初にもお話しましたが、とくに女性の場合、クラミジア感染症を放置すると腹膜炎や不妊症、母子感染など深刻な影響を受けやすいので、一度でも性行為の経験がある人は、たとえ無症状でも検査を受けるのがおすすめです。
 症状がはっきりしないまま長い期間が経過して、感染してから発見されるまでに何年もかかっている例もあります。そういった点から感染経路を確認することが難しかったり、不可能である例も数多くみられます。どういった感染経路かを追及することよりも、パートナー同士ともに治療をして、二人の間からクラミジアを追い払ってしまいましょう。そして今後は新たな感染をしたり、自分が感染源とならないように注意をしていきましょう。

 クラミジアの咽頭感染の検査も、昨年から健康保険が適用されるようになりました。性感染症の検査や診療は、主に産婦人科や泌尿器科、扁桃腺炎や咽頭炎などの場合は耳鼻咽喉科で受けられます(受けられないクリニックや病院・医院もありますので、事前に電話でお問い合わせください)。
 しかし中には、検査をしても必ずしも感染が証明されない場合もあります。検査をした部位にクラミジアがいないと、検出されないこともあるのです。パートナーが感染していることが明らかな場合、主治医と相談して治療を受けるという選択肢もあります。よく相談してみましょう。

 ところで、クラミジア感染症と別の性感染症を一緒に感染している例も多くみられます。たとえば、クラミジア感染症が治った後も尿道炎が続く場合には、淋菌(りんきん)感染症が疑われます。また、クラミジア感染症に限らず性感染症にかかっていると、感染していない場合に比べて、HIV(後天性免疫不全症AIDSの原因ウィルス)に感染する確率が高くなることがわかっています。炎症をおこしている部分にウイルスがとりつき感染しやすくなるからです。

 また、以下のことが当てはまる場合、とくに感染の危険が高くなるため、少なくとも年1回の検査がすすめられます。
(1)最近、新しいセックスパートナーができた。
(2)以前から多くのセックスパートナーがいる。
(3)性行為のときコンドームを最初から最後まできちんと使用していない。
(4)セックスパートナーに複数のパートナーがいる(いた)

 クラミジア感染症をはじめとした性感染症は、性行為の最初から最後まで、コンドームをきちんと使用すればたいていは防げる病気です。避妊目的には主にピルなどを利用した上で、性感染症にかかっていないことが確認できない相手との性行為では、必ずコンドームを使用するのが理想的です。

【監修】
福本 由美子先生


済生会奈良病院・松原徳洲会病院婦人科医
1986年奈良県立医科大学卒業。同大附属病院、東大阪市立総合病院、湘南鎌倉総合病院、松原徳洲会病院の産婦人科勤務を経て、大阪中央病院泌尿器科・ウロギネセンターで産婦人科医としての経験を生かし、女性泌尿器科診療に携わる。現在は済生会奈良病院・松原徳洲会病院で婦人科医として診療を行う。日本産科婦人科学会認定専門医、日本内視鏡外科学会技術認定医、日本性科学会認定セックス・セラピストなど。共著に「女性泌尿器科外来へ行こう」(法研)、「30歳からのわがまま出産」(二見書房)など。

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