ビタミンDは女性の強い味方-骨を強くして、乳がん予防効果も?

骨づくりだけでなく、大腸がんや乳がんの予防にも効果が

魚・きのこなどビタミンDの多い食品を十分にとり、日焼けに注意しつつ適度な日光浴を

骨づくりのサポートと転倒予防の両面から骨折を防ぐ

 丈夫な骨づくりに欠かせないのに、日本人女性は十分にとれていない。それがカルシウムです。カルシウム不足は、更年期以降に増える、骨がスカスカになる骨粗しょう症の危険度を高めます。
 しかし、たとえカルシウムは足りていても、「ビタミンD」が十分でないと骨づくりの効果は期待できません。食べ物が腸管に入ってくると、ビタミンDが腸管に働きかけて食べ物の中のカルシウム吸収を促す、というしくみになっているからです。そのうえ、カルシウムが無駄に尿中に排出されないように、腎臓での再吸収を促しているのもビタミンDなのです。

 カルシウムの吸収を促すだけでなく、ビタミンD自身も丈夫な骨づくりをサポートしています。骨の細胞は新陳代謝によって常に新しい細胞に置き換わっていますが、ビタミンDは古くなった細胞を壊す破骨細胞の働きも、骨のもとになる骨芽細胞の働きも、両方ともに活性化させ、骨の再生を促しているのです。

 さらにビタミンDは、神経や筋肉の働きも活性化させるため、転倒予防にもよいと考えられています。骨粗しょう症になると、転倒などで無理な力が加われば簡単に骨折してしまい、高齢者ではそのまま寝たきりに、という危険を伴います。これに対してビタミンDは、骨を丈夫にして骨折を予防するだけでなく、とっさの一歩で骨折の原因となる転倒も予防してくれるというわけです。

糖尿病、高血圧、うつ病、感染症、そしてメタボとの関係も

 がんの中でも、大腸がんは女性のがんによる死亡者数第1位、乳がんは近年増加傾向が心配されています。これらの女性にかかわりの深いがんに対して、ビタミンDを多くとっている人ほど発症の危険度が低いという数多くの報告が出ています。

 大腸がんに関する国内の報告では、国立がんセンターがん予防・検診研究センターのものがあります。大腸がんの中でも直腸がんについて、ビタミンDのとり方が最も少ないグループのリスクは、より多くとっているほかのグループに比べ、男女とも数倍高いという結果が出ています。
 乳がんについても多くの研究で、ビタミンDによる予防効果が認められています。なかでも米国の研究によって、その効果は閉経前の女性でより高いことがわかりました。閉経後は、脂肪細胞中のアロマターゼという酵素が、乳がんのリスクになるエストロゲン(女性ホルモンの一種)を増加させるため、閉経後の女性はビタミンDの摂取に加えて脂肪細胞を増やさない、すなわち肥満しないことが大切です。

 このほか、海外の報告では、ビタミンDを多くとっている人ほど、糖尿病や高血圧、心血管病(心筋梗塞、脳卒中)、うつ病、インフルエンザなどの感染症にかかりにくい、という結果が出ています。最近話題のメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に該当する人は、ビタミンDが不足しがち、との報告もなされています。
 ビタミンDには、がん細胞の異常な分裂・増殖を抑えてがんを予防し、心血管系や免疫系の機能を高める働きがあると考えられます。

夏季は日よけをして、1日10~15分をめどに屋外へ出よう

 以上のような健康づくり効果が期待できるビタミンDですが、日本人女性の多くが不足していると思われます。ビタミンDを積極的に体にとり込むには、ビタミンDを多く含む食品を十分にとることと、適度に日光を浴びることです。

 ビタミンDはキクラゲ・マイタケなどのきのこ、さけ・かつお・いわしなどの魚に多く含まれています。含有量や通常の食事での摂取量を考えると、魚のほうが効率よくとれます。また、動物性の食品に含まれるビタミンDをD3、植物性の食品に含まれるものをD2といいますが、ビタミンDによる健康づくり効果の多くはD3によるものであることからも、魚がおすすめです。

 そして日光浴は、季節や時間帯、住んでいる地域などによって大きく異なりますが、大変効率よくビタミンDをとることができる方法です。日光の中でもUV-Bと呼ばれる紫外線に当たると、表皮でビタミンD(しかも健康効果の高いD3)ができるのです。日陰でも、帽子や日傘を使っても、日向の半分くらいの効果はありますが、ガラス越しの日光浴や日焼け止め(UVカット成分)を塗った部分ではビタミンDはほとんど生成されません。

 日光を浴び過ぎると、主にUV-Aによって日焼けがおこり、シワやシミの原因になります。一方で、現代人の多くが一日中ほとんど日光を浴びないライフスタイルになっています。日よけを上手に使って日光の浴び過ぎを防ぎつつ、運動不足の解消も兼ねて屋外をさっそうと歩き、ビタミンDの恩恵を上手にとり入れましょう。

 その場合の日光を浴びる(屋外に出る)時間の目安としては、日焼けしないくらいの時間で、夏季で1日10~15分、春季と秋季は30分程度。冬季は日照時間も紫外線量も減るため、皮膚でのビタミンD生成に頼ることができません。その分、魚料理を増やすなど、食事でしっかりとり、場合によってはサプリメントを利用するのもよいでしょう。

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
平柳 要先生


日本大学医学部社会医学系衛生学分野 准教授
1988年東京大学大学院医学研究科修了。ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学などの客員研究員を経て、現在は日本大学医学部准教授。医学博士。主な研究領域はエビデンスに基づいた生活習慣病の予防。日本宇宙航空環境医学会、日本人間工学会、日本臨床高気圧酸素・潜水医学会の理事など。主な著書に『がん予防に実は「日光浴」が有効なわけ』(講談社+α新書)など。

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