妊娠検査薬の上手な使い方-妊娠してても陰性の結果が出ることも

利用には注意が必要。「妊娠判定」が出たら早めに産婦人科へ

月経、妊娠について正確で十分な知識をもち、検査結果を相談できる「かかりつけ産婦人科医」をもとう

月経の遅れは「妊娠の可能性がある」と考えよう

 そろそろ月経が来るはずなのに来ないときには、どんな可能性があるのでしょうか? 卵巣の働きの一時的な不調、過度のダイエット、ストレスなどが原因で起こるホルモン分泌の異常などで月経が遅れることもありますが、性交経験があれば、たとえ避妊していても妊娠の可能性は完全にゼロではありません。月経が遅れれば妊娠の可能性も考えておかなければなりません。

 しかし、大学生を対象にした調査で、月経の遅れが妊娠を意味することを理解できていなかった例が多いことがわかっています。まずは月経や妊娠について正確で十分な知識をもっておくことが望まれます。そのうえで、妊娠したかどうか調べたいが、いきなり産婦人科に行くのは抵抗があるという場合、市販の妊娠検査薬を利用する方法があります。

 妊娠すると体の中ではHCG(ヒト絨毛性<じゅうもうせい>ゴナドトロピン)という物質が作られ、尿の中にも排出されます。それを利用して妊娠しているかどうかを調べるのが妊娠検査薬です。妊娠検査薬は薬局・薬店やドラッグストアなどで市販されていて、妊娠の可能性を自宅で手軽に調べることができ、多くの女性に利用されています。検査薬の使い方については薬局・薬店でアドバイスしてもらえますが、最終的な判断は使用者が行うことになります。

妊娠検査薬の利用には注意が必要

 妊娠のしくみを簡単に説明すると「卵巣から出た卵子と精巣で作られた精子が卵管の先で受精して、それが卵管を通って子宮に運ばれて根付くこと」となります。

 受精卵が子宮に根付くと少しずつHCGが作られ始めますが、受精卵が卵管内を運ばれている約1週間から10日くらいの間はHCGの量が少なく、検査しても「妊娠していない」という結果が出ます。この期間は普通、体調の変化もありません。HCGが尿から検出できるくらいの量に増えて初めて「妊娠」という判定ができることになります。
 検査薬の「利用方法」を十分に読んで、その手順に従って判定しないと、誤った結果が出ることがありますから気をつけましょう。

 妊娠検査薬の市販にあたっては、一部の産婦人科医から反対意見が出ていました。検査結果の判断を誤ると危険であるというのがその理由でした。検査薬で「妊娠」という結果が出ても、必ずしもそれが問題のない妊娠とは限らないからなのです。
 たとえば子宮外妊娠や胞状奇胎(ぶどう子)などの場合も、検査薬による検査では大抵「妊娠」という結果が出ますが、このような異常妊娠を早く発見できると、体に影響が少ない治療をすることができます。発見が遅れると、体に影響の大きい治療を選択せざるをえなくなり、その結果、将来妊娠しにくくなることもありますし、命にかかわることもあります。

 こうしたことを防ぐために、妊娠検査薬で「妊娠」という判定が出たときには、早く産婦人科の診察を受けることが大事です。順調な妊娠であった場合も、なるべく早期から妊娠の経過をチェックしておくことは、赤ちゃんにとってもお母さんにとっても大事なことです。

妊娠の判定は簡単なケースばかりではない

 また、いったんは「妊娠していない」という結果が出ても、実は妊娠していたということがまれにあります。HCGがまだ検出できる前の段階に検査を行ってしまうと、そのようなことが起こります。たまたま排卵の時期がずれ込んだ場合や、性交渉から受精までに日数がかかった場合には、妊娠と判定できる時期が予測よりも1~2週間ずれ込むことがあります。

 一度「妊娠していない」という結果が出ても月経が来ない場合には、慎重を期して再度妊娠検査薬を利用したり、産婦人科で相談したりすることが大事です。

 月経だと思っていても、いつもより出血量が少ない場合は月経ではないこともあります。実際に、3,000gの赤ちゃんを出産した方で、出産直前まで不定期ながら出血があり、それを月経だと思っていたという例があります。出血イコール月経ではないのです。出血の状態や体調に気を配る必要があります。

 月経や妊娠については、時に判断がしづらいケースもあります。妊娠検査薬で「妊娠」という結果なら早めに産婦人科を受診して、赤ちゃんと自分自身のために健康管理を行っていきましょう。もし「妊娠していない」という結果であっても、1~2週間待って月経が来ないようなら、ごく初期段階の妊娠や卵巣の不調の可能性もありますので、再度検査薬で検査するか産婦人科で相談してください。

 せっかくの検査結果を活かせるように、「かかりつけ産婦人科医」をもつなど、いろいろと相談できる状況を整えておくといいでしょう。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
福本 由美子先生


済生会奈良病院・松原徳洲会病院婦人科医
1986年奈良県立医科大学卒業。同大附属病院、東大阪市立総合病院、湘南鎌倉総合病院、松原徳洲会病院の産婦人科勤務を経て、大阪中央病院泌尿器科・ウロギネセンターで産婦人科医としての経験を生かし、女性泌尿器科診療に携わる。現在は済生会奈良病院・松原徳洲会病院で婦人科医として診療を行う。医学博士。日本産科婦人科学会認定専門医、日本内視鏡外科学会技術認定医、日本性科学会認定セックス・セラピストなど。共著に「女性泌尿器科外来へ行こう」(法研)、「30歳からのわがまま出産」(二見書房)など。

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