子宮筋腫ってどんな病気? 筋腫を疑う8つの症状

月経量が多くなったり月経が長引くのは、子宮筋腫のせいかも

命にかかわることはないが、強い症状のため日常生活に支障が出ることも。悪性の「肉腫」との鑑別も必要

こんな症状があったら子宮筋腫かもしれません

 次のような症状はありませんか? もし思い当たることがあるようなら、子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)かもしれません。

・健康診断で今まではなかった貧血がわかった
・おなかに圧迫感を感じるようになった
・下腹部にしこりを触れる
・尿が近くなった
・便秘がちになった
・月経(生理)が長引く
・月経血にこれまでなかった血の塊が混じるようになった
・月経時は昼でも夜用の生理用品を頻繁に交換しなくてはならなくなった

 ここにあげた症状の半分は、月経量が増えることに関連した症状です。月経量が増えると、血の塊が出るようになりますし、少しずつ少しずつ貧血が進んでいくこともあります。貧血は血液中で酸素の運搬をするヘモグロビン(血色素)が減少し、体に酸素がスムースに十分運ばれなくなった状態ですが、徐々に進行する場合には自分では気づきにくく注意が必要です。ヘモグロビンが通常の半分程度に減っていても、「そういえば疲れやすくなったような気がする」「手足が冷えやすい」「階段よりもなんとなくエスカレーターをよく使うようになった」といった、漠然とした自覚症状しかないことがあります。
 治療して貧血がよくなってから初めて「今考えると、あの時は体はつらかったんだとわかりました」とおっしゃる患者さんも少なくありません。

子宮に硬いしこりができ、いろいろな症状がでる

 子宮筋腫は子宮にできる硬いしこりで、そのしこりのためにいろいろな症状が出る病気です。子宮にできたしこりは、筋肉を押しのけるような形で大きくなったり、子宮の外側に向かって張り出したりするもので、がんや肉腫のような悪性の病気ではありません。また、ほかの臓器に転移するようなこともありません。子宮筋腫が命にかかわることはまずありませんが、中には強い症状のために日常生活が妨げられたり制限されたりする方もいます。

 子宮筋腫ができると、月経が起こる子宮内膜の面積が広くなって月経量が多くなったり、月経血が止まりづらくなったりして月経が長引くことがあります。月経量が多くなると一部の血液が固まった状態で出てくるので、まるでレバーのように見えることがあります。
 硬いしこりを下腹部に触れることもありますし、かなり大きくなるとうつぶせで寝たときなどにつかえる感じがしたり、寝返りのときに違和感があったりします。
 このような症状は子宮筋腫のしこりの大きさやできる場所に左右されます。

 子宮筋腫は、30歳代の女性の4~5人に1人、40歳代の女性の3~4人に1人が持っているというデータがあるくらい、かかっている方の多い病気です。しかし、どうしてこのようなしこりが子宮にできるのかといったことは、まだよくわかっていません。
 同じような子宮筋腫があっても、急に大きくなって治療が必要になる人もいれば、全くサイズが変わらずに定期的な通院だけで経過を見ていける人もいます。この違いがどうして生じるのかも不明です。
 一般には、月経が止まって閉経すると、月経のときに出る症状がなくなり、子宮筋腫も少しずつ小さくなっていくことから、女性ホルモンが影響していると考えられています。

子宮筋腫と決めつけるのは危険です

 子宮筋腫は子宮にできるしこりですが、それと似ている「子宮肉腫」という悪性の病気があります。子宮肉腫は大きくなるスピードが速く、ほかの臓器に浸潤や転移という形で広がって生命にかかわります。発症する確率は5~6万人に1人くらいと低いのですが、症状や診察した時の状態が子宮筋腫と似ている場合があるために、診断が難しいという厄介な面を持っています。子宮頸がん検査や子宮体がん検査といった細胞の検査を行っても、発見できないのです。

 冒頭のような症状がある場合には、まず内診(婦人科特有の触診方法)や超音波検査を行います。子宮筋腫がはじめて見つかった場合や子宮肉腫の可能性が疑われる場合には、血液検査やMRI(核磁気共鳴画像)検査などでさらに詳しく調べておく必要があります。MRI検査で子宮肉腫が高い確率で疑われる特徴的なパターンが出た場合、ほかの検査結果とあわせて推定します。
 しかし、これらの検査でも子宮肉腫かどうかを100%確定できるわけではないので、子宮筋腫だろうと思われる場合でも、しばらくの間は大きさやしこりの状態の変化をこまめに確認しておく必要があります。
 子宮肉腫の場合は大きくなるスピードが速く、女性ホルモンの影響で大きくなる子宮筋腫とは違って、閉経後でも大きくなるという特徴があります。

 これ以外にも子宮腺筋症といって、子宮の壁が腫れて月経量が多くなったり月経痛が強くなったりする良性の病気もあります。

 子宮筋腫と診断された場合、薬物療法と手術を中心にさまざまな治療法があります。どの治療法を選択するかは、症状や筋腫の状態はもちろんですが、患者さんの年齢や妊娠を希望するかどうかなどによっても異なってきます。
 次回は、子宮筋腫の治療法にはどんなものがあるのか、選択するポイントは何かといったことについて解説します。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
福本 由美子先生


済生会奈良病院・松原徳洲会病院婦人科医
1986年奈良県立医科大学卒業。同大附属病院、東大阪市立総合病院、湘南鎌倉総合病院、松原徳洲会病院の産婦人科勤務を経て、大阪中央病院泌尿器科・ウロギネセンターで産婦人科医としての経験を生かし、女性泌尿器科診療に携わった。現在は済生会奈良病院・松原徳洲会病院で婦人科医として診療を行う。医学博士。日本産科婦人科学会認定専門医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本性科学会認定セックス・セラピストなど。共著に『女性泌尿器科外来へ行こう』(法研)、『30歳からのわがまま出産』(二見書房)など。

コラムに関連する病名が検索できます。

その他のヘルシーウーマンコラム

この記事を見ているひとはこんな記事も見ています

子宮筋腫があっても妊娠できる?筋腫があるままでも妊娠・出産は可能。

子宮筋腫が発見されやすい30〜40代は、女性が妊娠・出産を迎える時期と重なります。「筋腫があっても、自然妊娠できるの?」といった質問にドクターが答えます。 筋腫のできる場所によっては不妊の原因にも 30〜40代でこれから妊娠・出産を... 続きを読む

女性は男性よりうつ病になりやすい-うつ病自己評価尺度でチェック

うつ病は男性よりも女性に多い病気です。女性が男性よりうつ病になりやすい原因の一つは、月経周期や妊娠・出産、閉経(更年期)による、ホルモンバランスの急激な変化による心身のストレスと考えられています。
もう一つは、就職、結婚、妊娠・出産、子... 続きを読む

バセドウ病はなぜ若い女性に多いの? 主な症状と治療法

バセドウ病は20~30歳代の若い女性に多い病気です。ちょうど就職、結婚、妊娠、出産など人生の大きな節目となるできごとが重なる年代で、それが病気の発症に深くかかわっていたり、治療を受けるうえで大きな不安材料になったりしています。なかには、バ... 続きを読む

女性なら誰でもなるかも 子宮筋腫が見つかったらどうすればいい?

子宮筋腫は良性の筋腫で、すぐに命に別状はありません。それだけに、見つかったらどのように対処するか、迷う人も多いもの。すぐに摘出手術を受けるべき?
様子を見ていても大丈夫?
そんな疑問にお答えします。 子宮筋腫があるからといって、即手術... 続きを読む

何度も確認したくなる、不安がつきまとう…強迫性障害の症状とは

家を出たあとで「鍵をかけ忘れたかもしれない」「ガスコンロの火を消し忘れたかもしれない」などと気になって引き返す。こんな経験は誰にでもあるでしょう。
しかし、一度確認をして再び家を出たあと、今度は「確認したとき無意識にかぎを開けてしまった... 続きを読む

子宮筋腫の予防法 好みの食べ物によってなりやすさは変わるの?

女性なら誰もが発症する可能性の高い子宮筋腫。命を左右する病気ではないけれど、できるだけ関わらずにいたいもの。子宮筋腫の予防法について、ドクターに教えてもらいました。 西洋医学では子宮筋腫の予防法はなし 筋腫の発生のメカニズムは明らか... 続きを読む

子宮筋腫とは?30〜40代は筋腫の危険年代 大きくなると手術も

30歳以上の5人に1人が悩んでいるという子宮筋腫。筋腫ができる位置や大きさによって症状はさまざま。ときには、子宮全摘という深刻な選択を迫られることも。子宮筋腫の正体を、正しく知りましょう。 30〜40代は筋腫の危険年代
大きくなると手... 続きを読む

腹痛の原因となる病気 3-ストレスで悪化する過敏性腸症候群

過敏性腸症候群は、腸の検査や血液検査をしても異常が認められないのに、腹痛や下痢・便秘などの便通異常を中心とする消化器症状が長く続く病気です。ストレスが症状を悪化させる要因となり、日本を含む先進国で多くみられます。
日本人の10~15%が... 続きを読む

頭痛には3つのタイプがある-自分のタイプを見極めて適切な対処を

日本では、およそ4000万人もの人が慢性頭痛に悩まされているといわれます。慢性頭痛とは、精密検査を受けてもはっきりした原因や異常が見つからないのに、くり返し起こる頭痛のことをいいます。命に別状はないものの、放置すれば生活の質(QOL)を低... 続きを読む

関節リウマチ患者、女性は男性の4倍-専門医の早期診断が決め手

日本での関節リウマチの患者数は、70~100万人と推定され、30~50歳代で最も多く発症しています。10歳代や20歳代での発症もあります。女性に多く、男性の約4倍とみられています。
関節リウマチの原因は、まだ明らかではありませんが、自... 続きを読む