子宮筋腫の治療について-薬物療法と手術による治療|妊娠はできる?

薬物療法、手術を中心に幅広い選択肢からどう選ぶか

症状や筋腫の状態だけでなく、年齢や妊娠希望の有無など患者さんの状況からじっくり考えて選ぶことが大事

薬物療法には、症状を軽くする治療と筋腫そのものに働きかける治療がある

 子宮筋腫が見つかったからといって、必ず治療が必要になるわけではありません。定期的なチェックだけでいい患者さんも多くいらっしゃいます。しかし、症状のために日常生活が損なわれている場合には、積極的に治療を考えるのがいいでしょう。

 子宮筋腫は、女性ホルモンが減って、閉経すると症状がよくなる病気です。月経に関連した症状は月経が止まればよくなりますし、ホルモンが減ることで子宮筋腫が徐々に小さくなる場合もあります。
 閉経が近い方は、それまでをどう乗り切るかということを中心に、薬物治療を工夫することも治療方法の一つです。ただ、閉経時期は予測できないので、それが治療をする上での判断を難しくすることがあります。平均的には50~51歳くらいで閉経すると考えられていますが、なかには55歳くらいまで月経が続く方もいます。母娘で閉経時期は似るということは知られていますが、それもなかなか一概に言えない部分もあります。

 薬物治療は症状を軽くする治療か、子宮筋腫そのものに働きかける治療かに分けられます。症状に対応する治療としては、貧血を改善するための鉄剤、出血を減らすための止血剤、痛みがある人には鎮痛剤が投与されます。
 子宮筋腫そのものに働きかける治療としては、閉経したような状態を薬で作り出す偽閉経療法があります。卵巣のホルモンを一時的に抑える治療法です。この治療で子宮筋腫は小さくなりますが、閉経に伴う冷えのぼせ、発汗、いらいら、不眠などの症状が出ることがあります。それらの症状は、治療で和らげることが可能です。
 投薬をやめた時点で閉経時期になっていればそのまま月経が止まって、子宮筋腫も安定した状態になります。しかし、本来の閉経時期になっていなければ卵巣がまたホルモンを作り始めます。そうなると月経が再開して少しずつ子宮筋腫が大きくなります。

 その方の年齢や卵巣の状態、治療の目的などで治療方法を選ぶことが必要です。

手術は症状を確実に改善することができる

 手術は子宮筋腫そのものを治療しますので、症状を確実に改善することができます。大きく分けて、子宮筋腫だけをくりぬくように取り除く「子宮筋腫核出術(かくしゅつじゅつ)」と子宮全体を切除する「子宮摘出術(てきしゅつじゅつ)」があります。
 子宮筋腫核出術の場合は、その後も月経が続きますし妊娠することも可能です。しかし、発見できないくらい小さい子宮筋腫の芽のようなものが残ることもまれにあって、再発する危険がわずかに残ります。ごく小さいものも含めて約3割の方に再発が見られたというデータがありますが、その中で再度手術が必要になった方は3割の中のさらに1割、つまり3%くらいであったとされています。再発率は、手術から閉経までの期間がどれくらいあるかによっても左右されます。

 子宮筋腫は不妊症の原因になることもありますが、子宮筋腫の大きさ、できる場所、個数など、どれくらいなら不妊の原因になるのかについて、はっきりとした判断基準があるわけではありません。ただ、受精卵の着床する場所に非常に近いところに子宮筋腫があると妊娠には不利になりますし、妊娠中に子宮筋腫が強く痛むことがあり、その影響で流産や早産を起こしやすくなる場合もあります。
 子宮筋腫以外には不妊原因が見つからないような場合には、手術を選択することがあります。主治医の先生とよく相談することが大事です。

 子宮摘出術の場合は、月経が起こる場所がなくなるため、月経が起きなくなります。しかし、卵巣が残っていれば排卵も起こりますし、急に更年期症状が出ることもありません。子宮筋腫が再発することもありません。
 ただ、中にはまれに骨盤底がやや不安定になり、尿もれや骨盤の中の臓器の下垂などが起こる場合や、性交渉のときの感覚が変化することもあります。必ずしも子宮摘出の影響だけでそういった症状が起きているのかどうかは証明されているわけではありません。患者さんの中には「子宮=女性らしさ」「月経=女性性」というイメージを持っておられる方もあり、心理的な背景が症状を引き起こしている場合もあるかもしれません。
 手術後に生活スタイルが変わったり、体重の変化が起きたり、閉経によって骨盤底の支えになる組織が弱くなるといったことも関連している可能性があります。

 どういう理由でその治療法を選ぶのかをよく考えて選択することが、とにかく大事です。手術後の自分、手術後の生活を思い描いてみるといいでしょう。

 子宮筋腫の手術には、その経路によってさまざまな方法があります。つまり、おなかを切って手術するのか(開腹手術)、おなかを小さく切って内視鏡を使って手術をするのか(腹腔鏡下手術)、腟から手術するのか(腟式手術)に分けられます。子宮筋腫核出術の場合は、子宮口を通じて子宮鏡という内視鏡を使って手術する子宮鏡下手術という方法もあります。
 それぞれ、子宮筋腫の大きさや個数、位置、子宮筋腫核出術か子宮全摘術かといったことで、方法を選択します。いずれも健康保険の適用となっています。

薬物療法、手術のほかに第3の治療法も

 現在は上記以外にもさまざまな治療法があります。今のところ、健康保険が使えないので高額にはなりますが、患者さんの状態や考え方によっては選択されることがあります。

 「子宮動脈塞栓術」は、子宮に血液を送っている血管に細い管(カテーテル)で血液の流れをせき止める物質を注入する、いわば子宮筋腫を兵糧攻めにして治療する方法です。この方法では脚のつけ根に数ミリの傷がつくだけです。しかし、血液の流れをせき止めて減らすので、それに伴って起こる子宮の痛みをとる治療が重要になります。また、子宮に感染症が起きる事例もまれにはあるようです。治療後の妊娠については、問題がある、問題がなかった、など意見が分かれるところです。

 「集束超音波法」は、超音波の焦点を集中させて、どこも切ることなく子宮筋腫の部分だけを焼き切るようにしてつぶしていくという治療法です。子宮筋腫の大きさや個数によって、向き不向きがあるようです。MRI検査結果を参考にして、治療について相談することになります。

治療法の選択肢には、患者さんの状況に応じてかなりの幅がある

 子宮筋腫を抱えている人は大変多いのですが、みなさんそれぞれに状況が異なっています。このまま経過観察でいいのかどうか、治療するならどの治療を選択するのかは、患者さん一人ひとりの、これからの生活を選択するようなものとなります。

・これから先に妊娠のプランがあるのかないのか
・子宮は自分にとってどういう存在なのか
・自分が目標としている治療のゴールはどこなのか、

 症状を抑える治療で様子をみていい状況なのか、卵巣のホルモンを抑える治療もあわせて行うほうがいいのか、手術を選択したほうがいいのか、副作用に対処しながら薬物治療を選ぶのか、再発の可能性がわずかにあっても子宮を残すことを大事に考えるのか、低くても再手術の可能性のないように子宮を摘出するのか、効果や副作用を考えた上でほかの治療の選択肢が選べる状況なのかなど、患者さんそれぞれの状況に応じて選択肢にはかなりの幅があります。

 子宮筋腫の治療法は、ほかの疾患が隠れていないかといったことを慎重に調べた上で、主治医を案内役にしてよく相談し、じっくり考えて選ぶことが大切です。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
福本 由美子先生


済生会奈良病院・松原徳洲会病院婦人科医
1986年奈良県立医科大学卒業。同大附属病院、東大阪市立総合病院、湘南鎌倉総合病院、松原徳洲会病院の産婦人科勤務を経て、大阪中央病院泌尿器科・ウロギネセンターで産婦人科医としての経験を生かし、女性泌尿器科診療に携わった。現在は済生会奈良病院・松原徳洲会病院で婦人科医として診療を行う。医学博士。日本産科婦人科学会認定専門医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本性科学会認定セックス・セラピストなど。共著に『女性泌尿器科外来へ行こう』(法研)、『30歳からのわがまま出産』(二見書房)など。

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