育休からの職場復帰へ-確認しておきたいこと3つのステップ

育児中の女性が仕事に復帰するために

自分自身を客観的に整理、仕事と家庭両立のための資源探し、スキルチェック。でも最後は楽観的に!

仕事を辞める前に、立ち止まってよく考えよう

 子育て中の皆様、楽しんで子育てをなさっていますか?
 子どものいなかったときと今では、仕事や家庭に対するお気持ちに変化はありましたか。子育てでお仕事は辞めたのでしょうか、育児休業をとって復帰する予定でしょうか。保育園は見つかりましたか。お助け隊の準備は整いましたか。
 仕事に復帰する……といっても、事情はさまざまでしょう。

 『厚生労働省:平成20年版働く女性の実情』によれば、働く女性の労働力人口は2762万人で、全体の48.4%となりました。20代の就業率は9割で、その後も未婚の場合は8割の方は働き続けますが、結婚・出産後に働き続ける人は2~3割にすぎません。理由は、仕事と家庭の両立ができない、育児を一生懸命やりたい、仕事がきつすぎる、仕事にやりがいを見出せない、働き続けたいが育児休業をとることができない……などです。
 一度辞めた人は、40代以降に7割程度は再度働き始めていますが、そのほとんどは非正規雇用です。女性の場合正規雇用者は46.4%、パートやアルバイトなどの非正規雇用53.6%で、働く女性が増えたといっても、むしろ非正規雇用が増えているのが現状です。

 育児介護休業法ができてから、正社員の場合は育児休業をとる人が増えました。非正規雇用の場合も業務を継続することが明確な場合、育児休業をとることができるのですが、実際には取得しにくく、辞めてしまうことが多いようです。

 在職しているか、辞めてしまったかによって、育児休業後の復帰には相当な違いがあります。在職中なら、よく知っている同僚がおり、仕事の内容もだいたいわかっていることでしょう。
 仕事を辞めた場合は、仕事を探すのが先か、保育園を探すのが先かと「鶏と卵」のような苦労をすることが多いようです。入園を申し込むときに、就労証明書が必要だったり、パートだと優先入園順位が低くなかなか決まらず、そのうちにもういいや、と諦めてしまうこともあるようです。

 これから出産という人は、今の職場で育児介護休業法や「ワークライフバランス」施策が、どの程度整っているかよく確認し、仕事を辞める前にしばし立ち止まってよく考えましょう……というのが一つめのアドバイスです。

再就職、職場復帰のための3つのステップ

 育児中の復帰準備については、21世紀職業財団のホームページhttp://www.jiwe.or.jp/index.htmlの内容が役に立ちます。『仕事と育児・介護との両立支援』>『再就職に向けての支援」>『再チャレンジサポートプログラム』を参考に、再就職・職場復帰いずれにも活用できるよう、私なりに3つのステップに作り変えてみました。


ステップ 1 自分自身のことを客観的に整理する
・職業や家庭に対する興味や価値観
・今までの仕事や知識、スキルの棚卸し
・自分の強いところ・弱いところ
・短期、長期のワークライフバランス計画

ステップ 2 再就職(復帰)までの課題を知る
・仕事と家庭の両立課題の把握(人、金、物)
・スキルチェック
・職業情報、求人情報と再就職希望とのギャップの把握(職場の情報)

ステップ 3 アクションプランを作成する
・再就職(復帰後)の具体的な行動計画をつくる

 ステップ1からステップ3まで、具体的にみていきましょう。

●ステップ 1
 一番大事なのは、自分自身を知るということです。おすすめは、自分の手帳を作ること。短期の目標と長期の目標を書くことから始めます。今は子育てでアップアップかもしれませんが、やがて子どもは成長します。「子育てはたかが10年よ」とは私が先輩に言われたことです。少し冷静に自分の仕事を考え、何が好きだったか、得意だったか、自分の強みを書いてみましょう。

 子どもができると価値観が変わることもあります。かわいい盛りの子どもを預けて働くほど自分の仕事に意味があるのだろうか、3歳までは家庭にいたほうがよいのではないか、復帰しても仕事に追いつけないのではないか、周囲の人に迷惑をかけるのではないか、などさまざまな不安があります。そんなとき、自分の中の仕事への思いが支えになります。

●ステップ 2
 ここで大事なのは、両立のための資源です。難関は保育園探し。今はネットでも保育園情報を集めることができるので早めに動きましょう。帰宅が遅くなったとき、急な出張、病気になったときなど緊急事態対応は、配偶者や両親兄弟姉妹、近所の方の応援を求めることはもちろん、育児サービスの情報も収集しましょう。配偶者も育児休暇を体験してもらうと「育児」は両親の仕事、と感じてもらえるようになります。そして、身近な人にこそ「ありがとう」戦略が欠かせません。
 保育は結構お金がかかります。保育料でお給料の大半が飛んでしまうこともあります。どこにお金をかけるか、ステップ1に立ち返って考えましょう。食器洗い機、ノーアイロンのブラウス……時間を生み出すモノにはこの際、投資しましょう。

 育児休業をとっている間、またはいったん仕事を辞めている間に、仕事に遅れが出ているかもしれません。が、焦らないこと。子どもの脳はこの時期に猛烈な勢いで成長しています。子どもは親の感情を見事に吸い取っていきます。親がイライラしているのは、小さな子どもに不安感を植え付けます。会社からの情報やe-learning(インターネットを活用して自宅でもできる学習システム)の機会があれば受けてみるのも一つ。なかなかできなかった勉強をするのもよいでしょう。でも、頑張りすぎないというのも大事なことです。

●ステップ 3
 復帰後の具体的プランを作ります。育児で精一杯で、24時間があっという間に過ぎていきます。自分の一日を振り返り、仕事が始まったとときのシミュレーションをしてみましょう。

 でも、最後はやってみなくてはわからない、何とかなる、と思うことです。親になるには、楽観的……というのがキーワードかもしれません。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
荒木 葉子先生


内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント
東京医科歯科大学女性研究者支援室特任教授
荒木労働衛生コンサルタント事務所所長
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。

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