軽いケガなら消毒やガーゼはいらない? ケガの治療の新常識

食品用ラップを使った閉鎖療法

「傷にはガーゼ」という常識を打ち破る新療法。別名「ラップ療法」ともいわれる「閉鎖療法」とは。

消毒薬とガーゼは禁物! 自然治癒力を生かした閉鎖療法

 「けがをしたら、傷口を消毒しないとばい菌が入る」。そう思っていませんでしたか?

 ところが消毒薬を使うと、細菌と一緒に傷の表面の細胞も死んでしまい、傷口が痛む原因になってしまいます。またガーゼを使うと、傷を治す体液を吸い取り、傷口を乾燥させます。傷口が乾燥すると体液が固まってかさぶたになって、傷の治癒が遅れたり化膿する原因にもなってしまうのです。

 閉鎖療法は、傷口に消毒薬やガーゼをいっさい使わず、フィルム状の被覆材で覆うのが特徴です。傷口から出てくる体液を被覆材で覆い、湿った状態にしておくことによって自然治癒を高め、新しい皮膚が傷口を覆う体の働きを早めるのです。

傷から出る体液が傷を治すしくみ

 けがが治り傷口に新しい皮膚ができるまでは、複雑なプロセスをたどります。

 けがなどで皮膚が破壊されると、まず傷口に血小板が集まり血を凝固させ止血します。次に好中球やマクロファージなどの白血球が局所に集まり、死んだ細胞や雑菌を除去します。そして繊維芽細胞が集まって傷口を閉じ、最後に表皮細胞が集まり、新しい皮膚が傷口を覆っていきます。

 閉鎖療法では、被覆材で覆われた傷口から、ジクジクした黄色っぽい体液が分泌されます。一見すると膿のようなこの分泌液には傷を治す成分が含まれています。最初は大量に分泌される体液はしだいに少なくなり、3~4日で新しい皮膚が再生されます。

とっさのときに役立つラップを使った閉鎖療法

「目からウロコ」の閉鎖療法。けがは時間と場所を選ばず起こるものです。いざというときのために、身近な材料でできる治療法を紹介しておきましょう。

 治療に使うのは食品用ラップ、白色ワセリンかプラスチベースといった市販の安価な軟膏、ラップを止める絆創膏、包帯、タオルかガーゼ。いずれも家庭にあるか、手軽に入手できるものばかりです。

 まず、このラップを使った閉鎖療法のポイントは、傷口をしっかり水洗いすることです。異物が残っていると化膿したり、跡が残ることがあります。ラップは傷よりふたまわりほど大きめに切り、軟膏があればラップの傷口にあたる部分に塗ります。軟膏を塗ると痛みが早く引きます。

 ラップをかぶせたら、四方を絆創膏で固定します。ラップは1日1〜2回をめどに交換します。ラップを交換するときには、傷口を洗うようにしましょう。さらに、自己治癒力によって傷口に体液が分泌されますので、ラップの上から包帯を巻きます。傷が深く多くの体液が分泌された場合は、包帯を巻く前にタオルやガーゼで体液の漏れを防ぎます。

 こうした手順で治療をすれば、3〜4日で新しい皮膚が再生されてくるでしょう。子どもの場合、痛がって暴れるなど、うまく洗えないときには医師に診てもらいましょう。

(「へるすあっぷ21」、法研より)

【取材協力】
夏井 睦氏


傷の治療センター長

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