子どもが急に体調不良になったら…休日や夜間の救急電話相談

小児救急の現場が疲労困憊。小児科を上手にかかるには

患者さん側と医療者側がお互いの立場を理解し合うことが、医療崩壊の回避につながる

患者さん側の不満と医療者側の不満

 テレビや新聞、雑誌では、「医師不足」や「救急受け入れ拒否(たらい回し)」など医療崩壊を示唆するような報道が目につきます。この背景には、患者さん側からは「医療体制の不備」、医療者側からは「熱やせき程度の軽い症状で夜中に救急を受診するいわゆるコンビニ受診の増加が医師の疲弊を招いた」という不満があるようです。

 確かに私が勤務する名古屋掖済会病院救命救急センターにも、一晩で20人程度(多いときには60人くらい)の子どもたちが救急受診をしますが、点滴や血液検査、X線検査など医学的な処置が必要なのは1割程度で、入院が必要なほどの重症例はその1割にも満たない(子どもの受診例の1%未満)という統計があります。この数字は、他施設でもほぼ同じようです。この結果が医療者側の「コンビニ受診の増加!!」という不満につながっているのです。

 一方、子どもの親からすれば、子どもが体調を崩したときに、「核家族化が進み、近くに子育て経験者がいなくて誰に相談してよいかわからない」、あるいは「昼間はどうしても仕事で子どものそばにいてあげることができなかった。夜中であろうと、親としては病院に連れて行くべきではないだろうか」という不安や受診に至るまでの心の葛藤があるでしょう。ときには、保護者は家で様子を見ても大丈夫と思っているのに、祖父母の「とりあえず大きな病院に行きなさい!!」というプレッシャーからやむなく受診にいたる場合もあるのですが……。

母親たちが小児医療を守ろうと自ら学んでいる

 このような患者さん側の事情に対して、医療者側も理解を示す必要があると思います。同時に患者さん側も、多くの医療者は何十時間もの連続勤務を強いられており、過労死などの問題に直面していることを理解し、上手な医療機関の利用の仕方を心がける必要があると思います。「子どもの体調に異変を感じたら、いつでも、小児科の専門医に診てもらい」という気持ちはわかるのですが。

 患者さん側と医療者側がお互いの立場を考えることができるようになってこそ、不幸な医療崩壊を回避できると思います。本来であればお互いの立場を理解できるように情報を提供することがマス・メディアの重要な使命であるのですが、最近はお互いの怒りを煽(あお)るような報道が目立ち、とても残念に思います。

 こういった中、母親たちが中心になって、地域の小児医療を守るために自分たちから学んでいこうという活動が各地で見られるようになってきたことは、注目されることです。「知ろう!小児医療 守ろう!子ども達」(東京都 http://plaza.rakuten.co.jp/iryo000/)、「県立柏原病院の小児科を守る会」(兵庫県丹波市 http://www.mamorusyounika.com/index.html)、「子どもの病気を知るお母さんのための勉強会」(山口県岩国市)などでは、母親(市民)主体の勉強会などが開催され、小児医療の基礎や、上手な医療機関のかかり方について学ぶことができます。

休日や夜間に迷ったら #8000 に電話を!

 また、全国の都道府県では、小児救急電話相談 (#8000:シャープはっせん) 事業という電話相談サービスを実施しています。これは、子どもの休日や夜間の急な病気にどうしたらよいか迷ったとき、トレーニングを受けた医師や看護師が適切な対処法や医療機関の受診について、電話でアドバイスするというサービスです。利用できる時間は各都道府県で異なるため、お住まいの都道府県庁のホームページでの確認が必要です。利用時間内に電話で#8000をコールすると、都道府県の相談窓口に転送され、相談できる仕組みになっています。

 電話相談の際にも心配な気持ちが先立ってしまい、「元気がないんです!!」としかいえないこともあるかもしれません。しかし、子どもの急病の重症度を把握するためには、次のようなことについてある程度説明できると大変円滑に進みますので、覚えておくとよいでしょう。

(1)泣き方に元気があるか?
(2)親があやすと笑うか?
(3)皮膚の色は赤みがあるか?
(4)眠っている場合、呼びかけると直ぐに目が覚めるか?
(5)発熱は何度くらいで、いつからなのか?
(6)透明な尿が出るくらいに水分が摂取できているか? など

【執筆】
岩田 充永先生


名古屋掖済会病院救命救急センター 副センター長
1998年名古屋市立大学医学部卒業。名古屋掖済会病院救急科医長を兼務。医学博士、日本救急医学会救急科専門医、日本救急医学会小児救急特別委員会委員。救急医療は水や電気と同じくらい大切なライフラインです。救急医療を志す医療従事者が増えるような文化が育まれることを心から願っています。

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