大地震への備え-屋内やビル内での非難と災害用伝言サービス

日ごろからどのような行動をとったらよいか、考えておこう

まず頭を守り、火の始末よりわが身の安全確保を優先。緊急地震速報が出たら即応できるように心がまえを

どこにいてもまずは頭を守ること

 毎年いまごろになると、「来るぞ、来るぞ」と言われ続けている首都直下型地震や東海地震などの大地震。その危険性が警告され始めてから、もうずいぶん年数がたちましたから、地震のエネルギーは相当たまっているはず。今日起きてもおかしくない大地震への覚悟と備えを、このコラムを読み終わった直後から固めてはいかがでしょうか。
 揺れが来たらまずどうするか。どんな状況にあっても共通している大原則は、「頭を守る」こと。屋内でも屋外でも、手にできるもので頭を覆い、何もなければ両手でカバーを。その際、手首の動脈を傷つけないように手首は内側に向けてください。また、頭とともに足を守ることも重要です。割れたガラスなどを踏んでけがをしないように、スリッパは厚底のものに変えておきましょう。以下、屋内と屋外に分けて対処法を考えてみます。

場所ごとの対処法を知っておこう

●屋内で地震に遭遇したら
<自 宅>
 倒れそうな家具の近くは避けて、テーブルなどの下にもぐり込み、テーブルの脚をしっかりつかみましょう。ガスコンロやストーブなどの火に気づいても、揺れている最中に消しに行くのは危険です。最初の大きな揺れがおさまってからでも消火できます。
 このとき、集合住宅では玄関のドアも開けてください。次の揺れで建物全体が歪み、ドアが開かなくなるかもしれません。しかし出口が確保できたからと屋外へ飛び出すのは考えもの。看板、ビルの窓ガラス、ブロック塀、自動販売機など、危険な落下物や倒壊物がいっぱいです。

<オフィスビル>
 室内での対処法の原則は自宅の場合と同じ。高層階は大きく揺れるのでコピー機や書類ロッカー、デスクなどが突進してくるかもしれません。窓のそばは割れたガラスが飛び散ったり、外へ放り出される危険もあります。窓から離れたデスクの下などで大きな揺れをやりすごしましょう。
 エレベーター内だったらすぐに全ての階のボタンを押して、止まった階で脱出し、壁際に寄って頭を守ってください。万一、閉じ込められてしまったら、内側から脱出するのは困難です。大声を出したり、扉をたたくなどして外からの助けを求めるしかありませんが、長時間の缶詰め状態になる可能性があります。体力を消耗しないよう、乗り合わせた人たちと交代しながら外部に助けを求めましょう。

<店舗・劇場>
 太い柱の周辺や壁ぎわなどが比較的安全。柱のない劇場などでは、シートとシートの間に身を伏せ、頭を守ります。揺れがおさまった後の避難は、店内(館内)放送に耳を傾け、係員の誘導に従いましょう。あわてて出口や非常口に走り出すと、大勢の人で押し合いになって危険です。一人が身勝手な行動をとると、それが群集のパニック行動の引き金になりかねません。

●屋外で地震に遭遇したら
<ビル街・繁華街>
 落下物や倒壊物が何より危険。高いビルや古い建物からできるだけ離れてください。近代的な高層ビル街なら、近くのビルに飛び込んでしまうのも一つの策です。ただし、ビルの中でもロビーなどは落下物や倒壊物があるかもしれません。壁ぎわなども頭上の安全性を見極める必要があるでしょう。

<地下街>
 地上よりも安全とされますが、閉塞感が不安となってあわててしまうことがありそうです。停電でもすればなおさらですが、基本的にはすぐに非常灯や誘導灯が確保されるはず。地下街では何よりも冷静さが命を救うでしょう。

<車の運転中>
 運転中に地震に見舞われると、震度5では前の道路が波打つように見られてハンドルを取られ、震度6だと急にハンドルを取られて反対車線に飛び出すことがあるといわれます。こんなとき、あわてて急ブレーキを踏まず、徐々にスピードダウンして道路左側に寄せ、エンジンを切りましょう。
 徒歩で避難するなら、キーはつけたまま、ドアもロックせずにおきます。後の防災活動などで移動させる必要があるかもしれないからです。高架の高速道路にいたら倒壊の恐れがあるので、すぐに非常階段(500m~1kmおきに設置)から地上に避難すべきです。

「緊急地震速報」や「災害用伝言サービス」の利用について確認しておこう

 2007年10月に「緊急地震速報」がスタートして約2年、安全確保につながった例も数多く報告されています。緊急地震速報は、気象庁が地震の発生を素早く検知して、一般向けには震度5弱以上が予想されるときに原則1回だけ、テレビ、ラジオ、防災行政無線、施設の館内放送、携帯電話などに流す警報です。
 速報後、数秒から数十秒程度で地震の揺れが襲ってきますから、これを見聞きしたらただちにこれまでご紹介したような退避行動をとってください。考えているヒマはありませんから、日ごろから地震への対処法を意識しておくことが重要です。

 大地震の後は、一般の固定電話や携帯電話は被災地につながりにくくなります。最近は設置数がめっきり少なくなりましたが、公衆電話は通話が優先確保されるので頼りになります。携帯電話は固定電話より復旧が早いといわれますが、通話量が一気に膨らみますから通常のような通話ができるかどうかは疑問があります。ただし、メールは別回線を使うので届きやすいといわれます。
 また、便利なのはNTTによる災害用伝言ダイヤルや携帯電話各社が提供する災害用伝言板などのサービスです。伝言ダイヤルは「171」をプッシュして伝言を録音または再生し、伝言板は携帯電話のトップメニューからアクセスし、メールで伝言を打ち込みます。家族で使い方を確認しておきましょう。

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
渡辺 実先生


防災・危機管理ジャーナリスト
株式会社まちづくり計画研究所所長
国内外の自然災害被災地や大事故現場へ足を運び、報道活動をはじめ近年はとくに国民への災害・防災情報伝達の仕組みづくりに力を注ぐ。わかりやすい解説と豊富なアイデアには定評があり、防災関係者やメディア関係者からの信頼は厚い。災害・防災をテーマにしたマンガ『彼女を守る51の方法』やPSPゲームソフト『絶体絶命都市3』の監修も手掛ける。NPO法人日本災害情報サポートネットワーク理事長を務める。著書に『緊急地震速報』(角川SSC新書)、『高層難民』(新潮新書)ほか多数。
http://www.machiken.co.jp

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