ぜんそくの基礎知識-きちんと治療すれば普通に暮らせる|自己管理のコツ

快適な生活を続けるための最新の治療法やヒントがいっぱい

医師向けのガイドラインをもとに、患者自身の視点を取り入れて作った、患者さんのためのハンドブック

ぜんそくって、ほんとうはどんな病気なのか知っていますか?

 せきぐらい出ても平気、と思っていませんか? ぜんそくは、アレルギーのある人や子どもだけがかかる病気だと思っていませんか? 実は、赤ちゃんから高齢者まで、アレルギーの有無とは関係なく、だれでもいつでも、ぜんそくになる可能性があります。
 今でも年に2,000人くらいの方が、ぜんそくが原因で亡くなっています。かぜやインフルエンザなどの後にいつまでもせきが続いている人、たばこの煙などでせき込みが止まらなくなる人、夜中にせきで目が覚める人などは、一度せきの原因を調べてもらってはいかがでしょう。せきが出るからというだけでぜんそくだというわけではありませんので、きちんと検査や診断を受けた上で、治療を始めることが大切です。

最新の「ぜんそく治療ガイドライン」に基づいたぜんそくの本ができました

 この『めざせ!快適生活 成人ぜんそくハンドブック』は、日本アレルギー学会が作成した『喘息予防・管理ガイドライン2009』の内容をもとに、一般の人にわかりやすいように、医療関係者、当事者である患者および患者団体のほか、メディアや多くの人々が編集に協力し、このほど独立行政法人 環境再生保全機構から発行されました。
 最新の医療情報はもちろん、患者さんから寄せられた質問を参考にした日常生活上の注意点、専門医のアドバイスなどを盛り込み、患者視点に立った内容です。

 このハンドブックの作成にあたって目指したことは、大人も子どもも手に取っただけで「元気になれそう!」と思える、そして本当に元気になれることです。
 表紙や各章ごとのテーマカラー、たくさんのイラストや写真など、ビジュアルでも楽しめますし、全部を読まなくても、「Q&A」、「専門医からのアドバイス」、「ミニクイズ」などで簡単に知識の確認ができます。

 また、元気になるために大切なことは、最新の医療情報を得ることだけではありません。何か病気を持っていても、日常生活を家族や友人と楽しんだり、将来の夢を育んだり、やりたい仕事をしっかり続けることはできます。それぞれの人や年齢に合った、上手な病気とのつきあい方があります。他の病気があるときに気をつけたい薬の作用や、仕事や結婚はどうするのか、高齢者になったときに気をつけること、などにも触れています。
 小児ぜんそくのページも設けてあります。中学生くらいになれば理解できる内容なので、先生任せ、親任せから卒業して「自分のたった一つの大切な体は、自分で責任を持って守っていこう」という気持ちで、自分の将来のために治療や薬選びに積極的に参加してほしいと思います。

 ぜんそくは治療期間が長く、自分で生活や薬を管理することが大事な病気なので、同じ病気の人が自分と同じようなことで悩んだことがあると知ればほっとしますし、どんな生活上の工夫をして乗り切っているのかを知ることも、とても役立ちます。子どものころからぜんそくとつき合っているスピードスケートの清水宏保さんの体験談や、現在はぜんそく専門医として活躍中の医師のちょっと危なかった体験談なども、ぜひ読んでください。巻末の応援メッセージは、マラソンの谷川真理さんはじめ、いろいろな立場の人から読者への贈り物です。

 「勉強の本」と思わず、読み物として好きなところから開いてみてください。

ぜんそくは、きちんと治療すれば「普通の生活が送ることができる」病気になった

 ぜんそくは、少し前までは「急に息ができなくなる苦しい病気」でした。でも、今の治療目標には、きちんと標準治療をすることで「普通の生活が送ることができる」と書いてあり、また実際に多くの人が治療を続けながら全く普通に勉強や仕事をしています。もしときどき症状があったり、たまにでも発作を起こすことがある場合には、治療や生活を見直してみる必要があります。

 ぜんそくは、残念ながらまだ完全に治る病気ではありませんが、自分の環境から悪化の原因をなるべく遠ざけ、その日の体調を把握して早めに薬を使うなどのコツで体調管理をすることができます。あらかじめ医師と相談した上で、自分の体を上手に管理することを「自己管理」といいます。これは長期間病気とつきあう慢性の病気の患者さんには、ぜひ身につけていただきたい大事なことです。

患者さんからの声で多いのは「薬」と「自己管理」のこと

 患者さんからの声で、一番多いのは「薬はいつまで使うの?」という質問です。症状が治まったらなるべく早く薬をやめたい、という思いはだれにもあるのでしょう。しかし、この薬は何のために使っているのか、ということをきちんと考えてみましょう。熱を下げる薬なら「熱が下がったら」、痛みをとる薬なら「痛みが消えたら」もう使う必要はありませんね。ぜんそくの薬はどうなのでしょうか?

 ぜんそくの治療には、大きく分けて2種類の働きの異なる薬を使います。一つは「苦しくなったときに使う」発作治療薬(狭くなった気管支をすばやく拡げる気管支拡張薬)。もう一つは「発作や悪化の原因になっている体の中の状態を少しずつ整えて治していく」長期管理薬(気管支の炎症を抑えるために吸入ステロイド薬を使う場合が多い)。
 自分ではすっかり良くなったと思っていても、まだ気管支に炎症が残っていて、外からの刺激に過敏に反応する状態が続いているときに長期管理薬をやめてしまうと、また症状が出てきてしまうかもしれません。そしてそういう治りきらない状態から何度も悪化することをくり返すと、病気が重くなってしまうことがあるようなのです。この薬は「症状が出なくなったら、すぐやめたほうがよい」薬でしょうか? それとも?

 もう一つ、ぜんそくの自己管理に役立つ「ピークフロー測定と日記」が面倒だという声もよく聞こえてきます。ピークフロー測定とは、ピークフローメーターという簡単な計測器具を使って呼気の最大量を測ることです。測定値でそのときの気道の状態を知ることができます。使った薬や測定値を日記に続けて記録しておくと、どんなときに下がるのか、どうやったらうまく調子を立て直せるのかなどがわかってきます。

 これは自分の病気のためにどう役に立つのでしょう。例えば、自分でもなかなか憶えていられない1カ月くらいの間の体調の変化やそのときの薬の使い方を、さっと目を通すだけで医師が把握し、アドバイスしてもらえる便利なツールだと考えれば、測定や日記を続ける意欲が湧くかもしれません。携帯電話やパソコンなどを利用する日記もあります(例:http://my-asthma.children.jp/で一般公開中)。

無料で配布していますので、いろいろなところで役立ててください

 このハンドブックは送料とも無料で配布しています。自分の病気をよく知ってもっと元気になるために、病気のご家族やお友だちのために、家族がいっしょに勉強するために、職場や学校で病気のことを周囲の人に知ってもらい理解してもらうために、病院で医師と患者のコミュニケーションツールとして、病院図書館で、医療の学生さんに、薬局での説明用に……など、いろいろなところでお役立てください。

【問い合わせ・申し込み先】
(独)環境再生保全機構>ぜんそくなどの情報館>サービス>パンフレット・DVD
(http://www.erca.go.jp/asthma2/pamphlet/index.php)(「配布・貸出し資料 患者さん向け 気管支ぜん息」から選択して注文)、TEL 044-520-9568
・『めざせ!快適生活 成人ぜんそくハンドブック』編集部 FAX 03-6427-7453


(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
矢内 純子さん


NPO法人 環境汚染等から呼吸器病患者を守る会(エパレク)理事
2003年NPO法人 エパレクに発足時から参加、08年~10年6月まで事務局長、現在理事(広報担当)。EP(熟練患者)として、月一回の「学習会」や電話などで後輩患者の相談相手を務めるほか、(独)環境再生保全機構発行の冊子「HOW TO STUDY ぜんそく」制作、患者と専門家がラウンドテーブルを囲む「大相談会」開催などに携わる。自分のぜんそく経験から、患者自身が自分の病気についての情報を得ることや、医療について人任せにせず「自分で自分の身体を守る」意識をしっかり持つことが大切だと思っている。

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