咀嚼(そしゃく)ダイエット

よく噛むことは健康にいい

 もっとも身近なダイエット法であり、健康法である咀嚼(そしゃく:よく噛むこと)をほとんどの人が意識していないのは不思議なことです。それは息を吸うくらいに咀嚼が当たり前に行われているものだからです。噛むことを意識するのは虫歯のせいでものを食べると痛いときくらいのものです。

 さて、そんな身近な「噛むこと」ですが、これが実はダイエットや健康に非常にいいのです。そしてそれを知らない人は損をしますよ。

早食いは太り体質を作る

 ほとんど常識かもしれませんが、早食いとゆっくり食べるのとでは、早食いのほうが太りやすいのはもちろんご存じではないでしょうか。この理由は満腹感の現れる時間差によるものです。つまり、早く食べると満腹感が現れる前にたくさんの量を食べてしまうので過食気味になるのです。

 さて、満腹感が現れる仕組みは想像以上に複雑で、現在の医学の進歩をもってしても、すべてが解明されているわけではありません。自律神経、消化酵素、ブドウ糖の血中濃度、腸管からのホルモン、満腹中枢の作用などが複雑に絡み合っています。お腹がすいているときに水をがぶ飲みしても空腹感がおさまらないことからも、満腹感は単に胃袋にモノが詰まっているから出現するものではないということがわかるはずです。満腹になると私たちは「もうこれ以上食べられない」という感情が起こりますが、それは胃袋がいっぱいになっているから食べられないのではなく、食欲がゼロになるから食べられなくなるという概念を持つ必要があります。つまり、食欲がゼロにならなければ、胃袋にモノがいっぱいであっても、いくらでも無限に食べることができるわけです。

 ちなみに動物実験で、満腹中枢(満腹を感知する部分)を人工的に破壊してやると、その動物はいくらエサを食べても満腹感を得られなくなりますから、死ぬまで食べ続けるという現象が起こります。これらからわかることは、食欲を抑えてあげるためには「いかに満腹感を覚えさせるか?」というところにそのカギがあるということです。

 早食いはこのダイエットに重要な満腹感を得られにくくしてしまうわけです。

甘いもので満腹感が得られるか?

 何度もいいますが、満腹感を得る仕組みは複雑で、血糖値が上がればそれだけで満腹になるというようなものでもありません。だから、空腹のときにチョコレートや缶ジュースなど、血液の糖分をすみやかに上げてくれるモノを食べても、一時しのぎにしかならないのです。ちなみに、このような甘いものをとると、血糖値が急激に上昇し、それに反応してインシュリンというホルモンが膵臓から多量に分泌されます。インシュリンは血糖値を下げるので、結果的にかえって血糖値を下げ過ぎてしまう場合があります。「リバウンド」というやつです。だから甘いものは本当の一時しのぎにしかならないわけです。チョコレート、キャンディなどは消化管が活動する必要がなく、すみやかに糖分が吸収されてしまうので、短期間なら血糖値があがり、力がみなぎったような気になりますが、その短時間が終わるとインシュリンのリバウンド作用で、かえってイライラが起こったりします。だから消化吸収がよすぎる食べ物は、からだにとって生理的ではなく、薬のような作用になってしまうと考えるべきです。砂糖も江戸時代は薬として処方されていたくらいですから。

 もともと人間の体は噛み潰さなければならないようなモノを食べて、必死に消化して満腹感が出るように作られています。消化の必要がほとんどないものを食べると、大なり小なり体に何らかの悪影響が出る可能性があります。

野菜ではなかなか満腹感が現れない

 野菜には糖分があまり含まれていません。ですから、野菜サラダだけを食べていてもなかなか満腹にならず、結構どんどん食べてしまえるものです。おかげでドレッシング太りというような現象すら言われることもありますね。でも、実は野菜にも意外と炭水化物(糖分)が含まれているのです。しかし、よく噛まずにそのまますばやく食べると、野菜に含まれる糖分が吸収されるまでに時間がかかります。つまり満腹感が出にくいわけですからモリモリ食べてしまえます。

 野菜をよく噛んでたべると、意外に甘く感じるのがわかるはずです。これは口の中で消化活動が行われたことを意味します。当然、糖分はすみやかに吸収され、満腹感を早く味わうことができるようになります。だから野菜ですら、よく噛めば満腹感を味わうことができるのです。


早食いすると満腹感が現れる前にたくさんの量を食べてしまうので過食気味になるのです。


一口最低何回噛むといい?

 さて、みなさんは一口のご飯を何回くらい噛んでいますか? ここではダイエットに効果があるレベルまで噛むことを推奨したいのですが、実は案外たいへんなのです。たとえば、一口のご飯を噛む場合、充分に噛むというのはご飯が甘く感じられるまで噛まなければならないということです。ご飯はでんぷん質が多く含まれていますが、でんぷんは唾液のアミラーゼの作用で麦芽糖に分解されます。この麦芽糖が甘さとして感じられるわけです。この麦芽糖の甘さを感じる=口が消化器として充分成り立つ、ことになるので、噛む回数の目標は麦芽糖にまで分解するレベル! です。

 では一口何回噛むといいのでしょう? ずばり「200回」です。1秒に2回噛むとしても所要時間は1分40秒。つまり、一口1〜2分かけてご飯をたべるように心がければいいのです。するとご飯茶碗1杯分を食べるのに20分から30分かかる計算になります。もちろん、おかずがあればさらに時間がかかるので、一食に30分から1時間かけて噛み続けるといいわけです。あなたにはできますか?

 もし実行できるなら、どんなにお腹がすいていても、たったご飯茶碗1杯分食べるだけで充分な満腹感を得られることでしょう。これが咀嚼ダイエットの奥義です。

 ちなみに一般的に私たちは普段ご飯一口を20〜30回噛んでいます。これよりも少ない人は早食いです。過食に注意してください。まあ、全員が一口200回は難しいでしょうから、まずは一口最低100回噛みからトライすることをおすすめします。 たとえ100回でも継続することができれば確実に美容と健康を獲得できるはずです。

意外な噛むことの効果

 この噛むという単純作業では脳にも刺激が加わります。眠いときもよく噛んでいれば目がさえるものです。痴呆症にもよいと言われています。ですから、噛むことは頭をよくしたり、意欲を高めるために有効です。もちろん、ダイエット意欲も高まるでしょう。

 また、唾液には殺菌効果、除菌効果があります。唾液にはペルオキシダーゼ、リゾチーム、ラクトフェリン、分泌型抗体などの抗菌物質が含まれているため、大量に分泌された唾液は、口腔内はもちろん、食道や胃内の細菌や真菌の繁殖さえ抑えることができます。ですから、消化管の調子がよくなり、口臭の予防にもなります。もちろん歯垢もつきにくくなり、虫歯予防にもなります。さらに、唾液に含まれる微量因子が胃腸だけでなく、皮膚の細胞の増殖因子や神経の発育促進などにも作用があるともいわれています。

 唾液はこのように殺菌作用や胃腸やその他の臓器にも保護作用があります。だからこんなに美容によいものはないというくらいにいろんな恩恵を与えてくれるわけです。

原始時代、人はもっとよく噛んでいた

 なぜ原始時代の話をするかというと、人間の体の仕組みは原始時代にその遺伝子が完成し、今もその原始時代の遺伝子をそのまま受け継いでいるからです。つまり、人間は固いものをすりつぶすように歯が発達し、そして食べ物をよく噛み、よく唾液を分泌させていたはずなのです。その頃は今ほど清潔な状態をキープできなかったでしょうから、唾液の殺菌作用がとても重宝されていたに違いありません。

 ところが現代は、ジュースなどの飲み物、とろけるようなデザート、やわらかいお肉、炊き立てのふんわりご飯など、強く噛む必要がないものばかりです。その中で私たちは噛むことを忘れ、唾液の恩恵に触れることができなくなってきているようです。しかし、私たちの遺伝子は原始時代のままであり、本来よく噛むことで体調が整うように作られています。だとすれば、食べ物のほとんどすべてがやわらかくなってしまった今こそ、よく噛むことを意識しなければならないのではないでしょうか。そして噛むことを意識しなくなった私たちに、肥満という天罰が降ってきたのかもしれません。

 ダイエットに限らず、健康のために、よく噛むことをはじめてはいかがでしょうか。


よく噛むことがダイエットに効果を表します。まずは一口最低100回噛みからトライすることをおすすめします。


コミック画像

一食に30分から1時間かけて噛み続けるのが理想的。あなたにはできますか?
マンガ・野村ポレポレ



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