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これまで食品に“効果”を表示していいのは、お茶などの「特定保健用食品(トクホ)」と、ビタミン剤などの「栄養機能食品」の2種類だけでした。でも2015年4月から、「機能性表示食品」という新ジャンルが登場。

この第3のカテゴリーである“効く食品”とは、どのようなものなのでしょう。専門家に聞きました。

新たな“効く食品”の登場で、スーパーの棚が様変わり!

「もう少ししたら、スーパーの棚からテレビCMまで様変わりしますよ」と言うのは、食品コンサルタントの武田猛さん。

体にいい食品を選ぶ目安として、私たちはこれまでの「特定保健用食品(トクホ)」、「栄養機能食品」に加えて、「機能性表示食品」という第3の選択肢を手に入れることになります。新しい表示制度の導入は2015年4月から始まりますが、実際に商品が店頭に並ぶのは、早くて6月とも。

数多くの食品の臨床試験を行った経験から、食品成分の効能に詳しい小森美加さんは、こう話します。

「新制度では、生鮮食品についても効能表示を認める予定です。ですから『心臓の健康維持に役立つ』とか『脳の働きをサポートする』という表示つきのトマトやマグロがスーパーに並ぶ可能性もあるんですよ」

第三のカテゴリーである“効く食品”の登場は、私たちにどんなメリットが?

「いちばんは、機能性食品がどこにどう効くのか、わかりやすくなることです。例えばブルーベリーのサプリでは、これまで『パソコンをよく使う方に』という容器の文言や、目を押さえる人の写真から『何となく目によさそうだな……』と想像を働かせるしかありませんでした。薬事法では「どこに効く」と具体的に体の部位を表示してはいけなかったからです。でも新しく認められる表示では、『”目“の健康維持に』といった表現ができるため、どこに作用するのか、はっきりわかるようになります」(小森さん)

“効く食品”では、目や関節などの部位の他、免疫・血流・自律神経といった生理機能に関わる表示も可能に。また、疲れ・ストレス・睡眠不足など「自分で自覚できる一時的な不調」であれば「○○を軽減するのを助ける」という表示もできます。

新表示登場のウラにはこんな理由がある!

そもそも何のために新しい制度が導入されるのでしょうか。

食品メーカーにとってこの新制度は、トクホの認可を受けるよりも手続きが簡単。費用も安くすみ、表示できる表現の幅も広いことから、こぞって“効く食品(機能性表示食品)”を発売する方向へ動くと考えられます。

「機能性表示食品は、表示の内容に『エビデンス(科学的根拠)がある』と認められるデータをメーカーが消費者庁に届け出る必要があり、それに求められるレベルは、決して低くはありません。日本には今、玉石混交の健康食品があふれていますが、今回の新表示の導入で、品質や効果が疑わしいもの、誇大広告をしているものが消えていくことが期待されています」(武田さん)

さらには、こんな政府の思惑も。

「実は今、日本の食品は安全で効果があるということで、アジアや東ヨーロッパなどでもたいへんな人気があります。そのうえ、『日本国内で認められた機能性表示がついています』ということになれば、輸出に有利に働くでしょう」(小森さん)

また、 “効く食品”の登場で、多くの人が「食事」と「健康」をこれまで以上に結びつけて考え、自らの健康管理に積極的になることが予想されます。

「政府は『自分の健康は自分で守る』意識が国民に芽生えることを期待しています。その裏にはふくれ上がる医療費を削減したいという思惑もあるでしょうね」(小森さん)

“効く食品”の注意するべきポイント

新制度には気をつけたい点も。いくら効能が書いてあるからといって食品は食品。病気の治療や予防に利用しようと、医薬品のような役割を期待するのは危険です。

「例えば関節が痛いのに、病院に行かず『関節の機能を助ける』と書かれた食品を食べて安心したりしてはいけません。新制度でも、食品はあくまで『健康維持』のためのものという考え。予防や治療ができるとうたってはいけないことになっています」(武田さん)

今後、続々登場することが予想される“効く食品”。どのようにつき合っていけばよいのでしょう。

「商品そのものに記載される情報はごくわずか。具体的な作用や安全性などは消費者庁と各メーカーのホームページに掲載されます。商品に記載される効能は信頼できると言えますが、先ほどの例のように過度な期待を抱かないためにも、公開情報をよく理解すること。今後は、その情報を読み解く力も必要になってくるでしょう」(武田さん)

【お話を伺った方】
武田猛(たけだ・たけし)さん
食品コンサルティング会社であるグローバルニュートリショングループ代表取締役。健康・機能性食品のエキスパートとして、国内外で多数のビジネスコンサルティングを行っている。

小森美加(こもり・よしか)さん
食品臨床試験受託会社であるケイ・エス・オー代表取締役。食品メーカー等から依頼を受け、トクホや一般食品などのヒト臨床試験を数多く行っている。日本臨床栄養協会評議員。

※本記事は、消費者庁による正式な機能性表示ガイドライン発表前の取材(2015年2月27日時点)に基づいて作成しています。正式なガイドラインとは一部異なる情報が含まれている可能性があります。