無症候性心筋虚血とはどんな病気か

 狭心症(きょうしんしょう)心筋梗塞(しんきんこうそく)は、発作的に、胸の痛みなどの症状を起こす病気です。しかし、心筋梗塞(しんきんこうそく)のなかに症状を伴わないものがあることは古くから知られています。安定型の狭心症でも心筋の血流不足(虚血)の75%は無症候であり、内服薬で自覚症状がなくなっても、約40%の狭心症例ではなお虚血が発生していることがわかっています。
 このように、心臓の冠動脈が狭窄・閉塞して虚血状態にあっても症状がない病態を無症候性心筋虚血といいます。

原因は何か

 虚血がありながら無症候である原因としては、個人によって痛覚の閾値(いきち)が異なること、エンドルフィンという鎮痛作用などで知られる脳内物質の血中濃度が異なることなどが考えられています。

病型

 3つのタイプに分類されます。
 I型は、まったく無症候で、検診などでたまたま見つかる場合です。この型の頻度は、対象となる集団によって大きく異なりますが、米国の報告では2・5〜4・5%くらいとされています。疫学調査で、この集団の長期予後は虚血のない集団に比べて劣ることが示されています。
 II型は、心筋梗塞後で無症状ながら検査で虚血が証明される場合です。梗塞後の30〜40%の症例で認められます。症状のある場合と同等のリスクがあります。
 III型は慢性の狭心症で、症状がある時とない時がある症例です。このような症例の頻度は高く70〜90%といわれています。

検査と診断

 I型では、主に健康診断などの運動負荷試験で検出されます。また、II型やIII型でも診断法として運動負荷試験とホルター心電図が汎用されますが、虚血を特異的に検出する方法として心筋シンチグラムを併用することが有用です。虚血が明らかになった場合、冠動脈造影で確認します。

治療の方法

 無症候性心筋虚血を対象としたいくつかの臨床試験によって、ベータブロッカー(β遮断(ベータしゃだん)薬)によって虚血を軽減し、予後を改善することが示されています。冠動脈のけいれんが関与していると考えられる場合は、カルシウム拮抗薬の服用を考えます。いずれの場合も抗血小板剤を併用します。
 ニトログリセリンなどの硝酸薬は、症状がある時に使用されることが多いですが、無症候性虚血に対しても有効であるとの報告があります。