転移性肺がんとはどんな病気か

 他の臓器から肺に転移して病巣を作ったがんを転移性肺がんと呼びます。転移性肺がんは、肺に病巣があるというだけで、がんとしての生物学的特徴は原発性肺がんとは異なり、もともとがんが発生した臓器の特徴を受けついでいます。
 肺は転移が多い臓器で、肺以外で発生したがんの30〜50%が肺に転移しているといわれています。肺に転移が多い理由は、肺という臓器の役割と構造に大きく関わっています。
 全身の血液は肺にもどり酸素化されます。効率よく酸素化するために、肺はスポンジ状の網目構造となっています。ガス交換が効率よく進む仕組みです。同じように、がん細胞もこの血流に乗って肺に届きやすく、細かい網目構造の部位に容易にとどまり、転移に伴う病巣を形作ります。

種類

 あらゆるがんは、肺に転移する可能性があります。ただし、転移性肺がんとして頻度が多いものは、乳(にゅう)がん、耳鼻科領域のがん、肺(はい)がん腎(じん)がん食道(しょくどう)がん胃(い)がん大腸(だいちょう)がん、子宮(しきゅう)がん、精巣腫瘍(せいそうしゅよう)、骨肉腫(こつにくしゅ)などです。原発性肺がんでも、いったん血液の流れに乗って全身を循環したあとに肺に転移した病巣は、転移性肺がんとされます。

症状の現れ方

 転移性肺がんは通常、あまり症状がありません。サイズが大きくなったり、気管支を圧迫すると咳や呼吸困難が出ることがあります。

治療の方法

 治療は、原発性がんの性質や薬の感受性で大きく異なります。原則としては、抗がん薬が用いられますが、原発がんに有効とされる薬を使用します。また、症状を緩和する目的で放射線治療が行われます。乳がん前立腺がんなどの転移性肺がんでは、ホルモン療法が有効なことがあります。
 以下の条件が揃った場合には手術を行うことがあります。(1)原発巣のがんが治っている、(2)肺だけに転移がある、(3)全身状態がよい、(4)片方だけの肺に転移がある。