鵞足炎(鵞足滑液包炎)とはどんな病気か

図41 腸脛靱帯炎・鵞足炎の発生の仕組み
  • 半腱様筋腱(はんけんようきんけん)、薄筋腱(はっきんけん)、縫工筋腱(ほうこうきんけん)は脛骨(けいこつ)の近位内側にまとまって付着・停止しています(図41)。
  • この3つの腱を総称して鵞足と呼び、この部分に起こる炎症を鵞足炎といいます。
  • 鵞足は内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)の表層にあり、膝の屈伸運動に伴って側副靭帯との摩擦により痛みを生じる可能性があり、またハムストリングスの一部である半腱様筋腱と薄筋腱の緊張が強いと膝関節痛の原因になるとされています。
  • いわゆる機械的ストレスによる使いすぎ(オーバーユース)症候群とされています。

見落としやすい障害と合併損傷

  • 脛骨近位部の疲労骨折は、症状的には鑑別が困難ですが、MRI検査で容易に鑑別がつきます。
  • 内側側副靭帯炎も鑑別困難ですが、この病気は水泳選手に多いことや膝関節外反ストレステストで疼痛を認めることで本症と鑑別できます。
  • 脛骨の骨軟骨腫(外骨種)に本症が伴う場合には、鵞足部の引っかかりと外骨種による骨性の隆起を認めます。

鵞足炎(鵞足滑液包炎)の症状の現れ方

  • ランニング・ジャンプ・ステップ動作などに伴って、脛骨近位内側部に痛みが生じるようになります。
  • 通常は運動後に発症することが多く、徐々に進行して歩行や階段昇降に伴っての痛みが現れます。
  • 普段、スポーツをしていない人が急にランニングなどのスポーツを始めた場合やX脚、回内足などの下肢アライメント(骨や関節の並び方)の異常を伴う場合、骨端線閉鎖前の筋緊張の強い時期などに症状が強く出やすいとされています。
  • 鵞足の緊張が強い場合は、膝関節の完全伸展が困難となります。

鵞足炎(鵞足滑液包炎)の検査と診断

  • 本症は、鵞足部の自発痛と、膝関節屈伸に伴っての運動痛を認め、圧痛(押すと痛むこと)の位置が鵞足の動きに合わせて移動します。
  • 内側ハムストリングスのストレッチや、下腿外旋位での下肢挙上試験(SLRテスト)で鵞足に沿った痛みの訴えが確認できると診断できます。
  • 通常、単純X線像には異常を認めません。

鵞足炎(鵞足滑液包炎)の治療方法

  • 基本的にはアイシングとテーピングで練習は続けてもよいのですが、強い疼痛が出たらスポーツの中止を考えます。
  • 比較的短期間の安静で症状は軽快しますが、再燃のリスクが高いので、安静期間は長めにとることが必要です。
  • 装具治療としては足底板が有効です。
  • 本症が脛骨の外骨種に伴う場合には、外骨種の切除が行われます。
  • ステロイド薬の局所注射の効果はありますが、スポーツ選手の場合はドーピング陽性や腱の断裂を生じやすいのですすめられません。

予防対策はどうするか

  • 膝屈筋群(ハムストリングス)、股関節内転筋群のストレッチが有効です。
  • ステップ動作で膝関節が内側を向き、足先が外側を向く動作(ニーイン・トーアウト)を避ける練習も効果があります。
  • 本症の発症後は、トレーニングメニューの変更やオーバートレーニングの防止が望まれます。

関連項目

腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)