静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症)<運動器系の病気(外傷を含む)>の症状の現れ方

 下肢の静脈に血栓ができて血管が完全に詰まってしまうと、血液が流れなくなり、血液がたまって下肢がはれます。このような状態が長期間続くと、皮膚に潰瘍(かいよう)ができることもあります。このような場合は循環器科を受診してください。
 血栓ができても一部が血管の壁にくっついているだけで、血管が完全に詰まらなければ、下肢のはれなどの症状は起こりません。このタイプの深部静脈血栓症は、血栓が何らかの原因で血管の壁からはがれて血流にのり、肺動脈に詰まって肺血栓塞栓症を起こすまで症状がないので、気づかないことが多く危険です。
 肺血栓塞栓症は、肺動脈の狭い範囲に起これば症状はありません。少し範囲が広くなると、胸の痛みや苦しさが出て、時には咳(せき)や血の痰(たん)が出たりします。
 大きな血栓が肺動脈の本管に詰まると心臓停止と同じような症状が起こり、詰まった範囲が広い場合には死亡する可能性があります。死亡するような肺血栓塞栓症は、起こってから治療することはできないので、予防を心がける必要があります。

静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症)<運動器系の病気(外傷を含む)>の診断と治療の方法

 肺血栓塞栓症の治療は、血液を固まりにくくする薬剤(抗凝固薬)と、血栓を溶かす薬剤(血栓溶解薬)を投与することです。薬剤の投与によって出血が止められなくなる危険性があるのですが、救命のためにリスクを冒して治療を行います。
 深部静脈血栓症と診断された場合には、抗凝固薬の投与を行います。
 深部静脈血栓症があるとわかっている人に緊急手術を行わなければならない場合には、下肢の血栓が肺動脈まで流れていかないように腹部の静脈内にフィルター(下大静脈フィルター)を置く場合があります。このフィルターで下肢の血栓が肺動脈に流れるのを防止できますが、フィルターの部分に新たな血栓ができる可能性があり、利点と欠点を考えて判断します。