脳腫瘍とはどんな病気か

 小児悪性腫瘍のなかで、脳腫瘍は白血病(はっけつびょう)に次いで多くみられます。発育・発達期にある小児の中枢神経系に発生した脳腫瘍は、成人のものとは異なる特徴があります。脳腫瘍の種類では髄芽細胞腫(ずいがさいぼうしゅ)、星細胞腫(せいさいぼうしゅ)、脳室上衣腫(のうしつじょういしゅ)、頭蓋咽頭腫(ずがいいんとうしゅ)が多くみられます。
 発生部位では、成人に比べて脳の中心部に発生するものが多く、テント下、すなわち後頭蓋窩(こうとうがいか)に多くみられます。しかし、1歳以下ではテント上、1〜10歳まではテント下、10歳を過ぎると再びテント上が多くなり、年齢によって好発部位が異なります。これは年齢によって発生しやすい脳腫瘍の種類が異なるためです。
 治療法の進歩によって良好な予後の期待できる脳腫瘍もありますが、悪性度の高い脳腫瘍や発生部位によっては予後不良の脳腫瘍も多くみられます。

原因は何か

 発生原因はほとんど不明です。しかし一部、遺伝性・家族発生のみられる脳腫瘍があり、神経線維腫症(しんけいせんいしゅしょう)(NF2)では聴神経腫瘍(ちょうしんけいしゅよう)や髄膜腫(ずいまくしゅ)が発生しやすいことが知られています。

症状の現れ方

 症状は、脳腫瘍の脳内での発生部位、脳腫瘍の種類、年齢などにより異なってきます。脳腫瘍が大きくなると意識障害、けいれん、性格変化、頭蓋内圧亢進(ずがいないあつこうしん)症状(頭痛、嘔吐、うっ血乳頭)、局所症状(片麻痺(かたまひ)、視野欠損、失語(しつご))がみられます。しかし、1歳半以下の乳幼児では頭蓋縫合(ずがいほうごう)が閉鎖していないため、頭蓋内圧亢進症状が縫合離開(りかい)や頭囲拡大により代償されて現れにくいこともあります。

検査と診断

 画像診断が中心となります。頭部CT検査、頭部MRI検査では、脳腫瘍が脳内のどの部位に存在するかの局在診断が可能となり、また脳腫瘍には種類によってそれぞれの好発部位がみられることから、診断に役立ちます。石灰化像・嚢胞(のうほう)形成像、造影効果の有無なども診断の参考となります。
 脳血管造影は、脳血管と腫瘍との関係や腫瘍血管を把握するのに有用で、手術を検討するために必要となります。

治療の方法

 治療は脳腫瘍の種類、脳内での発生部位、年齢によって異なります。(1)外科的手術、(2)放射線治療、(3)化学療法が行われますが、場合によってはそれぞれを組み合わせた集約的治療が行われます。
(1)外科的手術
 腫瘍全摘出術が望まれますが、腫瘍の存在部位によっては困難であることも少なくありません。また閉塞性水頭症(へいそくせいすいとうしょう)が合併していることもあり、症状軽減のために脳室シャント術も行われます。
(2)放射線治療
 脳腫瘍の種類によっては効果のある場合があり、他の治療と組み合わせて行われます。副反応として、放射線によって脳腫瘍以外の正常神経細胞の障害を来すこともあります。
(3)化学療法
 いくつかの化学療法薬を組み合わせて行われます。