その他の小児の心身症<子どもの病気>の症状の現れ方

 いくつかの病気をあげて説明します。

(1)トリコチロマニア
 故意に自分の髪の毛を抜いてしまうものです。小・中学生の女児に多い病気で、人前よりも自室などに一人でいる時に抜くことが多いようです。円形脱毛症(えんけいだつもうしょう)との区別は、髪の抜けた部位の皮膚を見ればできます。

(2)心因性発熱(しんいんせいはつねつ)
 体の病気がないのにもかかわらず発熱するものです。普通は38℃程度までの微熱のことが多いのですが、39℃台の発熱をみることもあります。熱が高いのにほかの症状がないことや、本人は案外平気でいるなどの特徴があります。不登校やその他の不適応状態と合併して現れるのが一般的です。

(3)過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)
 小腸や大腸に対するさまざまな検査をしても臓器の異常はまったく認められないのに、便通異常(下痢と便秘を繰り返すことが主なものですが、頻回の便意や残便感も特徴的です)と腹部の症状(腹痛、腹部の膨満感(ぼうまんかん)、おなかが鳴る)を示す症候群です。症状がひどくなるとともに不安、緊張、抑うつ気分が高まり、その結果、街なかや学校などの公共の場に出られなくなることもあります。

(4)起立性調節障害(きりつせいちょうせつしょうがい)
 横になっている、あるいは座っている状態に比べて、立っている状態では血圧が下がるために、立ちくらみ、浮遊感、めまい、吐き気などを訴えるものです。不登校に伴う症状として、朝の起床後に症状が強く現れることもあります。

(5)心因性視力障害(しんいんせいしりょくしょうがい)
 心理的な原因で視力が落ちたり、視野(見える範囲)が狭くなったりするものです。他の心身症と比較して本人の訴えは強くない場合が多く、学校の集団検診などで指摘されて気づくことが多いものです。視力の低下の場合は検査のたびに視力が違っていることや、視野欠損の場合は欠損のしかたが神経学的に説明がつかないなどの点で診断ができます。

その他の小児の心身症<子どもの病気>の診断と治療の方法

 トリコチロマニアは、抜毛の程度を本人の心理的な状態の目安と考え、保存的・支持的に経過を観察します。母親との関係に何らかの問題があることが多いため、その調整を行うこともあります。
 心因性発熱と起立性調節障害は、不登校や不適応状態に伴う症状として現れることが多いため、子どもに現れているすべての症状と心理的な状態を総合して判断し、治療を行います。
 過敏性腸症候群は、本人の性格傾向も大きく関係しているため、症状の背景をよく説明し、消化器障害に対する薬物療法を並行しながら治療を行います。