肝腫瘍とはどんな病気か

 肝臓に発生する腫瘍です。原発性のものと転移性のものがあり、原発性のものは肝芽腫(かんがしゅ)や肝細胞(かんさいぼう)がんのように悪性のものと、血管腫(けっかんしゅ)、過誤腫(かごしゅ)、嚢腫(のうしゅ)などの比較的良性のものがあります。
 5歳未満の原発性肝悪性腫瘍(げんぱつせいかんあくせいしゅよう)のほとんどは肝芽腫で、小児の悪性腫瘍の約2%を占めます。

原因は何か

 肝芽腫は、1歳をピークに乳幼児に発症する病気で、胎生(たいせい)早期の未熟な肝細胞から発生します。原因には、がん細胞の成長を抑制するがん抑制遺伝子の異常や、そこに結合する蛋白質の異常などとの関連が示唆されています。
 成人型の肝細胞がんは、成熟した肝細胞ががん化したもので、10歳前後の年長児に多く発症します。

症状の現れ方

 肝芽腫は乳幼児に多いことから、症状を訴えることはまれで、腹部腫瘤(しゅりゅう)で気づく場合が少なくありません。腫瘤は、肝臓に一致した部位に表面凹凸の硬いしこりとして触れます。
 進行すると発育不全や栄養障害、体重増加不良などを認めます。哺乳力の低下、不機嫌、発熱などの症状が続く場合は注意します。転移病巣における四肢の痛み、リンパ節の腫脹(しゅちょう)、貧血などの症状が出現することもあります。

検査と診断

 肝芽腫および肝細胞がんのいずれも、血液検査でα(アルファ)‐フェトプロテイン(AFP)が高値を示します。
 画像診断では超音波、CT、MRIなどの検査が有用で、腫瘍の大きさや浸潤(しんじゅん)の程度を評価します。さらに血管造影検査を行い、腫瘍に栄養を運ぶ血管を確認します。これは、手術を行ううえでも必須の検査です。
 区別すべき病気には、神経芽細胞腫(しんけいがさいぼうしゅ)、腎芽細胞腫(じんがさいぼうしゅ)(ウィルムス腫瘍)などの側腹部から上腹部にかけてはれてくる腫瘍があります。また、胆道拡張症(たんどうかくちょうしょう)、水腎症(すいじんしょう)、肝腫大を伴う代謝性疾患などとの区別も必要です。超音波検査などを行い、原発部位が確認できれば区別が可能ですが、肝芽腫と肝細胞がんの区別には組織学的評価が必要です。

治療の方法

 原発性悪性肝腫瘍は、可能なかぎり手術で切除し、その後、抗がん薬を用いた化学療法を行います。切除不能な場合は、まず化学療法を行って腫瘍を小さくしたあと、手術を行う場合もあります。肝芽腫の大多数は、化学療法に対する感受性があるので、適切な化学療法を行って再発を予防していくことが大切です。

肝腫瘍に気づいたらどうする

 腹部腫瘤が疑われたら、小児科医に相談してください。手術後は、定期的なAFPの測定や超音波検査を受ける必要があります。