乳糖不耐症とはどんな病気か

 乳糖(ラクトース)はガラクトースとブドウ糖(グルコース)が結合した2糖類で、母乳や牛乳などに含まれる栄養素です。口から摂取された乳糖は小腸粘膜に存在する乳糖分解酵素(ラクターゼ)によって分解されて小腸粘膜より吸収されます。乳糖不耐症では、この乳糖分解酵素が生まれつき欠損したり、少量しか産生されないために、酵素活性が低く、小腸での乳糖の分解がうまくいかずに不消化の状態で腸内に残ります。
 分解されなかった乳糖は大腸のなかで腸内細菌によって発酵し、脂肪酸と炭酸ガスおよび水になります。発生した炭酸ガスや脂肪酸は腸を刺激して自発運動(蠕動(ぜんどう))を亢進させます。また、不消化の食物残渣(ざんさ)により大腸のなかの浸透圧が高くなるので、腸管の粘膜を通して体のなかから水分が腸管のなかに移動し、下痢を引き起こします。

原因は何か

 遺伝的に乳糖分解酵素をもたない場合を先天性乳糖不耐症といいます。乳糖分解酵素は小腸粘膜の先端部位にあるため、小腸粘膜が傷害される多くの病気で二次的に酵素活性が低下します。これを後天性(二次性)乳糖不耐症といいます。乳児ではウイルスや細菌による腸炎のあとで腸粘膜が傷害されて、酵素活性が低下することがよくあります。小腸を休ませて粘膜が回復すれば、また乳糖を分解することができるようになります。
 ミルクが主食の乳児期には乳糖分解酵素は十分に作られますが、成長するにしたがって特別な病気がなくても、次第に乳糖分解酵素活性が低下します。日本人では大人の約40%で乳糖分解酵素活性が低いといわれています。これはミルクを多く摂取する食習慣をもたなかったためと推測されますが、このような状況で大量の乳製品を摂取するとおなかの調子が悪くなります。

症状の現れ方

 乳糖を多く含む乳製品を摂取するとおなかが痛くなり、蠕動が亢進して、酸っぱいにおいのするガス成分に富んだ水様の下痢をします。赤ちゃんでは、ウイルス感染による腸炎に合併して症状が出現することが多いようです。

検査と診断

 乳糖をのませて血糖が上がらず、便中に糖が排泄されることで診断します。腸粘膜を採取して酵素の活性を調べると確実ですが、乳児などで二次性の乳糖不耐症が疑われる場合は経過や病歴、乳糖除去ミルクの使用で症状が改善するかどうかで判断できます。

治療の方法

 乳糖を含む食物を除去・制限します。乳製品でもあらかじめ乳糖を分解してある食品は摂取可能です。乳児に対しては乳糖を含まない特殊なミルクを使用します(ラクトレス、ボンラクトなど)。感染に伴い一過性に生じる二次性乳糖不耐症の場合は、乳糖分解酵素を薬として補充する方法もあります。