横隔膜ヘルニア<子どもの病気>の症状の現れ方

 症状の程度は発症の時期により異なります。多くの場合は出生直後から重症の呼吸不全、高度のチアノーゼを伴った多呼吸が認められます。胸部は樽状に膨隆(ぼうりゅう)し、逆に腹部は陥凹(かんおう)しています。呼吸障害が強く、出生直後から人工呼吸管理が必要になります。
 特殊な例としては、出生直後には呼吸器症状は示さず、年長になってから、かぜをひいて強い咳(せき)をした時や腹部を打撲した時に発症する場合があります(遅発型)。
 通常とくに症状はなく、かぜで医療機関を受診し、胸部単純X線検査で偶然発見されることが多いようです。
 胸やけ(食道炎)、貧血(食道炎から潰瘍ができ出血する)、嘔吐、栄養障害、発育障害(胃が陥入しているので、十分な経口栄養摂取ができない)などを示します。
 胸部の痛み、呼吸困難、チアノーゼ(皮膚や粘膜が紫色になること)が認められます。患側で胸部呼吸音の減弱、胸腔内で腸雑音を聴診することがあります。

横隔膜ヘルニア<子どもの病気>の診断と治療の方法

 呼吸と血液、心臓の状態が良く、動脈血中酸素飽和度が100%以上あれば、開腹して横隔膜形成術を行います。しかし呼吸不全と高度のチアノーゼが認められ、動脈血中酸素飽和度が低下している場合は、呼吸循環動態を安定させてから横隔膜形成術を行います(横隔膜の欠損が大きい場合は人工膜を使用)。
 呼吸循環動態を改善させるために高頻度換気装置、また一酸化窒素(ちっそ)(NO)ガス(肺胞(はいほう)血管拡張作用がある)を使用し、さらには人工肺(ECMO)装置を数日間使用して動脈血中酸素飽和度を改善し、呼吸循環動態を安定させてから横隔膜形成術を行います。
 自然には治りません。消化管閉塞を起こすことは極めて少ないのですが、発見次第開腹し、横隔膜の弱い部位を縫縮(ほうしゅく)補強します。最近は腹腔鏡手術も行われています。予後は良好です。
 開腹して腹部食道、胃を腹腔内に引き下ろし、食道裂孔部を縫縮(ほうしゅく)補強します。同時に逆流防止術を行います。腹腔鏡による手術も行われています。予後は良好です。
 緊急手術で横隔膜の破裂部位を縫合します。この時、腸管などの他臓器損傷に注意します。予後は合併症にもよりますが、多くの場合は良好です。