未熟児貧血(未熟児早期貧血、未熟児後期貧血)とはどんな病気か

 胎児は母親の子宮のなかでは、胎盤(たいばん)を通して母親から酸素の供給を受けています。肺呼吸と違い、少ない酸素をしっかり受け取り、体内に運ばなければならないので、胎児の血液は大変濃く、ヘモグロビン(血色素(けっしきそ))も酸素と固く結びつく性質をもっています。
 ところが、出生後、私たちと同じ肺呼吸を始めると、酸素の供給が十分になるため、赤血球産生をコントロールするエリスロポエチンというホルモンの量が減り、急に赤血球が作られなくなります。約1カ月間、このような状況が続きます。
 その間にも赤ちゃんの体は大きくなり、血液の全体量は増えるため、赤血球濃度は薄まります。これがいわゆる新生児貧血です。普通、貧血がある程度ひどくなると、再びエリスロポエチンが産生され、骨髄(こつずい)で赤血球が作られて自然回復が図られます。
 しかし、未熟児においては生まれた時の体重が少ないわけで、当然、赤血球の量も少ないことになります。その一方で、生後の体重増加の割合は大きく、血液の薄まり方もひどくなり、貧血がひどくなります。これが未熟児の早期貧血といわれるものです。
 また、生後3カ月〜1年ほどたってから未熟児にみられる貧血は、未熟児の後期または晩期(ばんき)貧血と呼ばれるもので、後述の鉄欠乏性貧血(てつけつぼうせいひんけつ)です。母体から十分な鉄をもらう前に、早めに産まれたために発症します。


 そのほかに、葉酸(ようさん)やビタミンEの欠乏による特別な貧血もまれに存在し(表9)、2〜3カ月のころに発症します。

症状の現れ方



 表8に示した症状が現れます。新生児の場合、哺乳力低下が前面に現われます。

検査と診断

 末梢血液の検査と血清鉄(けっせいてつ)のチェックが重要です。早期貧血では正球性正色素性(せいきゅうせいせいしきそせい)貧血で、血清鉄値は低くはありません。一方、後期貧血は小球性低色素性(しょうきゅうせいていしきそせい)貧血で、血清鉄値は低下します。

治療の方法

 未熟児早期貧血には輸血しか方法がなかったのですが、近年、エリスロポエチンの使用が可能となりました。そのほかの後期にみられる貧血には鉄剤を与えます。葉酸欠乏による巨赤芽球貧血(きょせきがきゅうひんけつ)、ビタミンEの不足による溶血性貧血(ようけつせいひんけつ)には、それぞれ不足物質の補充を行います。