ウィルソン病(先天性銅代謝異常症)とはどんな病気か

 銅は体内のあらゆる組織に存在し、重要な役割を果たしています。しかし、異常に蓄積すると有害な作用を示します。ウィルソン病では、銅を輸送する蛋白(ATP7B)の遺伝子異常により胆汁中への排泄が障害され、体内とくに肝、脳、腎に銅が蓄積し、それぞれの機能が障害されます。

原因は何か

 銅を輸送する蛋白(ATP7B)の遺伝子異常が原因で、常染色体劣性遺伝(じょうせんしょくたいれっせいいでん)する病気です。

症状の現れ方

 一般的には、5歳以降に肝機能障害を起こします。気づいた時にはすでに肝硬変(かんこうへん)を起こしていることが多いのですが、検査で異常が検出されてもほとんど自覚症状はありません。病気が進行し、はじめて全身倦怠感(けんたいかん)、黄疸(おうだん)、肝腫大(はれて大きくなる)、腹水貯留(ふくすいちょりゅう)(たまる)などが現れます。肝機能障害が潜行し、劇症肝炎(げきしょうかんえん)や溶血(ようけつ)発作で気づくこともあります。10歳以降に、脳が障害され、ろれつが回らない、手の震え、書字の乱れ、不随意(ふずいい)運動(意思とは無関係な体の動き)、歩行障害などが現れます。腎臓も障害され、血尿なども認められます。

検査と診断

 肝機能障害、とくにコリンエステラーゼの低下や凝固能の低下など肝硬変を示す異常がみられます。特異的な徴候として、血中セルロプラスミンや銅の濃度が低く、銅の尿中排泄が増え、肝における銅の蓄積が確認されます。病初期には認められませんが、銅は角膜にも沈着し、カイザー・フライシャー輪が認められます。

治療の方法

 銅の排泄を促すために、食間にキレート剤(ペニシラミン、トリエン)を経口投与します。また、銅の吸収を抑えるために、銅の含有の少ない食事をすすめ、また食後に亜鉛(あえん)を投与します。重度の肝硬変劇症肝炎を生じた場合には、肝移植療法も有効な治療法として選択されます。

ウィルソン病(先天性銅代謝異常症)に気づいたらどうする

 肝疾患の専門医か、先天性代謝異常症を専門とする医師による診察が必要です。