細菌性赤痢とはどんな病気か

 細菌性赤痢は、赤痢菌により引き起こされ、血便を生じる急性の下痢症です。2007年4月に改正された感染症法では三類感染症に分類され、患者および無症状病原体保有者が届け出の対象となっています。
 日本でのここ数年の年間報告数は500〜600人で、20代に患者年齢のピークがあり、14歳までの患者は全体の約10%です。国外感染例が60〜70%程度で、アジア地域(インドネシア、インド、中国、ベトナムなど)が主要な感染地域でアフリカ(エジプトなど)がこれに次いでいます。現在でも開発途上国では、赤痢は下痢に関連した乳幼児死亡の主要な原因となっています。国内感染は、国外感染者からの二次感染や輸入食品の汚染によると推定されますが、保育園、学校、ホテルなどでの集団発生や、牡蠣(かき)を介した全国規模での感染がありました。


 アメーバ赤痢は、赤痢アメーバによって起こる血便を伴う疾患で、報告数が年々増加しています。細菌性赤痢との対比を表に示しました(表21)。

赤痢菌とはどんな細菌か

 赤痢菌には4種類あり、志賀赤痢菌(ディゼンテリー菌)は、志賀潔によって発見され、志賀毒素を産生し、4種のなかで最も病原性が強いものです。フレキシネリ菌も典型的な赤痢の症状を起こしますが、日本で多いゾンネ菌(70〜80%)は病原性が弱く、軽症です。ボイド菌は、日本では非常にまれです。
 赤痢菌は汚染された食品や水を介して感染しますが、感染に必要な赤痢菌の菌量は10〜100個と極めて少なく、ヒトからヒトに、直接、糞口感染を起こします。家庭内二次感染の危険性が高く(約40%)、とくに小児や老人に対しての注意が必要です。

症状の現れ方

 典型的な赤痢では、1〜3日の潜伏期のあと、全身の倦怠感(けんたいかん)、悪寒(おかん)を伴う高熱、水様便が現れます。1〜2日間発熱があり、腹痛、しぶり腹、膿粘血便がみられます。日本で多いゾンネ菌によるものは重症例が少なく、軽い下痢と軽度の発熱で経過することが多く、菌をもっていても症状のない無症状病原体保有者もいます。ただし、小児と高齢者では重症化しやすいため、注意が必要です。

検査と診断

 便の細菌培養を行い、赤痢菌が検出されれば診断が確定します。他の細菌による下痢症との区別も、培養結果によります。迅速検査として、菌の遺伝子を検出する方法も開発されています。

治療の方法

 抗菌薬(成人にはニューキノロン系、小児にはホスホマイシン)を5日間内服します。生菌整腸薬を併用し、脱水があれば補液(点滴、経口輸液)を行います。強力な下痢止めは使いません。
 治療後に再度検査が必要で、治療終了後48時間以降24時間以上の間隔で2回糞便培養を行い、2回連続陰性であれば、病原体を保有しないとみなされます。最近は、分離される赤痢菌の多くがアンピシリン、テトラサイクリン、ST合剤に耐性があるとされています。
 症状があり、蔓延(まんえん)防止のため必要と認められる場合には、保健所により、入院の勧告あるいは措置が行われ、指定医療機関における入院治療が行われます。無症状の場合には外来治療も可能です。

細菌性赤痢に気づいたらどうする

 海外旅行中や旅行後に血便を伴う下痢の症状が現れたら、赤痢を含む細菌性腸炎の可能性があります。検疫所あるいは培養検査のできる医療機関を受診し、便の細菌検査を受けることが必要です。

関連項目

 細菌性下痢症